楽曲『ランニングハイ』は全ての頑張る人へのエール
ミスチルの楽曲の中でも特にテンションが高めなのがこの『ランニングハイ』。
ファンの間では〝この曲を聞くと頑張れる〟〝辛いこともささいな事と思えるようになった〟などの意見がきかれ、多くの人にとって〝エール〟的な存在になっている楽曲です。
ミスチル『ランニングハイ』タイトルの意味
もともと〝ランニングハイ〟というのは一定時間走り続けたランナーが経験する〝リラックス状態〟で、ランニングの疲れや辛さを通り越した先にある状態です。
この曲の歌詞には、そんな日常の〝疲れや辛さ〟を乗り越えた先にある一種の高揚状態〝ランニングハイ〟をポジティブな状態として生きぬく、現代の生き方が描かれています。
『ランニングハイ』の歌詞の魅力を解説!
自分自身への自問自答から始まる
甲「理論武装で攻め勝ったと思うな バカタレ!」
乙「分かってる 仕方ないだろう他に打つ手立て無くて」
甲「威勢がいいわりにちっとも前に進めてないぜっ」
乙「黙ってろ!この荷物の重さ 知らないくせして」
出典: http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l004665.html
〝甲(こう)〟・〝乙(おつ)〟という言葉は契約書などの文書でよく見かける表現で、〝一人目と二人目〟や〝優れているものと劣っているもの〟などの意味があります。
ここでは自分の中に存在する〝2人の自分〟の会話として〝甲・乙〟という人物が設定されています。
〝理論武装で攻め勝ったと思うな〟。なんともインパクトの強い歌詞で始まります。
口が立つがゆえに優位な地位を獲得する人というのは確かにいます。
ただ、〝他に打つ手がなくて〟と言っているところを見ると、自分の中ではその方法に納得していないということが分かります。
向こう側にいる内面とドッヂボール
威嚇して 逃げ回り 受け止めて 弾き返す
出典: http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l004665.html
常にもう一人の自分との葛藤を繰り返して生きている、ストイックさが垣間見える部分です。
ミスチルの楽曲の作詞・作曲をしているのはVo.の桜井ですが、一人のクリエイターとして、自問自答を繰り返すことによって生きてきたという彼のスタイルがここにあるようにも思えます。
無慈悲な社会を生き抜く方法とは?
「もう疲れた誰か助けてよ!」
そんな合図出したって
誰も観ていない ましてタイムを告げる笛は鳴らねぇ
なら 息絶えるまで駆けてみよう 恥をまき散らして
胸に纏う玉虫色の衣装をはためかせていこう
出典: http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l004665.html
助けを求めたところで、救いの手は差し伸べられないという厳しい現実を歌っている部分です。
働きすぎがあたりまえの日本。世界でも唯一〝おつかれさま〟という言葉がポジティブな意味のあいさつとして通用する国ですが、この部分そんな〝疲れ〟が美化される社会を批判しているととれる歌詞。
〝息絶えるまで駆けてみよう〟という歌詞では、境遇や環境を変えるという方法ではなく、自分自身の心の持ちようによって、ポジティブに生き抜きぬく方法を投げかけています。
〝玉虫色〟というのは本来虹色に変化する色合い(昆虫の〝タマムシ〟に由来)。
タマムシはこの〝玉虫色〟の甲冑を身に着けることで外敵から身を守っていますが、ここでの〝玉虫色〟は楽曲冒頭の〝理論武装〟という言葉との繋がりを感じさせる部分です。
手段がなんであれ、生き抜くことを優先することが大切だというのがここでの主張のようです。
なりゆき任せの夜はOKか否か?!
苛々して仕方ない日は
疲れた体を
都合のいい恋にあずけて
終われば 寝た振りして
あれっ 俺ッ 何してんだろう?
忘れた 分からねぇ
太陽が照りつけるとやけに後ろめたくて
出典: http://j-lyric.net/artist/a001c7a/l004665.html