社会に出ると、色々な人がいますよね。
10代のころ、大人はいつも正しくて、立派なものだと思っていました。
でも実際自分が社会に飛び込むと、想像とは真逆でした。
誰かを妬んだり、憎んだり、蹴落としたり。
それを平気な顔でやり過ごす人達が何人もいるのが世の中のリアルです。
若くしてプロの世界に飛び込んだ彼女も、そんな"大人の世界"に思うことがあったのではないでしょうか。
誰を信じていいのか分からなくなると、自分を見失い、何のためにここにいるのか、生きているのか、どこに気持ちをぶつければいいのか。
答えの見つからない疑問がずっと付き纏います。
その絶望に苛まれ、どうやら彼女はなかなか眠れない日々が続いている様子。
気を落ち着かせる薬や睡眠薬にも、頼ってはみたのでしょう。
けれど心を蝕む原因が取り除かれない限り、彼女の絶望が癒えることはありません。
誰でも構わない、たった1人でもいい。
彼女の悲痛な叫びが聞こえる人物が存在していたら。
彼女の絶望を、理解してあげられる人物が存在していたら。
彼女の悲しみは、ここまで大きく深い物にはならなかったのかもしれません。
ですが、たらればの話をしても意味がないことぐらいはわかっています。
彼女はきっと今日もまた、1人で深い絶望の中に沈んでいくのです。
誰にも、その悲しみも苦しみも理解されないまま。
自分への絶望がさらに己を苦しめてゆく
I am GOD'S CHILD(私は神の子供)
哀しい音は背中に爪跡を付けて
I can't hang out this world(この世界を掲げる事など出来ない)
こんな思いじゃ
どこにも居場所なんて無い
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=65811
2番のサビです。
何かに追われているような感じがしますね。
今いる居場所に自信がない、誰も信用できない、孤独、という後ろ向きな心情が表れていると思います。
苦しみからの救済を求めて、彼女はきっと誰かに縋りついてみたこともあるのでしょう。
ですがこれまで、誰も彼女を救う事はできませんでした。
きっと彼女はそのたびに、何度も何度も深く絶望してきたのでしょう。
ああ、この人も私を救ってくれることはない、と。
その度に、悲しみや苦しみが、彼女自身にも縋りついてくるのです。
背中に爪痕を残すほどの、強い力を持ってして。
暗い絶望の淵の底に、きっと彼女は座り込んでいるのです。
こんな暗く重いを気持ちを抱えたままでは、どこにも飛んでいく事ができない。
私はずっと、この場所から動けない。
そのような思いがさらに、彼女自身の足をその場に縛り付けているという事にも気付けないまま。
それでも、希望を諦められなくて
信じているから裏切られる、でも
不愉快に冷たい壁とか
次はどれに弱さを許す?
最後になど手を伸ばさないで
貴方なら救い出して
私を 静寂から
時間は痛みを 加速させて行く
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=65811
最後の望みが"貴方"なのでしょうか。
もう心がどん底まで来ているような歌詞です。
ずっと弱さを見せては、救ってくれると信じてきたのでしょう。
でも誰も救ってくれなかった。
それでも、"貴方"だったらきっと救ってくれる。
希望を持っては落とされ、というのを繰り返しながら生きているのかもしれません。
悲しみや痛みは時間が解決してくれる、なんてよく聞きますが、そうじゃない場合も確かにあると思います。
生きていれば悲しみや痛みは付き物でなくなることはありません。
だから傷が深くならないように、誰かが傍にいて支えてほしい、救ってほしいと、願うのではないでしょうか。
きっと絶望を感じたことへの痛みは、まだまだ増していくことでしょう。
だからこそ彼女は、“貴方”に手を伸ばさずにはいられないのです。
もしかしたらまた救われないかもしれない。そうわかっていても。
一縷の希望の光を、彼女はまだ諦めきる事ができないのです。
それによって、再び自分が絶望の中に叩き落されるとしても。
彼女は、いつか必ず自分を救ってくれる人が現れる事を信じて止まないのです。
より一層強いメッセージとなって響く歌詞
I am GOD'S CHILD
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
こんなもののために生まれたんじゃない
I am GOD'S CHILD
哀しい音は背中に爪跡を付けて
I can't hang out this world
こんな思いじゃ
どこにも居場所なんて無い
How do I live on such a field?
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=65811
大サビです。
これまでに度々登場してきた、まったく同じフレーズをもってしてこの曲は終焉を迎えます。
彼女のこの世界に対する深い悲しみと苦しみ、絶望。
それでもその中から救い出してくれる誰かの手を待ち侘びている、その姿勢。
それらが歌詞全体を通して、より悲痛な叫びを伴ってこちらに届くかのようですね。
1番と2番のサビを繰り返していて、最後は、「How do I live on such a field?(こんな場所でどうやって生きろと言うの?)」の歌詞で終わっています。
希望を見出していないまま、終わっています。これが意味するものは、何なのか考えてみました。
人は生きている限り、世の中に対して絶望を抱き続ける
どんなことがあっても、人は100%満たされることはなくて、何かしらの疑問、不満を一生持ち続けるのだと思います。
その度に何処かに助けを求め孤独にならないように、必死に生きているのではないでしょうか。
この歌に込められた感情や思いは、決してこの曲を歌う鬼束ちひろだけのものではありません。
曲に込められた悲痛な叫びや絶望を感じた事のある方も、もしかしたら中にはいるのではないでしょうか。
そのような経験がある人にとっては、この曲はとても胸を打つ歌詞となっているように思います。