クラッカー・シャドーの意味とは?
MVと同時に配信されたこの曲「クラッカー・シャドー」。
印象的なギターリフから始まり、静かに、次第に熱を込めて歌い上げられる一曲です。
MVにも描かれている通りクラッカーは誕生日のときなどに鳴らすクラッカーを指しています。
パーティーやお祝いなど華やかな場所をイメージさせるクラッカー。
それが描き出すシャドー=影とはどんな意味を持つのでしょうか。
この影こそ主人公=「俺」の感じている不安や自己否定を示しています。
光と影の間で揺らぐ、蝋燭のような命を描き出しているのです。
「揺らぐ命」と「変わることへの迷い」を鍵に、この想いを読み解いていきましょう。
増える蝋燭の意味するもの
3月と8月の時間経過
薄暗い 吸ってもいい酸素が無い
薄暗い 食べたい物が無い
欠けた 心とは裏腹に
また蝋燭が増える 3月だ
出典: クラッカー・シャドー/作詞:秋山黄色 作曲:秋山黄色
薄暗い、というフレーズで歌い出される「クラッカー・シャドー」。
この歌の中の「俺」は、生きていくことを息苦しいと感じているようです。
何が食べたいなどのちょっとした希望も浮かばないほど心が立ち止まってしまう。
そんな心とは裏腹に増えるものが「蝋燭」です。
蝋燭はこの後にも歌われています。
薄暗い 血の巡りが悪い
薄暗い きっと天気も悪い
欠けた 心とは裏腹に
また蝋燭が増える 8月か
出典: クラッカー・シャドー/作詞:秋山黄色 作曲:秋山黄色
8月にも増える蝋燭。
そこから蝋燭が意味するもののひとつは時間だということがわかります。
3月は多くの人が新生活を始める時期。
8月は多くの学生にとっては夏休みのある眩しい時期です。
そうした時間を「俺」は時間が止まったように薄暗い場所で過ごしていきます。
ケーキの上に増える蝋燭
この蝋燭について、秋山黄色本人によるコメントがYouTubeのMVに寄せられています。
ケーキに刺さる蝋燭。
その言葉からイメージできるものは誕生日でしょう。
この蝋燭は「俺」の命も表現しています。
蝋燭の炎はいつも揺らいでいて、消えてしまいそうなときもある。
そんな揺らいでいる不安定なものに、「俺」の命を重ねているのです。
酔ってる時の示すものとは?
酔ってる時は忘れていられる
歌詞は酔っているときの風景へと切り替わります。
映し出されるのは、なんでもない会話を重ねる「俺」と「君」の姿です。
そんじゃまあ また あとで話そう
そんじゃまあ また あとで話そう
酔ってる時の 話は聞かない君だ
出典: クラッカー・シャドー/作詞:秋山黄色 作曲:秋山黄色
「俺」は酔って「君」と話しているときには揺らぐ自分自身を忘れていられるのでしょう。
酔っている時の「君」とのやりとりはこの後も描かれています。
話しづらいこともギャグとして流せる。
笑いすぎるくらい笑うこともできるのです。
相手も本気で聞いているわけではないのでしょう。
酔っている時ははっきりした記憶を伴わない曖昧な夢のようなものです。
「俺」はそうした曖昧な場所では安心していることができます。
薄暗い部屋と同じように、酔っているときは曖昧でも許されるのです。