2019年版、宇多田ヒカルのおすすめ人気曲とは?
ランキングを発表する前に
2019年版の宇多田ヒカルのおすすめ人気曲をランキングする際に一番気をつけたことは内容の鮮度です。
未だにデビュー当時の作品「Automatic」「First Love」「光」などが配信ランキング上位にあります。
デビュー当時の歌が今なお愛されるということはアーティスト冥利に尽きることかもしれません。
ただ、それでは近年の彼女の素晴らしい歌をお届けするスペースが相対的に減ってしまいます。
2019年版を謳うランキングですから内容も時代に即してアップデイトいたしました。
OTOKAKEには宇多田ヒカル初心者向けのTOP10ランキング記事が別にございます。
このランキングの末筆でご紹介しますので、そちらの記事もぜひご覧ください。
「歌姫ってなんなん」というつぶやき
2019年2月、宇多田ヒカルは公式Twitterで「歌姫ってなんなん」とつぶやきました。
彼女らしいユーモアに満ちたつぶやきはまたたく間に日本中を席巻します。
端的にいうとバズったのです。
宇多田ヒカルに対する多くのリスナーのパブリック・イメージは正に「歌姫」であったからでしょう。
まさかご本人が「歌姫であること」を自覚していないとは思わなかったのです。
深化・進化し続ける宇多田ヒカルのために
宇多田ヒカルは作品を発表するごとにJ-POPシーンを刷新してきました。
ブラック・コンテンポラリー・ミュージックを彼女ほど自然に表現できるアーティストは日本にいません。
この傾向はデビュー当時、社会現象と呼ぶべき衝撃を巻き起こしました。
当時の衝撃が大きすぎて私たちは今なお彼女の代表曲をデビュー曲に求める習慣が抜けません。
それでも宇多田ヒカルは深化・進化し続ける現役のアーティストであることを忘れたくないです。
今一度、近年の宇多田ヒカルの作品を振り返ってみましょう。
それではランキングの発表です。
第10位 「Forevermore」
2017年7月28日発表、宇多田ヒカルの通算7作目の配信限定シングル。
最先端のブラック・コンテンポラリー・ミュージックのサウンドとの近似性を感じさせる力作。
Simon Haleとともに宇多田ヒカルがストリングス・アレンジをしている曲です。
クールさすら感じるサウンド・プロダクション。
誰かを愛することがアイデンティティの基軸なのだと歌う歌詞が鮮烈です。
歌詞を見ていきましょう。
愛に生きよ
友達は入れ替わり服は流行り廃る
私を私たらしめるのは
染み付いた価値観や
身に付いた趣味嗜好なんかじゃないと
教えてくれた
私の終わりなんて怖くない
もしかしたら
生まれ変わっても忘れない
出典: Forevermore/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru
移ろい変わり果ててゆくものはアイデンティティの基礎にはなりえない。
「あなた」への変わらない愛だけが信じられるもの。
宇多田ヒカルの恋愛観はいつでも人生哲学へと通じます。
彼女がリスナーに届けるメッセージは「愛に生きよ」というものではないでしょうか。
そのことを特に声高に叫んでいるのではないのですが大事に慎重に歌っているのが見て取れるのです。
この曲をもって宇多田ヒカルのランキングの幕開けを宣言します。
第9位 「Play A Love Song」
2018年4月25日発表、宇多田ヒカルの通算9作目の配信限定シングル。
厳かな響きさえあるラブ・ソングです。
始まりなどはアレサ・フランクリンのゴスペルのよう。
宇多田ヒカルが日本という土地柄に縛られていたなら書けなかったタイプの曲です。
歌い出しからしばらくすると軽快さも出てきて綺麗に転がりだす雰囲気。
後にアルバム「初恋」のトップを飾ります。
もっと順位を上げたいのですが彼女の歌には他にもまだまだ名曲があるのでした。
歌詞を見ていきましょう。
「僕」が絞り出す珠玉の言葉
友達の心配や
生い立ちのトラウマは
まだ続く僕たちの歴史の
ほんの注釈
Hold me tight and don't let go
Why we fight I don't know
僕の親がいつからああなのか
知らないけど
(大丈夫、大丈夫)
君と僕はこれからも成長するよ
(大丈夫、大丈夫)
出典: Play A Love Song/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru
この言葉たちをブラック・コンテンポラリー調のサウンドに乗せられることが宇多田ヒカルの才能。
不安げに愛し合うふたりを取り巻く様々な障壁。
しかし愛し合って生きていくこれからのふたりにとってそんなことは小さなエクスキューズに過ぎない。
そう語り聞かせるように「君」を安心させたい「僕」が絞り出す珠玉の言葉たち。
これまで散々生きることを阻害してきたトラウマ体験にまで言及する。
このことはラブ・ソングの有り様としての深みや奥行きをこの歌にもたらしています。
とてもじゃないですがさらりとは書けない歌詞です。