コブクロの「桜」
コブクロにとって12枚目となるシングル「桜」は、2005年にリリースされました。
しかしこちらの楽曲、2005年が初めての発表ではありません。
実は2人がインディーズで活動していた時代から大切に歌われてきた楽曲でした。
ストーリーは寒い冬から始まる
コブクロの歌う「桜」では主人公が別れた恋人の幸せを祈る自分を春を待つ桜に例えて歌われています。
冬の寒さの厳しさを、失恋をした主人公の心境と重ね、その冬を乗り越えて花を咲かせる桜として書かれています。
また、桜の散りゆく様を失恋を乗り越え思い出へと変えていく前向きな心情に例えられて歌われています。
そんな桜の歌詞の詳細の意味を紐解いていきましょう。
コブクロの「桜」の歌詞の意味
桜が意味するもの
名もない花には名前を付けましょう この世に一つしかない
冬の寒さに打ちひしがれないように 誰かの声でまた起き上がれるように
出典: 桜/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
桜というタイトルの曲なのに”名もない花には名前を付けましょう”という出だしから始まります。
これはどういう意味になるのでしょう?
ここでの花というのは桜をさしているのではなく、主人公の恋心を1輪の花に例えて歌っているのではないでしょうか。
失恋をしてしまった主人公の心は冬の寒さと同じくらいに冷たくなってしまっています。
そんな自分でももう一度花を咲かすことができるように、最初に名前を付けておきましょう。
という意味として受け取ることができます。
「花を咲かす」というのはもう一度「恋愛をするため」という解釈になりますね。
芽生え
土の中で眠る命のかたまり アスファルト押しのけて
会うたびにいつも 会えない時の寂しさ
分けあう二人 太陽と月のようで
出典: 桜/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
”土の中で眠る命のかたまり”というのはチューリップなどの花をイメージするとわかりやすいと思います。
チューリップは球根を土の中へ植えて、育っていくのをじっと待ちます。
ここではその光景とフレーズを重ね合わせているのではないでしょうか。
チューリップが育つと球根から芽が出ますが、地上へと芽を出すまでには時間がかかります。
その様子は2人の男女が出会うまでの時間を連想できますね。
やっと芽が出てきたことで、土の中の「球根」と成長していく「芽」を「太陽」と「月」に例えているという解釈でいいのでしょうか。
一般的には「太陽」と「月」が出会うことはないといわれています。
ここではその理由としてさみしさを分け合っているからだと受け取れます。
寂しさを相手にわけた人は心が軽くなります。
その様子はまるで、太陽の輝きによって光ることができる月のように見えませんか?
1人で寂しさを抱えていた時には輝くことなどできません。
しかしそれが少し減ったことで少し前向きになれた。そして輝くことができた…。
太陽と月のように会えない距離にいても、お互いに影響を及ぼし合っているのでしょう。
そんな男女2人の関係性が表現されています。
タイトルの意味?
実のならない花も 蕾のまま散る花も
あなたと誰かのこれからを 春の風を浴びて見てる
出典: 桜/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
花は全てが開花できるわけではなく、実のならない花も、蕾のまま散っていく花もあります。
それを恋愛に例えて考えると、恋が実ることもあれば、実らない恋だってある。
相手への気持ちが膨らんだまま散っていく恋だってありますよね。
そんな全ての光景を春の風を浴びながら見ているのがこの曲のタイトルである「桜」として考えられる気がします。
またこれを恋愛だけでなく広い解釈で捉えてみると、「何もかもがうまくいくわけではない」という意味かもしれません。
自分がやりたいと願ったことでも、全てをできるとは限りませんね。
その思いだけ募らせて、結局挑戦できなかったことだって少しはあるでしょう。
また恋愛に限らず、誰かに伝えたかった気持ちも同じです。
本当は謝りたかった。本当は感謝を伝えたかった。
けれどタイミングを逃したまま月日が流れて、とうとう言えなかったなんて経験もあるでしょう。
それらがすべて、咲き誇ることができなかった蕾のようだと表現されているのです。
しかしそういった不完全なことであっても、その先の人生の糧にはなっています。
同じ経験をしないように。同じ気持ちを味わわなくて済むように。
蕾も生きる糧にしていこうという前向きなフレーズだといえそうです。