木村弓のデビューシングル「いのちの名前」
「いのちの名前」は、「いつも何度でも」と一緒に木村弓さんのデビューシングルを飾った曲です。
しっとりと静かで優しいピアノの音色と歌声の中に、夏の気配を感じさせてくれますね。
美しい自然の景色が目に浮かんできます。
シングルは日本レコード大賞の金賞、日本アカデミー賞の主題歌賞をダブル受賞しました。
非常に輝かしい功績を持つ曲です!
そんな「いのちの名前」の歌詞には、どんな意味が込められているのでしょうか。
ジブリ映画「千と千尋の神隠し」テーマ曲
「いのちの名前」はジブリ映画「千と千尋の神隠し」のテーマ曲です。
日本の興行収入第1位で、未だにその記録は破られていません。
10歳の少女・千尋は両親と共に引っ越し先に向かう途中、不思議な世界に迷い込んでしまいます。
そこは八百万の神々の世界で、本来人間が踏み込んではいけない領域だったのです。
両親は神々の食べ物を勝手に食べてしまった罰で豚に変えられてしまい、千尋もまた体が消えかけます。
その時千尋はハクという少年に助けられ、彼の働く宿・油屋に行くことに。
豚にされた両親を助けるため、千尋は「千」という名前として油屋で働くことになります。
「千と千尋の神隠し」といえば、もう一つの「いつも何度でも」の方を思い浮かべる人が多いかもしれません。
「いつも何度でも」は主題歌の方で、テーマ曲とは違います。
主題歌はCMなどの宣伝に使われる曲で、テーマ曲はその作品の世界観や登場人物の感情を表現する曲。
つまり「いのちの名前」は、「千と千尋の神隠し」の情景を歌っているのです。
主題歌とテーマ曲はよく一緒だと思いがちですが、この機会に覚えてみて下さいね。
久石譲さんはジブリ映画の音楽を手掛けてきた方で、「いのちの名前」のその一つ。
ジブリ映画の独特な世界を音楽で表せるのは、この方をおいて他にはいないでしょう。
夏の日に見たもの
「いのちの名前」は、夏の季節を舞台にしています。
いったいそれはどんな世界なのでしょうか。
終わりの見えないひこうき雲
青空に線を引く
ひこうき雲の白さは
ずっとどこまでも ずっと続いてく
明日を知ってたみたい
出典: いのちの名前/作詞:覚和歌子 作曲:久石譲
夏の空といえば、入道雲とひこうき雲です。
歌詞で語られているのは後者の方。
夏に光に照らされた真っ青な空に走る真っ白で細長い雲は、本当によく映えます。
どこまでもどこまでも続くその雲は、未来に向かって伸びているように見えたのでしょうか。
それとも、未来がどんな方向に向かっていくのかを暗示しているように見えたのか。
どちらであってもその光景は美しく、見ている者に癒しを感じさせてくれます。
遠い記憶
胸で浅く息をしてた
熱い頬 さました風も おぼえてる
出典: いのちの名前/作詞:覚和歌子 作曲:久石譲
そのひこうき雲を追いかけて走っていたのでしょうか。
そうすれば当然、息は上がって体も熱くなります。
夏ならますますそうなるでしょう。
その時どこからか風が吹けば、とても心地よく感じられます。
これはとても当たり前で何気ないものですが、その時のことがとても印象的だったようです。
今でもひこうき雲を見ると、その風のことを思い出すのかもしれませんね。
未来が不安でも
未来の前にすくむ手足は
静かな声にほどかれて
叫びたいほど なつかしいのは
ひとつのいのち
真夏の光
あなたの肩に 揺れてた木漏れ日
出典: いのちの名前/作詞:覚和歌子 作曲:久石譲