甲子園を見ていると、球児たちの爽やかな笑顔が印象に残ります。

そのハツラツとしたプレーに、世代も性別も問わず多くの人々が勇気と元気をもらっていることでしょう。

それは球児たちがたくさんの努力を重ねてきたことを、誰もが知っているからではないでしょうか。

最近はTVでも球児に密着する番組が増えました。

涙や苦悩の上に咲いたあの笑顔だからこそ、胸にグッとくるのかもしれません。

諦めない限り、何度でも立ち上がれる

奇跡じゃなくていい 美しくなくていい
生きがいってやつが光輝くから
切れないバッテリー 魂の限り
宿命ってやつを燃やして 暴れ出すだけなんだ

出典: 宿命/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

たとえ泥臭くなりながらでも、自分たちの手で甲子園への切符を掴みにいく。

そんな強い意志を表示しています。

奇跡は起こるものではなく、起こしにいくものだ!という気概さえ感じるほど。

そして主人公は野球をしている瞬間が何より楽しいのでしょう。

どれだけ電池が切れそうになっても、自分たちが諦めない限りは何度だって充電できる。

そんな野球への情熱が伝わってきます。

「バッテリー」の持つもう1つの意味

バッテリーという言葉は電池を表す他、野球ではピッチャーとキャッチャーのふたりのことを指す言葉でもあります。

ここではそのふたつの意味がダブルミーニングとして描かれているのです。

マウンドに立つピッチャーは野球では常に注目を浴びる存在。

バッターと向かい合い、一球一球を投げ込みます。

自分の投げる一球を打たれれば勝負が決まってしまうことさえある。

そんなピッチャーはスター性のあるポジションといえるでしょう。

同時に最も重圧を感じる、ともすれば孤独とも紙一重な存在です。

けれど、そんなピッチャーもひとりで戦っているわけではない。

ピッチャーとキャッチャー、バッテリーのふたりには決して切れない絆があります。

そしてその絆はチーム全員にとっても同じ。

どんなに孤独に見えても、バッテリーと切れない絆でつながっている。

そしてチーム全員とも、固い絆でつながっているのです。

だからこそ、どんなに苦しい局面でも立ち向かうことができる。

そんな高校球児たちの姿と絆が浮かび上がってきます。

2019年、奇しくもこの大会では星陵高校の奥川投手が大活躍を見せました。

星陵対智弁和歌山、延長14回の攻防。

球史に残るこの一試合は、まさに「切れないバッテリー」の姿を体現したような名試合となったのです。

気分を上げたくて音楽を聴くも…

沈黙が続いたイヤフォン
自分の弱さに遠ざかってく未来
「大丈夫」や「頑張れ」って歌詞に
苛立ってしまった そんな夜もあった

出典: 宿命/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

あまりの悔しさに、挫けそうになったこともありました。

今まで積み重ねてきた努力は、何の意味もなかったとさえ思えて。

気分を上げたい一心で再生したはずだった音楽にさえ、「俺の何が分かるんだ!」とムカついてしまって。

停止ボタンを押したまま、他の曲を聴く気にもなれずにただ呆然としてしまいます。

野球に捧げる情熱の証

野球と音楽は切っても切り離せません。

高校野球であれば、ブラスバンドによる応援も風物詩のひとつ。

プロ野球でも応援歌やそれぞれの選手に登場曲が割り当てられています。

気分を高めたり、落ち着かせたり、精神的なコンディションに音楽は大きな役割を果たしているのです。

もちろんそれは試合中だけではないでしょう。

各々の選手が好きな音楽を聴きながら、生活を送っているのだと思います。

主人公もその1人です。

しかし歌詞の通り、いつもであれば気分を高めてくれるはずの音楽が苦痛に感じたこともありました。

これは決して音楽をネガティブな表現として歌詞にしているわけではありません。

音楽に元気をもらう人たちは野球選手に限らず、大勢います。

主人公自身これまで音楽に助けられてきた経験があったから、再生ボタンを押したのでしょう。

それでもあまりの悔しさに、聴く気が失せてしまいました。

主人公の野球に対する熱量の凄さを表現しているエピソードだといえます。

悔しさにも全てに意味がある

夢じゃない 夢じゃない あの日の悔しさと
忘れない 忘れない 掌の爪痕
無駄じゃない 無駄じゃない それも全て讃えたい
もうあと少し

出典: 宿命/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

再び歌詞の視点は現在に戻ります。

甲子園の予選を目前に控えた今、思い返してみればあのとき感じた悔しさも全てに意味がありました。

流した涙も、痛みも、喜びも、全てが糧となり、今の主人公を形作っているのです。

全員で勝利を掴みにいく

願いの熱さに 汗まみれになったり
期待背負って立って 重さに臆病になるけど
僕らの背番号 それは背中じゃなく
瞳の奥のアンサー 重なって 照らし合ってくFOREVER

出典: 宿命/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡