雨の向こうに遠くなる君
止まない雨の中に立っている僕。
降り続く雨だけが僕の目と心に映っています。
信号が変わっても
雨の交差点の奥に
もうすぐ君が見えなくなる
出典: 雨と僕の話/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
君は独りで交差点を渡ったのでしょう。
僕の目に映る道の向こうの君を「奥」と受け取ってしまいます。
君と僕との間にできた距離を感じているのでしょう。
物理的な距離だけではなく、心も離れてしまったことが伝わります。
交差点の信号が点滅を始めても僕は君を追いかけることはしないようです。
僕の視界から「もうすぐ」消える君。君と僕の距離を縮めることはしないのでしょう。
君が道の向こうに消えるようにいなくなるのを見ているしかできない僕。
君の元に走り寄る僕を頭の中ではイメージをしているのでしょうか。
降りしきる雨の中僕は立ち尽くしています。
僕だけに降る土砂降りの雨
おまけのような愛しさで 呼び止めても
傘を叩く音で 届かないだろう
出典: 雨と僕の話/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
「もう終わったこと」と僕から離れて君は交差点を渡っていきました。
でも心の中で僕は君を「呼び止めたい」と思っていたようです。
残念ながら僕は素直に呼び止めることができませんでした。
愛しい君のはずなのに雨の中の君を見ながら浮かんだ「おまけ」という言葉。
呼びかけても君が振り向かないことが十分に分かっているのでしょう。
今君を呼んでも半分はあきらめの混じった声になってしまう。
呼びかけても君が喜ぶはずもない、そこにあるのは取ってつけた気持ちのこもらない愛だけ。
そして「傘を叩く」音が大きくなっていることも心配です。
しとしとと降る雨ではなく傘に跳ね返る土砂降りの雨が降り続いています。
雨の量は心の中も表しているのでしょう。止まらない雨の中の止まらな涙。
泣くよりも号泣といえる状態ですね。
君に届かないのは声だけではなく、今も君を好きな僕の心なのでしょうか。
雨の中で「話」という終わり方をしただけ
終わったのさ ただ 君と僕の話が
エンドロールは無い あるのは痛みだけ
出典: 雨と僕の話/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
僕が思い知らされたのは「話」が終わったということ。
僕と君は会話をしていました。そこには笑える話も泣ける話もあったのでしょう。
それぞれの思いもあって心が通い合う時間だったはずです。
でも「エンドロール」を流すことなく2人の間に唐突に幕が下りました。
映画の最後にストーリーをもう一度思い起こさせて余韻を残す「エンドロール」。
「無い」と言い切った歌詞がそれが流れるのを拒否したことを感じさせます。
2人の思い出はいつまでも輝いたまま残ることを人知れず願っていたはず。
一方的に終わってしまった恋を独りで振り返れば心の傷が広がるだけです。
「話」としか表せない恋は、思い出さえかき消すように終わる恋でした。
心にあるのは自分だけが知っている「痛み」です。
思い出すのも辛い恋で心は閉じたままなのでしょうか。
今は自虐しか思いつかなくて…
別れてすぐにしたのは、ダメな自分を思い起こすことでした。
自分という存在は…
ついに呆れられるまで
直らないほど馬鹿なのに
出典: 雨と僕の話/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
君から言われたことがよみがえってきたのでしょう。
かなりネガティブになっているのは確かなようです。
君に突き付けられた「呆れた」という厳しい評価。
君が与えてくれる愛を一方的に受け取るだけだった僕がいたのでしょうか。
開いた口がふさがらない僕の行動。君を失望させてしまったのでしょう。
笑って許してくれた時もあったのかもしれません。
調子に乗って続けていたら「ついに」来てしまったと頭を抱えているようですね。
病気を治すより、性格や性質を直すのは難しい。
自分はダメな人間と自分への評価は下がる一方です。