とりあえず今日は...
「愛を伝えたいだとか」について考えてみようか?
とりあえず今日はとびっきりポップで甘酸っぱいラブソングについて考えてみましょうか。
フォーキーな旋律で死生観を歌った「生きていたんだよな」の衝撃のデビューから半年後。
「愛を伝えたいだとか」はあいみょんが2017年に発表した2ndシングルです。
グルーヴィーなダンスビートに乗せて歌われるのは男性目線のピュアなラブソング。
後にKANDYTOWNのNeetz&呂布、浪花のビートメイカーLil’ Yukichiによるリミックスもリリースされました。
上の写真はそのリミックス盤のジャケットです。
素のあいみょんを捉えた衝撃的なMV
ワンカット・ワンカメラ・ノー編集の実験作!
2019年2月現在で3200万再生を誇る「愛を伝えたいだとか」のMV。
あいみょんの持つむきだしの感性を表現するためかなり実験的な手法が取られたのです。
実はこのMVは約4分間のワンカット撮影で制作されています。
カメラも1台のみ。編集もしていません。
通常の映像制作では数秒に1度はカットが切り替わるのが常識です。
MVの監督を務めるのは林響太朗氏。
注目はあいみょんのアドリブ演技とトレーナー?
映画での長回し撮影ではプロの演者・スタッフでも緊張感を持続できるのは1分程度といわれています。
さらに演者の立ち位置、照明、カメラワークなど全てを秒単位で緻密に計算しなければなりません。
ワンカット撮影とはそれほど過酷なものなのです。
しかもあいみょんはメジャーデビューして間もない新人。
演技経験などほぼゼロに等しいのです。
しかし素のあいみょんを捉えるためにあえてこの手法を採用したのでしょう。
そのことはMVを1度でも目にした方なら納得いただけるはずです。
撮影に際して監督からの指示はたった一言。
「狭い部屋とそこにあるモノで楽曲を表現する」
つまり撮影はあいみょんの思い付きの感性に全て委ねられたのです。
特に必見なのはトレーナーに書かれた文字とライトセーバーさばき。
ぜひ注目してみてください。
いつも朝帰りの“君”を待ち続ける“僕”
インディーズ時代の楽曲「分かってくれよ」でも見られた男性目線の歌詞。
「愛を伝えたいだとか」でもこの視点が重要なタームとして用いられています。
いつも朝帰りばかりの“君”を部屋で1人待ち続ける主人公の“僕”。
内省的な主人公の心情がどのように綴られてゆくのかに注目して歌詞を見てゆきましょう。
心地いい朝、本当は...
健康的な朝だな
こんな時に君の“愛してる”が聞きたいや
揺れるカーテン
少し浮いた前髪も
すべて心地いいさ
出典: 愛を伝えたいだとか/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
主人公の何気ない日常風景が描写される冒頭。
一聴すると爽やかな朝の光景のように感じられます。
しかし主人公にとってこの朝の光景は決して気持ちのいい朝ではないのです。
考えていてもドアは開かないし
だんだんおセンチになるだけだ僕は
出典: 愛を伝えたいだとか/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
そのことはようやく2回目のサビで明かされます。
帰ってこない彼女を待ち続けた末に迎えてしまった朝だから。
彼にとってこのような朝の迎え方は日常茶飯事なのです。
よく考えると朝の定義は非常に曖昧ではないでしょうか。
夜明け前の午前4時も朝、昼にさしかかろうとする午前10時でもそれは紛れもなく朝です。
そもそも主人公である“僕”は一晩中眠りにつけずに朝を迎えたという可能性もあります。
ちなみにMVのAメロでは雷鳴が轟いていました...。