降谷建志3年振りのソロアルバム「THE PENDULUM」より
2018年10月17日、Dragon Ashのkjこと、降谷建志の約3年振りとなるソロアルバムが満を持してリリースされましたね!
タイトルは振り子を意味する「THE PENDULUM」。
残像を残しなだらかに揺れる振り子のように、明と暗の両極に揺らぐ様子、感情の起伏を弧を描くように表現しようというイメージで作られたとのこと。
収録曲はドラマ「トランジットガールズ」のテーマ曲にもなった「Prom Night」。
映画「虹色デイズ」のエンディング「ワンダーラスト」などを含む全12曲。
タイアップ多数の聴き応えある作品となっています!
前作から3年…その変化は
前作「Everything Becomes The Music」は作詞作曲や全ての楽器演奏を降谷自らが担当。
バンドでの活動はもちろんのこと様々なアーティストの客演などもこなし、育んで来た音楽性をここぞとばかりに発揮しました。
対する今作もほとんどが自身の演奏であることに変わりはないのですが、楽曲によっては客演も迎えている様子。
降谷は全部を一人で完成させようと思っているわけではなく、これは更なる広がりを追求した結果のようですね。
7月に配信でもリリースされた、「Playground」ではHEY-SMITHからホーンセクションを迎えるなど、その如実な例を見せています。
自分の手の届かない範囲にまで及んだそのアレンジは、降谷の想像力をより詳細に描くものとなっているでしょう。
「Where You Are」に込められたテーマは
アルバムの中から今回注目するのはSUBARUレヴォーグのCMソングとしても話題を集めた「Where You Are」。
「君が居る場所」を表すこの曲に込められたのは「世界は驚きや輝きに満ちているけど、見ようとしなければ全て見落としてしまう」というもの。
自分に対する問いかけのようなニュアンスを感じさせるこのテーマ。
アッパーなイメージのDragon Ashとは、曲調もメッセージもガラっと変わった印象を受けます。
降谷曰く、ライブでの盛り上がりを追求したDragon Ashに対して、ソロではもっと繊細でプライベートな面を表現しているとのこと。
フロアを激しく沸かせるDragon Ashでのパフォーマンスを支えている、もっと芯の部分がソロだと言っても良いのではないでしょうか。
楽曲を考察
楽曲は日差しが差し込むようなイメージの柔らかなシンセに、透明感溢れるギターから幕を開けます。
ドラムが躍動感たっぷりにビートを刻みだすと、呼応して鳴り始める遠くの方から聴こえるかのようなギター。
これらが織りなすサウンドが、雄大な大地のごとく降谷の歌を支えます。
心に訴えかける歌声
サウンドに対して降谷の歌は穏やかな立ち上がりを見せながらも、どこか葛藤するような印象。
急激な変化こそ見せませんが、メロディはサビへと向けて静かに高揚感を帯びていきます。
そしてただただ淡々と訴えかけるようなサビへ。
平坦なテンションで歌い続けるその姿が一貫した説得力を湛えていますね。
アルバム「THE PENDULUM」の意図するところは「体ではなく心を揺さぶるような音楽」。
静かに訴えかけるその様には、まさに心に染み入る感覚を覚えます。
自然の演出が美しさを感じさせるMV
楽曲のテーマに通じる演出
メインに映されるのは、廃墟の中で歌う降谷の姿。
日の光や滴る水、立ち込める霧など、自然を感じさせる演出が目を引きます。
差し込んで来た光がぼんやりと映し出す降谷の立ち姿が凛としていてカッコイイですね!
逆光で影だけが映されるシーンもなんとも幻想的。
光の当たり方一つをとっても、様々な表情を感じさせてくれます。
差し込む光の当たり方なんて、普段気にすることも少ないですよね。
これは曲に込められている「世界は驚きや輝きに満ちている」というメッセージに通じるものですね。