わずかな知識でも
慰めになるから
捜し求め歩いては
また口つぐむだろう
出典: セプテンバー -札幌 version-/作詞:Ichiro Yamaguchi 作曲:Ichiro Yamaguchi
山口一郎さんは子どもの頃、お父様と古本屋に出かけ、段ボールで箱買いしていたそうです。
読書の習慣が身についているので、自暴自棄になりそうなほど思い悩んでも暴言は吐かない。
それよりも偉大な詩人たちを見習って、歌詞として昇華するといったイメージが浮かびます。
ただ「言葉で表さない」と言葉で表していることは事実です。
「言わない」と言ってしまっている辺りに「作為性のなさ」が表れているのかもしれません。
サビの歌詞をチェック
何も言わないと堕落する?
そして汚れた世界
熱い背中にハロー
その頃の僕には
湿った風が吹いてた
出典: セプテンバー -札幌 version-/作詞:Ichiro Yamaguchi 作曲:Ichiro Yamaguchi
暴言は吐かないほうがいいでしょう。
独り言でなければ投げつけられる相手が存在し、不愉快な思いをします。
ただ、ネガティブな感情だからといって言葉にしないままだとストレスがたまるかもしれません。
空気を読んで思ったことを言わない習慣が身につくと、いつのまにか忖度がはびこる社会になりそうです。
こうして何も言わないまま大人になると、世の中は堕落するのではないか。
危機感を募らせているようです。
あれほど情熱をたぎらせていたのに。
心で涙を流しつつ、何も言わず達観したふりをする大人になりそうといった意味かもしれません。
達観した人生の実践
僕たちは いつか花となり
土に戻るだろう
何も語らずに
済むならばいいだろう
それもまあいいだろう
出典: セプテンバー -札幌 version-/作詞:Ichiro Yamaguchi 作曲:Ichiro Yamaguchi
ここから先はサビの繰り返し。
ただし、少しずつ言葉が変わります。
上記の歌詞で1番と異なるのは1行目の後半1文字のみです。
1番では墓石という物体と化して亡くなるイメージでしたが、2番では植物に変化しています。
言いたいことを言わないまま朽ち果てるとしても実を結ぶ何かはあるはず。
期待の表れではないでしょうか。
達観したふりにすぎなくても、実際に暴言を吐かないことによって他人を傷つけずに済みます。
言いたいことを言わないストレスや堕落する社会を心配するより、達観した人生を実践するほうがいい。
そう解釈できそうです。
「それもいい」と繰り返す主人公の心情とは
「言わない」と言いすぎ
僕たちは いつか墓となり
土に戻るだろう
何も語らずに
済むならばいいだろう
それもまあいいさ
出典: セプテンバー -札幌 version-/作詞:Ichiro Yamaguchi 作曲:Ichiro Yamaguchi
歌詞1行目は1番と同じですが、最後の行の文末だけが変わっています。
身についた読書習慣により、歌詞のヒントになる情報を多数インプットしていると考えられる山口一郎さん。
また、この曲のバージョン違いについても熱く語るほど「言いたいこと」がたくさんある方です。
しかし「言わない」といっています。
それも何度も繰り返しです。
「言わない」といいすぎることで見えてくるのは、「言わずもがな」という暗黙の了解かもしれません。
1番冒頭の歌詞で語り始めた泣き言を延々と吐露しても、仕方がない。
それなら人生を達観するほうがいいと思いつつ、忖度がはびこる社会になりやしないかと心配しています。
非常に「無作為的」な表現です。
「言わない」と繰り返しながらも、怒りや不安といったネガティブな感情がだだ漏れ。
具体的な出来事やネガティブな感情の矛先についての説明がないだけです。
それでも暴言を吐かず、人生を達観する境地に切り替えようとしています。
そのうえで同じように繰り返しているのが「それもいい」という言葉です。
ネガティブな感情をそのまま言わないのもいい、ということは言いたい。
そんな心情が見え隠れします。
生と死について考えた理由
僕たちは いつか墓に生る
苔にもなるだろう
ここで生きる意味
捜し求め歩くだろう
それもまあいいさ
出典: セプテンバー -札幌 version-/作詞:Ichiro Yamaguchi 作曲:Ichiro Yamaguchi