先ほどの詞に続く上記の二行は、男女関係の脆さを表していています。

告白という行為には当然リスクがあり、失敗をすれば今までのような友人関係にも戻れません。

築いてきた時間が無意味になってしまいます。

そんな、告白をした結果に対する不安感を願望的な詞で表わしているのです。

そして、すぐに告白の返事をしてほしいという焦った気持ちも読み取れます。

考える時間を与えてしまったら「あの人」には勝てないということがわかっているからです。

「あの人」って誰?

あの人がそばにいない
あなたのそばに今いない
だからあなたは私を手放せない

出典: 恋愛スピリッツ/作詞:橋本絵莉子 作曲:橋本絵莉子

アカペラ部分の後半です。

好きな相手には本命がいるということがこの歌詞から読み取れます。

そして、まだ「あの人」は「あなた」との関係を築けていません。

ここで登場する「あの人」というのは「私」の女友達であると考えます。

「私」は、「あなた」から「あの人」との仲介役を頼まれているのではないでしょうか。

もちろん「あなた」が「私」との関係を崩せば「あの人」との距離を縮める手立ても失ってしまいます。

確信を持っているような言葉には、そういった意味が込められているのでしょう。

曲の中盤

私を私として見てくれていない

あの人をかぶせないで
あの人を着せないで
あの人を見ないで私を見てね

出典: 恋愛スピリッツ/作詞:橋本絵莉子 作曲:橋本絵莉子

曲の中盤です。

ここでは「私」に「あの人」を重ねないでほしいと訴えかけています。

それは「あの人との友人」としてではなく、一人の人間としての「私」を見てほしいという思いからです。

束縛として捉えられがちな部分ですが、これは誰もが持つ素直な感情だと思います。

声には出せない心の内を綴った、健気な少女の願いが込められた詞です。

用無しになってしまう恐怖感

あの人がそばに来たら
あなたのそばにもし来たら
私を捨ててあの人つかまえるの?

出典: 恋愛スピリッツ/作詞:橋本絵莉子 作曲:橋本絵莉子

最初の二行は、もし「あなた」と「あの人」が結ばれてしまったらという不安を表した詞です。

また、自分の恋愛が進展していないことに対する焦りも感じているのでしょう。

その後に「捨てる」という強い表現が使われています

つまり、「あなた」にとっての「私」は割り切った友人でしかないということではないでしょうか

皮肉にも、「あの人」の存在が「あなた」との関係を繋いでくれている切なさを綴った詞です。

「あなた」を好きな本当の理由

想いとのギャップ

あの人がそばにいない
あなたのそばに今いない
だからあなたは私を手放せない
だからあなたは私を手放せない
だからあなたは私を手放せない
だから私はあなたを想っている
だから私はあなたを想っている

出典: 恋愛スピリッツ/作詞:橋本絵莉子 作曲:橋本絵莉子

これが最後の詞となります。

ここで初めて綴られるのが「想う」という言葉です

この言葉の登場よって、今までの展開に切なさが上乗せされます。

同じ詞が三度繰り返されているは、一番気持ちを込めたかった部分だからではないでしょうか

恋をする喜びと、恋をする切なさの両方がこの最後の詞には詰まっているのです。

そして、二つの感情の狭間で揺れ動くセンチメンタルな気持ちのまま、曲は終わりを迎えます。

告白が成功したかどうかについては書かれておらず、結末を知ることはできません。

なぜそこまで「あなた」のことが好きなのか

その答えは曲名にあります

「スピリッツ」という言葉はウィスキーやウォッカなどの蒸留酒類の総称です。

つまり、恋愛に酔っているという意味が曲名に込められているのではないでしょうか。

橋本絵莉子さんはこの詞を書くに当たり、過去の自分を参考にしています。

当時は本気の恋愛をしていたつもりだったのでしょう。

しかし、実際は恋をしている自分に酔っていただけだということに気付いたのだと思います。

そんな思いを曲名に表したのではないでしょうか。

いい換えれば、「あなた」に恋をしている「私」が好きということです。

女性なら誰しもが経験したことのある、十代の少女にありがちな心理だと思います。

これが不遇な立場でありながらも「あなた」のことが好きな本当の理由ではないでしょうか。

恋愛スピリチュアル