どうやら愛する人が人身売買の対象になってしまったようです。
彼女を買い戻す為に金銭の工面ををしようとする男。
しかし知り合い中を回っても手が届きません。
そんな時、誰かが冗談のようなことを皮肉っぽく彼に告げます。
しかし他に手段のない彼はその言葉を本気にし、石油を掘りに飛び出します。
願いは叶うことはなく
でも 掘り出したのは 長い年月
出典: Ever lasting lie/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
掘っても掘っても石油なんて出てこない。
作業を続けている内に、どんどん月日が経ってしまいます。
この歌詞の表現はボーカル藤原の特徴とも言えますね。
時間を物体のように捉えた表現は男が自身の掘った穴の先しか見ていないような情景を思い浮かばせます。
作詞の妙としか言いようがないです。
これを二十歳近い時に書いた藤原、如何に非凡かがよく分かります。
「Sir Destiny. アンタ、人の命を転がして 大層楽しいだろう?
笑えよ 見てるんだろう? この俺がジタバタもがいてるのを」
出典: Ever lasting lie/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
男が自分と女の運命に対して訴えかけます。
「運命」を人物化した上に、敬称までつけている表現が秀逸ですね。
この敬称がとても皮肉っぽく、その後のセリフに込められた怨恨が際立ちます。
嘘を信じて待ち続ける女
死んだ街で 夜のドレス纏って
作り話の様な愛を 売らされる人
誰かの胸に腕に 身を預けても
心は ただ一人を待つ
出典: Ever lasting lie/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
ここから売られてしまった女性に視点が変わります。
もう既に誰かの元に買われて娼婦として偽物の愛を売る彼女。
そんな生活を続けていても心の奥では男を待ち続けています。
愛するあの人は 優しく嘘をついた
「二人は大丈夫 明日を信じて待っていてくれ」
「信じられる要素なんて どこにあるの?」って
思いながらも その言葉を おまじないの様に
呟き続けた 長い年月
出典: Ever lasting lie/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
男は女に一つの嘘をつきました。
必ず迎えに行くから待っていて欲しいと。
女は理性的に、その嘘は真実にならないと感じ取っています。
しかし男がついた嘘に、彼女が僅かな望みを捨てきれていないのが分かりますね。
「Sir Destiny. アナタでも この気持ちは動かせないでしょう?
幾度目の朝も 変わらず 優しいあの嘘を 思い出してる」
出典: Ever lasting lie/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
男がついた嘘を信じ続ける彼女の心は、たとえ「運命」でも動かせません。
いつか彼が迎えにくる。僅かな希望を胸に毎日を過ごします。
夢を掘る人 それを待つ人
定めよりも 互いを信じていた
出典: Ever lasting lie/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
互いを信じる強い意志で、彼らが「運命」に争っている姿が目に浮かびますね。
長い年月の果て
ここで長い間奏部分に入ります。
この間奏からは、特に先が見えることなく年月が過ぎていくような情景が浮かびます。
物語はここから、何十年も後に場面が移ります。
BUMPの音楽は、ともすれば歌詞にばかり注目されがちです。
しかし、果てしない長い年月と男が繰り返した砂との戦い。
それをサウンドで表現するかのような、繰り返しを効果的に使った長い長い間奏部分。
こういったサウンドによる表現の巧みさも見逃せないBUMPの魅力のひとつです。