虚構推理のエンディングテーマ
TVアニメ「虚構推理」のエンディングテーマとして注目された「LAST DANCE」。
楽曲のメインテーマをジャズにしたことによって、クラシカルな雰囲気となっています。
ですがただクラシカルなだけではなく、「LAST DANCE」には斬新な試みがなされていました。
ジャズの雰囲気を壊さずに、ラップが組み込まれていたのです。
古典的な雰囲気でありつつ新鮮さを感じさせる曲調は、アニメの世界観と見事にマッチしています。
TVアニメ「虚構推理」とは、下記のような内容です。
怪異たちの知恵を司る神となった少女と不死身の男性の2人を中心に繰り広げられるミステリである。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/虚構推理
作中には日本古来から伝承のある河童や落ち武者などの怪異が登場していました。
ですが怪異による事件の解決方法は、他のミステリとは一線を画したものとなっています。
その目新しさが、「LAST DANCE」の中でもうまく表現されていました。
随所にアニメを連想させる言い回しがあるため、そこにも触れつつ解説していきます。
恋の駆け引き
曲の幕開け
Let's dance with me on a moonlit night
Now I gotta go, as I want to
But I'll save the last dance for you
Come on
出典: LAST DANCE/作詞:由潮 作曲:Jin Nakamura
月夜に僕と踊ろう
やりたいことがあるからもう行かないと
でも君のためにラストダンスは取ってあるんだ
さあ、おいで
出典: LAST DANCE/作詞:由潮 作曲:Jin Nakamura
2行目の歌詞に注目してください。
これは、ダンスに誘った相手以上に大事な用があることを示しています。
言われたほうは「私より大事な用事って何?」と不安になるに違いありません。
そこにすかさず3行目のようなことを言われたら、誰でもグッとくるのではないでしょうか。
主人公は恋の駆け引きが上手なようです。
青い夜
どこへ行こうか
夢から覚めたら
サファイアの夜
なまぬるい風
潜めて
出典: LAST DANCE/作詞:由潮 作曲:Jin Nakamura
ダンスに誘った相手は、主人公の言葉に乗ってくれたようです。
1行目と2行目は、相手と踊ると他の人とでは味わえなかった境地まで行けることを表していました。
では、「サファイアの夜」とは何を意味しているのでしょうか。
ご存じの通り「サファイア」とは青い宝石です。
これは夜は夜でも完全に真っ暗ではなく、月明かりでぼんやりと明るいことを示していました。
最初の語り部分で描かれていた情景とも合致します。
さらに、石言葉に誠実や貞操が含まれることから、相手に一途なことを暗示しているのかもしれません。
恋の駆け引きをしつつも、相手を一途に慕っていることがうかがえます。
また、4行目の歌詞から季節は夏だということがわかりました。
真っ暗なほどに
きれいな瞳が瞬(まばた)く
そっと抱き寄せて
優しい獣の声で
You can do, we can do, try
出典: LAST DANCE/作詞:由潮 作曲:Jin Nakamura
人は、主に緊張しているときに瞬きが多くなります。
ラストダンスの相手は、暗闇で踊ることにあまり慣れていないのでしょう。
視界が悪い中、相手の足を踏んだりしないように踊るのは、神経がすり減るに違いありません。
そんな風に緊張している相手を、主人公は安心させようとしていました。
相手の耳元でこう囁くことで、緊張をほぐそうとしています。
「君ならできる、僕らならできる、さあやろう」
こんな風に励まされては、不安がってばかりはいられません。