熱い感情に抱く少しの不安
舞い落ちる 恋い雪ふわふわ舞って
私の心奪って 口づけ交わしたらきっと
(甘く苦い)
恋い雪 この街染め 私も染められていく
触れ合えたのなら
あなたに溶けていく
出典: 恋い雪/作詞:あいにゃん 作曲:クボナオキ
サビでは、楽曲のタイトルについて理解することができます。
「恋い雪」が2人に舞い落ち、深まっていく恋心。
積もる感情を雪となぞらえるテーマは終始一環としています。
恋という衝動が、雪のように積もり、心奪われていく彼女。
それから抑えきれない感情によって交わす口づけ。
愛を確かめる行為である口づけをただ甘いものだとはしていません。
それは愛することの幸せなだけでないことを知っているからこそ。
愛するとは、辛さを伴うこともあります。
そんな愛の味を甘くて苦いと表現。
とてもロマンチックな響きに感じます。
その後「恋い雪」は、街と彼女を染め上げる。
街と自分自身を同列に置いている歌詞。
それは、世界の中心が自分にあるかのように思えます。
彼女の感情の大きさがどれだけのものなのか。
触れてしまうだけで溶けてしまいそうなほど儚い思い。
そんな思いを理解することができます。
雪となぞらえていた感情は、触れ合った瞬間に溶けてしまう。
それほど相手との触れ合いは、唯一無二。
そして、とても儚く壊れやすいもの。
我を忘れるほど熱い恋なのだと分かる歌詞です。
サビで「恋い雪」は、雪のように降り積もる思いのことだと分かります。
大きな転機を迎える後半
舞い落ちる 恋い雪ふわふわ待って
あなたの心奪って 抱きしめ合えたならもっと
(甘く苦い)
恋い雪 この街染め 私も染められていく
触れ合いたいのに
恋心溶けてくの?
2人出逢ったその瞬間から
寒さ増すのに温かくて
恋の雪は好きな人を
抱きしめる為に降ってるの?
出典: 恋い雪/作詞:あいにゃん 作曲:クボナオキ
溶けていく恋心
前半では、熱く、脆い恋心を描いていました。
それが後半では、2人の関係性に転機が訪れます。
触れ合えるだけで、溶けてしまうほどの儚い恋心。
もっと、抱きしめ合うとさらに甘く苦くなっていきます。
愛の味は、好きという感情の大きさに比例して大きくなっていく。
儚く崩れる予感がしている彼女は、まだ何かを信じたくないよう。
恋心が溶けてしまうのを疑問に思っていることから分かります。
関係が終わっていくことを受け入れられない彼女は、疑問を重ねます。
2人が出会った瞬間に立ち戻ってみるとますます受け入れ難い現実。
前の段落で疑問で終わっていた歌詞。
次の段落で、もう一度疑問を投げかけています。
積もる恋心は、抱きしめる為に降っていると思う彼女。
そんな思いの行方の結末が楽曲内で、描かれています。
恋の行方
行かないで お願い 時よ止まって
あなたの腕を掴んで 好きと言えたのならきっと…
目と目が合った瞬間(トキ)に
溢れる想い重なって
抱きしめてくれた
舞い落ちる 恋い雪ふわふわ舞って
2人の心奪った 口づけ交わしたらきっと
(甘く苦い)
恋い雪 あなたを染め 私も染められていく
触れ合えたのなら
2人で溶けていたいよ
出典: 恋い雪/作詞:あいにゃん 作曲:クボナオキ
楽曲終了の間際に、物語も結末を迎えます。
それは、愛した人との別れ。
甘くて苦いものそれは、愛する人と過ごした時間。
美しく、楽しかった思い出は、甘いもの。
思いが大きければ大きいほど、愛する人との別れは、苦いもの。
相反する思いを冒頭から甘くて苦いという言葉で表現していました。
最後の3行。
彼女の願いは、2人で甘い恋心に溶けていたいというもの。
しかし、それは叶いません。
別れという現実を突きつけられた彼女が抱く感情。
後悔と切ない感情の痛みが伝わってきます。
彼女は、まだ相手を愛しているのでしょう。
それでも、どうしても訪れる別れ。
積もり積もった感情が淡い思い出として残ります。
関係性の深化を手放しに喜ぶ歌詞ではなかった理由が分かりました。
最後まで相手を思う彼女の恋心が儚くも美しい歌詞です。
楽曲クオリティの追求
個人盤の廃止
常に高いクオリティの楽曲と可愛らしいメンバーが特徴であるSILENT SIREN。
彼女たちは、本作からメンバー1人1人に焦点を当てた個人盤を廃止。
それぞれの作品に異なる音源や映像を収録するという販売方法へ転換します。
個人ではなく、バンドとして戦っていくこと。
さらに、作品の質を追求し、楽曲で勝負していくという決意に思えます。
それは、彼女たちのルックスから音楽性を評価しない声もあったからこそ。
常に作品のクオリティを高め続けてきた彼女たち。
本作での方向転換が、本格的な音楽を追求してきた彼女たちの挑戦に思えます。
楽曲や映像の質のみで、作品を売り上げていくことを目指す。
彼女たちの方向性を明確にした分岐点となる作品だと思います。