洋楽インディーロックの影響を色濃く感じさせる音像が話題のバンド、DYGL
その日本人離れした音楽性を武器に、国籍を超えた精力的な活動を見せるDYGL。
デビューも2016年と最近の話なので、海外での活動が多い彼らをよく知らないという方もまだ多いでしょう。
彼らの奏でる音楽は、2000年初頭にブームを迎えた洋楽インディーロックの影響を色濃く感じさせるもの。
それらが1960年代に流行したガレージロックのリバイバルだと評価されていることを踏まえると、DYGLの音楽にもまた60年代の古いロックの血筋が流れているということになりますね。
その音楽性は海外でも受け入れられる?
そういった音像は日本では類を見ない部分もあり、注目を集めるのもわかります。
しかし海外の人からしてみれば、彼らの音楽というのは一体どのように感じるものなのでしょうか。
「日本人が洋楽の真似事をしている」という感じならば、向こうでは当然通用しません。
そしてDYGLが海外でも受け入れられている理由は、まさに楽曲の中から感じ取ることができました。
1stアルバムからリード曲の「Let It Out」を紹介!なんとあのThe Strokesも携わった!
今回彼らの楽曲から紹介するのは2017年4月19日にリリースされた1stアルバム「Say Goodbye to Memory Den」のリード曲「Let It Out」。
このアルバム、なんと驚いたことにまさにガレージロックリバイバルの立役者となったThe Strokesのギタリスト、Albert Hammond Jr.、そしてプロデューサーのGus Obergが制作に携わっているのです。
この2人が携わったのも、DYGLのデモを聴いてそのサウンドを気に入ったことから。
「海外での反応はどうなのか」なんて話をした矢先、向こうでも受け入れられている何よりの証拠を突きつけられました。
しかし自分たちが憧れて聴いて来たアーティストが作品に携わってくれるなんて、デビューしたばかりの彼らにとっては夢のような話ですね!
古きよきものの中に感じさせる新しさ
聴いていただくとわかると思うのですが、確かにどこか古い洋楽ロックを感じさせるサウンド。
しかし同時に、決してただの真似事ではないことも伝わってきます。
古いロックの音像をしていても、その頃の音楽にはない浮遊感を湛えていたり。
アレンジにしたってモダンでセンセーショナルなものが随所に表れています。
古きよきものの中に彼らなりの新しい要素が入り混じってDYGLのサウンドになる。
だから海外の人にとっても真似事だとは映らない、また新しい音楽として受け入れられるのでしょうね。
気になる歌詞の内容はどんなものになっているのでしょうか。
ここから和訳しながら読み解いていきます!
憧れの60年代へタイムスリップ?そこで待っていたのは…
Stand on a hill just to see the earth's grooving
Kaleidoscope the children are shaking
I met my past where I lost the romance
Take all the sorrows and turn it to a sad song
出典: Let It Out/作詞:Nobuki Akiyama 作曲:Nobuki Akiyama
「ただゆったりと地球を眺めたくて丘の上に立った
子供たちは万華鏡を振っている
僕は自分の過去に出会えた代わりにロマンスを失った
その悲しみを全て受け入れて歌にしよう」
これから歌う内容が普通は自分が知り得ない過去の出来事であることをここで告げていますね。
主人公はどんな方法を使ったのか、自分が知りたかった過去を垣間見ることができました。
しかしその過去は彼が思い描くほど素敵なものではなかったのでしょう。
丘に登ったのはきっとその感傷に浸るため。
そのとき眺めた景色の中に、子供たちが遊んでいる姿が目に入ったのでしょう。
泣きごとを言う女性がこの後に何かが訪れることを物語る
We found the answer and lost it in the 60s
Taste every pleasure before it expires
Weeping & whispers that women make for their sons
Some kinda love & some kinda betrayal
出典: Let It Out/作詞:Nobuki Akiyama 作曲:Nobuki Akiyama
「それは60年代のこと、僕らは答えを見つけては失った
時間が来てしまうまでにその喜びを味わいつくそう
女性が泣きごとを囁いたりしているのは息子のためだろう
それは愛のようでもあり、裏切りのようでもある」
彼が垣間見たのは1960年代のこと。
まるでタイムマシンにでも乗って来たような感覚ですね。
その時代に何が起こったのか彼は知りたかったのですが、それを知って逆に失望してしまうことになったのでしょう。
そして失望が訪れる時間ももうわかっているようです。
それまでは、自分が見たいと思っていたその時代に触れられる喜びを味わいつくそう。
そんな主人公の様子が描かれています。
女性が息子のために泣きごとを言っていたというのは、この後に訪れる失望を憂いてのことでしょうか。