愛する人に会えない時間は長く感じられます。

たとえ3日でも、いえ1日でも。

今、彼女は近くにいます。

強く抱きしめることができるくらいに近くにいるのです。

しかし彼にとっての1人の時間はただ寂しいだけのものではなさそうです。

孤独を感じている時間と、愛しい彼女がいる時間では戸惑うほどの大きなギャップが生じているのでしょう。

寝ても覚めてもキミを想う

心に作用するキミ

キミのそばで見る キミの夢は
ガラスの心に 音を立てる

出典: 作詞:河村隆一 作曲:河村隆一、吉田美智子

夢は睡眠中でないと見ることはできません。

相手にどんな強い思いがあっても、思うように夢の中に現れてくれないことだってしばしば。

しかし彼は愛する女性のそばで彼女の夢を見たのです。

こんなにも幸せなことは滅多になく、ちょっと羨ましいかぎり…

彼にとっての彼女の存在が、いかに大きな影響をもたらしているのかが読み取れます。

そして、タイトル「Glass」にあたる“ガラス”がサビで登場します。

“Glass”とは、彼の心のことだったのです。

溢れる想いを詩にして

時計に支配されていてもこの想いだけは…

この街は時計じかけ せめておくるこの詩を

出典: 作詞:河村隆一 作曲:河村隆一、吉田美智子

“時計じかけ”の明確な意味を見つけ出すことは難しいでしょう。

時計は規則的に時を刻みつづけます。

街も、多種多様な人間の様々な思いが渦巻きながらも動き続けています。

仕事や学業、私たちは常に時間や時計にコントロールされながら生活していると言っても過言ではないでしょう。

そんな慌ただしい毎日ですが、彼は愛の詩を彼女へ贈ろうとしています。

まだ届いていない!?彼の想い

ガラスの心が隠されている部屋の扉

愛しさが届いたら キミに
開けそうなこの胸の扉を叩いてほしい

出典: 作詞:河村隆一 作曲:河村隆一、吉田美智子

あれ?

と、一緒に読んでいる人の中では問題が発生した人もいるのではないでしょうか。

私も当時“愛しさが届いたら”という言葉が引っかかってしまったのです。

抱き合ったり、夢を見ていた時も一緒だったということは、2人はすでに結ばれていたのではなかったのかと。

2人が結ばれていたとしても彼は、自分の思いが彼女に届いていると思っていません。

そして彼のガラスの心の先には扉があり、それは閉ざされています。

やはり彼は心に闇を抱えています。

臆病な男性像

女性的とも感じられる表現

つかまえていてね キミの声は
ガラスの心に ふるえている

出典: 作詞:河村隆一 作曲:河村隆一、吉田美智子

闇が深すぎるのか、彼女を離さないのではなく彼女に自分の心を委ねている状況です。

鍵がかかった部屋へは鍵がなくては入ることはできませんよね。

まだまだ彼は心を閉ざしているのですから、彼女を丸ごと受け入れることは難しいのです。

しかし、何度も登場していますが彼のガラスの心に彼女の言動は何かしら作用しています。