この時代に「no more war」と言う意味

「未成熟」であり続けるということ

バンド名の由来として、英語のgreenには、「未成熟な」、「未完成の」という意味があると書かれていました。

確かに、手元の辞書を見ると「若い」、「未成熟な」という意味が出てきます。

そういえば日本語でも「青臭い」という言い方をしますね。

会社での会議で、根本的なことや本質について意見を言うと、「君は若いね」などと言われるものです。

売上・利益が最優先される中では、個人の自由・権利や社会への貢献、幸福度などは常に後回しです。

そして、売上・利益追求と自己保身の果てに繰り返されるコンプライアンス違反。

毎日のようにマスコミで報道される「大変申しわけございませんでした。」

企業代表者や幹部の子供じみた弁解には「幼稚さ」さえ感じてしまいます。

そうして考えるとどちらが「未成熟」なのか、よくわかりません。

「未成熟」を自覚し続けようとする人の方が余程、オトナなのではないかと思います。

歯学部在籍の学生時代に結成され、今は現役の歯科医として働きながら活動を続けているGReeeeN

彼らの楽曲には、実社会で揉まれながらも純粋さを失わないでいようとする想い、願いのようなものを感じます。

生活者の視点から捉えた戦争

GReeeeN【no more war】歌詞を徹底解釈!思わず真剣に考えさせられる…全人類必聴!!の画像

少し前までは、「戦争反対」というような言葉は、政治的なスタンス無しには発言しにくい雰囲気がありました。

それもある意味、白組か赤組かを決める小学校の運動会のようでとても幼稚な二元的な思考ですが。

そんな風潮もだいぶ薄れ、普通に生活する人たちの視点から戦争を捉えるような動きに変わってきました。

象徴的な出来事が、映画「この世界の片隅に」の静かに進行したヒットです。

戦争をテーマにしながらも、爆撃や銃撃に倒れ傷つき死んでいくシーンだけ描くような作品ではありません。

美味しく食べるために食事を工夫したり、小さなノートに絵を描いて楽しんだり、買い物にわくわくしたり・・・

戦争というのは一つの状態であり、ごく普通の人たちの当たり前の生活が続いているわけです

その日常を描くことによって、大事な家族や自分の身体の一部を失うことの悲しみは一層胸を打ちました。

「no more war」は、2008年リリースの2ndアルバム『あっ、ども。おひさしぶりです。』に収録された楽曲です。

メッセージ性の強い楽曲ですが、現代を生きる者が自分の言葉で戦争と向き合う真摯な姿勢に共感を覚えました。

遠い国で今も続いている戦争

いつも守られている傍観者だから

今日もテレビの中じゃ戦争 私腹を肥やす大人の理想郷
冷たい雨に打たれる子供が 今日もまた一人死んでいく状況
いつだってそう 僕だってそう また見て見ぬ振りする

出典: no more war/作詞:GReeeeN 作曲:GReeeeN

宗教、政治体制、領土、民族、貧富などを背景にした係争の末に戦争は繰り返されています。

暴力で相手を敗北させることが目的ですが、戦争それ自体、莫大な消費を生む経済活動とも言えます。

戦車が約10億円、戦闘機は30~300億円、オスプレイが約120億円、イージス艦で約1500億円・・・

そして何万人という兵士の食糧、衣服、装備などの維持や報酬の総額がどれくらいになるか想像もつきません。

それだけの金額が動くのですから、当然、利潤を得る企業や人物もいるわけです。

莫大なお金が蕩尽される一方、理不尽な境遇に置かれた子供たちは栄養失調や傷病に苦しみ死んでいきます。

「私腹を肥やす大人の理想郷」という言葉には、そうした欲にまみれた戦争の側面への皮肉が込められています。

ですが、そう皮肉る自分も「遠い国での戦争」をテレビで見ているだけの傍観者にすぎません。

やり切れなさが「見て見ぬ振りする」という言葉に滲みます。

戦争当事国ではないものの、私たちの日常の生活は大国の防衛網や自国の防衛力によって守られているわけです。

テレビのバラエティ番組を見て笑う時にも、ネット動画を見ている時も、歯を磨いている時にも。 

息が詰まりそうな世界だから、「気付く」ことから始めよう

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混沌とした世界全て支配 抜けてみたい
気付いた今日からスタート

出典: no more war/作詞:GReeeeN 作曲:GReeeeN

インターネットはさながら神経網のようにこの世界を覆い尽くしています。

友だち、恋人、家族とのコミュニケーション、ショッピング、娯楽、すべてはネット環境が実現しています。

もちろん、利用者のプライバシーは厳重なセキュリティシステム、運用管理ルールによって守られています。

が、もし、帰属する組織や国家が反社会的なものとの嫌疑を掛けられれば、状況は一変します。

どこで何を買ったか?どのような本を読みネットで何を見ているのか?恋人は誰か?今、どこにいるのか?

権限を与えられた「正義の追跡者」は情報をリンクさせて、すべての答えを手に入れることができます。

貧富格差の増大、弱いものにしわ寄せがくる戦争、窒息しそうなネットワークシステム・・・

そうした閉塞感の中、「抜けてみたい」という言葉に、こうした現代に生きる者の強い意志を感じます。

「気付いた今日からスタート」はとても素敵な表現です。

押しつけるわけでもなく、まずここから始めようというメンターとしての優しさが見え隠れします。

今も、理不尽に子供は死に、そして忘れ去られていく

誰が悪いの? ねえ、どうしてなの?
なんで幼いこの子が死ぬの?
建前と金を大人は求め かけがえの無い者の命が消え
足早に流れてく時の中で 人の記憶も失われる流れ
同じ事を繰り返していく定め 強者と弱者の慈しみ消え

出典: no more war/作詞:GReeeeN 作曲:GReeeeN

いつの戦争でも、子供は命を、未来を奪われる

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