口に出せないほど大事な思いがある主人公。

辛い思いを自虐的に笑いに変えることも難しく思っています。

1人悩んでいるのかもしれません。

苦しく思う胸中すら、気のせいにしてやり過ごしてしまいます。

貴方が示してくれたこと

そうして黙って生きてきた
口なしのボクの手を 握ってくれたの

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

口なしという言葉からは、「死人に口なし」ということわざが連想されます。

まるで死者のように何も喋ることができず、理解を求めることもできずに、自虐的な例えをしてしまう。

諦めの感情の中に主人公はいるのです。

それでも生きてきたし今も生きているというポジティブな事実にも、自虐表現から辛さが滲み出ています。

相手に話しかけたいけれど、できない主人公。

相手を思う自分のことをわかってほしいのに、自分からそう働きかけることもできない。

だけれど、思い人である相手は主人公の気持ちを汲んで手を握ってくれたのでした。

言葉でなくても思いやりの気持ちを伝えられることがあることをわからせてくれる場面です。

笑えないけど自虐してしまう

ねえ
言いたいことは何ですか
伝えたいことも無いのでした
半分透けている ボクはユウレイ

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

自分で自分に喋りかけてみるのは、思い人が問いかけてくれないからなのかもしれません。

だけれど、もし聞いてくれたとしても伝えたいこともないという主人公の苦しさが伝わってきます。

口なしという言葉が、タイトルにもなっているユウレイという語と呼応しています。

控えめなスタンスながら話がしたいと願う主人公。

だけれど、伝えることもないと自分に自信が持てない様子が感じられます。

きっと人知れず霞んでしまうよ
貴方が逃がさないように
見つめてください

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

貴方にとっても、多くの人にとっても半分存在がないユウレイのような自分。

知らないうちに消えてしまっても気づかれないと思っている、自虐的な思いが感じられます。

話しかけてもらわなくてもいい。

ただ貴方に見つめてもらい存在を認めてもらいたいと願っているのです。

ユウレイという言葉からはふわふわとした掴みどころのなさも連想できます。

貴方への思いはとても強いのに、消えてしまうような存在の儚さを自身で感じている。

主人公の苦しみが感じられる対比が、聞き手にも響きます。

貴方と親しくなりたかった

自信が持てない

貴方の隣は 限られた数の椅子しかないから
ひとりぶん ふたりぶんくらいかな
離れて腰かけた

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

思い人である貴方の近くにいられるのは、限られた人だけだと思っています。

だから、その人たちに貴方のそばにいることを譲ってしまうのです。

でも、離れてでもいいから貴方と同じ場所にいたいと思っている主人公の複雑な胸中がまたも感じられます。

自分の人生と貴方の人生を比べてしまう

貴方のくれない人生は
読み飛ばしたつまんない雑誌に書いていた
落書きみたいだ
知らないほうがいいのかな
幸せは後味が口に残るから

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

落書きのような意味のないものに、貴方と過ごせなかった人生を思ってしまいます。

貴方の人生は、雑誌に載るぐらい受け入れられることかもしれない。

そうかもしれないけれど、主人公自身は興味を持てる状況にありません。

話しかけることもできない口に、貴方の幸せを感じることで苦みが残って苦しくなります。

「良薬は口に苦し」ということわざがありますが、この場合は相手は自分のことを思っている訳でもないし辛いですね。

大事に思う人が自分と関わりのないところで幸せでいることは嬉しいことだけれど、複雑に思ってしまう。

恋や人間関係に悩む方の心を労わってくれるような共感を呼ぶ場面です。

望んだ将来を掴めないのはユウレイだから

どうして
偶然そこに落ちていた
ずっと探していた明日
取る手もない ボクはユウレイ

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ