この主人公は、自分に問いかけます。

自分を理解するのは難しいことです。

自分自身でも自分の気持ちを整理して、行動の意味を解釈するのに時間がかかります。

描いていた未来をふと手にする機会が巡ってきても、自ら逃してしまうことだってあります。

主人公は願ってきた将来を掴もうとしない自分を見つめているのです。

自分の存在をないがしろにしてしまっているのが伝わってきます。

当たり前のような存在になりたかった

際限のない空白に浮かび上がった
見慣れたあの雲のように
忘れてください

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

自分のことをもはや、貴方には忘れてほしいと思っています。

貴方と主人公の間には、見慣れた景色のように自然な関係性はないのでしょう。

当たり前のような存在として忘れられるほど、貴方から見つめられて近い存在になりたかった。

それは主人公の貴方との関係性の中で、なりたかった姿なのでした。

ただ 同じ景色を見たい
ただ 貴方が感じた全てを
ボクも見ていたいよ

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

貴方には自分のことを忘れてしまって構わないと思っている。

けれど、自分は貴方の感じることをずっと追っていきたいと強く願っているのです。

一途に思う気持ち

届かない強い思いがある

言いたいことは何ですか
伝えたいことも無いのでした
半分透けている ボクはユウレイ

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

 これまでの歌詞では、このように自問自答していた主人公。

言いたいことはないですが
伝えたいこともないですが
届かぬ声で泣くユウレイ

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

続く歌詞では、存在感のないユウレイである自分の声が届かない様子が歌われています。

貴方と自分の距離が、今まで以上にひらいてしまったのでしょうか。

言いたいこともないし、何か伝えるつもりもない。

存在を感じてもらうことがなくても、貴方を思って泣いてしまう一途な思いが残っています。

大事なことは言うべきことじゃない

言うべきことじゃないですが
あの日から たぶん
貴方が好きでした

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

言うべきじゃないと思うのは、貴方が困るのを避けたいという気遣いなのだと思います。

それでも、貴方を好きという気持ちが確固としてありました。

貴方の理解者で近い存在になりたかった

不意に忘れそうな思い出の終わりに
いさせてください

出典: ユウレイ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

主人公の思う貴方の人生にとって、自分は中心的な存在ではないと主人公はわかっています。

実際に一緒に思い出を作ることは出来ないでしょう。

でも、貴方の感じてきたことを一緒に感じたいと願っているのです。

そして、そういった自分という存在を謙虚な言葉ながらも貴方に認めてほしいという強い思いを持っています。

大事に思う人に、存在を認めてほしいと思うことはとても自然なことです。

近い存在になることを遠ざけてしまう行動をとる主人公。

それでも心から望んでいるのは、貴方と関わりを持つことだったのではないでしょうか。

そして、自分の相手を大事に思う気持ちを言いたかったし、理解してほしかったのです。

終わりという言葉からは、自分が貴方にとって最も大事でなくてもいいという自虐的な思いも感じられます。

でも最終的には、自分が貴方の人生の終わりにもいたいと願う、覚悟のような強さがありますね。