本編に思いを寄せて
2019年7月、テレビアニメ「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿-魔眼蒐集列車 Grace note-」がスタート。
第2話放送後、エンディングテーマ【雲雀】のミュージックビデオが公開されました。
この【雲雀】は、梶浦由記さんが作詞作曲を手掛けています。
梶原由記さんは、日本のアニソン業界でリードオフマンの役割を果たしている名プロデューサーです。
梶原由記さんを憧れの存在としてきた歌手のASCAさん。
【雲雀】を担当するにあたって、喜びのコメントを発表しました。
【雲雀】は、この2人の力を結集しているのです。
アニメ放送が終了してもなお、本編と曲の輝きが失われていません。
ファンの間で好評を博しています。
期間生産限定盤・アニメ盤は、CDとDVDがセットになった豪華な仕様。
曲の世界観を堪能させてくれます。
キャラクターの孤独を描く
「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」は、Fateシリーズから派生したスピンオフ作品。
「Fate/Zero」で活躍したウェイバー・ベルベットが主人公です。
魔術学科の講師・学部長を務めながら、助手のグレイと共に魔術絡みの事件を解き明かします。
【雲雀】は、グレイとウェイバーの想いが反映された名曲です。
大事なものをいつも
私は間違えるの
微笑みにみんな何かを隠してる
出典: 雲雀/作詞:梶原由記 作曲:梶原由記
歌詞の冒頭、Aメロに配されたフレーズです。
グレイの複雑な生い立ちを示しています。
彼女の一族は、辺境の村で霊園を守りながら、人体実験を重ねていました。
絶対的な権力者・アーサー王を復活させようよしていたのです。
一族の中で唯一、人体改造に成功していたグレイ。
周囲の人々は、彼女の風貌がアーサー王に近づくことに歓喜し、崇敬の念を抱いていました。
しかし、彼女自身は、少しずつ自分そのものが失われていく感覚に…。
歌詞の「大事~」「~間違え」は、彼女の戸惑いを意味しているのでしょう。
自分の存在が褒め称えられている中、抱かざるを得ない虚無感と違和感。
思わず疑心暗鬼になり、「微笑み~」「~隠し」と他者の心を詮索していたのではないでしょうか。
約束が物語の鍵に
グレイの周辺人物は、誰1人として彼女の気持ちを理解していませんでした。
ウェイバーただ1人。
彼女が忌み嫌う容姿に拒絶感を示しました。
彼女は、本来の自分自身を認められたような気持ちになったのでしょう。
心の底から喜び、「ずっと私の顔を嫌いなままでいて」という約束を交わしました。
この出来事が2人の物語の始まりです。
もう誰も知らない約束がひとつ
物語の始まりと終わりを繋いでた
出典: 雲雀/作詞:梶原由記 作曲:梶原由記
歌詞に登場する「約束」。
これは、ただ単に前述の約束事を意味している訳ではありません。
誰も知らなかったグレイの気持ちをウェイバーが汲み取った瞬間。2人の人生を変えたきっかけ。
壮大な物語が始まる前の出来事を「約束」と表現しています。
「約束」が交わされ守られたからこそ、物語が成立しているのです。
そのことを歌詞の「物語~」「終わり~」が意味しています。
人として生きる喜びを模索
自由への憧れ
題名の【雲雀】。
歌詞の中にも登場しています。
呼び合っているような雲雀の声だけ遠く
雲の向こうへ草原に優しい影を残して
出典: 雲雀/作詞:梶原由記 作曲:梶原由記