自分を苦しめるもの

取り繕ってやり過ごす

口を噤んでても 身振り手振りはお喋り
漂う空気を消すように 振り撒く 笑顔のスプレー

出典: 両忘/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

「悪事千里を走る」ということわざをご存知でしょうか?

「悪い行い・評判は、たちまち周知されてしまう」という意味を持っています。

正義感からなのか、どこにいても“悪”とされるものは広まりやすい傾向にあるでしょう。

口で広めなくても周りの人の態度の変化などから「何かあったんだ」と悟られてしまうものなのです。

人の悪口を言うときというのは、その人の顔も歪んで見えるもの。

その人を纏う空気も少しよどんでいるような重く嫌な感じに変わっていくでしょう。

嫌な空気を払拭すべく笑顔を取り繕うことはとても息苦しく到底続けられるものではありません。

そんな世の中に生きづらさを感じている様子が読み取れます。

自分で首を絞めることに

反面教師と諭すように 人の不幸指差せば
いつか当たるぞ 自分の打った流れ弾に

出典: 両忘/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

“人を正す”という正義感はいつか自分を苦しめることになるというメッセージが読み取れます。

SNSが普及されている現代で問題となっているのが、見えない相手からの攻撃です。

芸能人の悪事から一般人に対するものまで見知らぬ人からの攻撃が、今や大きな社会問題といえるでしょう。

個人情報開示請求ができるなど取り締まりも強化されてきたり罰則もできたりしています。

それでも無くならないのが現実なのです。

相手の顔が見えないからこそ、言いたいことが言えてしまう世の中。

しかし、その“悪”に対して攻撃をすること事態は“悪い事”とはされないのでしょうか。

正しさを振りかざして悪を攻撃する世の中は、本当に人々が生きやすい世の中なのか。

リスナーに対する、改めて深く考えてみて欲しいというメッセージなのでしょう。

やり直せるチャンスを

間違いは晒され 正しさだけが正解のニュースから何を感じればいい?
踏み外し 叩かれ ズタボロでも這い上がり 見上げる
瞳にも晴天を

出典: 両忘/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

前章で述べた通り、正義感を振りかざして“悪”を裁くだけが果たして「正解」なのでしょうか。

過ちの裏側、どうしてそうなってしまったかの本質を誰かが聞いてあげられる世の中にはならないのか。

確かに悪いことは悪いことでそれは揺るぎのない事実です。

しかし“悪者”というレッテルを貼られたまま生き続けなければならないのでしょうか。

道を踏み外したことを悔やみ改め前を向こうとする者の気持ちを汲み取ることのできる世界はどうでしょう。

後述の方がずっと、温かな世界になっていくことを気付かせてくれています。

再び前に進んでいくために

怯えた心

心に触れる度 君の表情がロックする
怖いんだね 人を信じるのが
過ちの裏には 心 抗った爪痕
自分につけなかった嘘

出典: 両忘/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎

ルールを破るということが悪い事だと分かっていても、仕方のない事情があったのでしょう。

ルールを破ることに物凄く勇気がいったのかもしれません。

自分の中で何度も葛藤して、それでも最後は「破ってでもこの方がいい」という自分の気持ちを信じた。

その様子が最後の2行から読み取ることができます。

どんな些細なことだとしても、物事の大きさ関係なく人から“攻撃”を受けてしまうことは恐怖を覚えるでしょう。

いつ何をしていても誰かに責められているような気持ちになってしまうのかもしれません。

そうなってしまうと、人を信じるということが難しくなってしまいます。

自分を許せるようになった日に

記憶の影に待つ 自分の肩を抱き寄せ
いつしか 話せる日が来る
待ちわびた夜明けを 包み込む光の中
静かに 歩き出せたらいい

出典: 両忘/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎