未来に進みたくない主人公は日々を悶々とした気分で過ごします。
いずれは進路を決めて社会にでなくてはいけません。
しかしその未来への道に魅力を感じない。
それどころか主人公は、決められたような道ばかりで違和感まで覚えてしまっています。
ここから先が周りの人が言うような生き方しかできないのであれば、いっそのこと…。
なんて物騒なことまで考え出しているのが1行目の歌詞だと考えられます。
しかし、主人公にはまだ潔く命を捨てられるほどでもないようです。
モヤモヤと気が晴れない気持ちを少しでも和らげるように娯楽に走ります。
少しでも鬱屈とした気分から解放されるように。
いわゆる現実逃避をしているのです。
表面上の付き合い
誰も彼もが宙ぶらりんりん 頭のネジが数本足りない
鎖で繋ぐ2バイト生活 友情のファクトリー
アンテナ立てりゃここだけの話 実はあの子もマスコミモンキー
黄色い声で霊感商法 存在のダストリー
出典: アブストラクト・ナンセンス/作詞:押入れP 作曲:押入れP
歌詞2行目を見るに、主人公は学生ではなくなったように解釈できます。
学校という場所から変更されて、周りの人もガラリと変わりました。
しかし未来に希望を持てず鬱屈したような気分を感じていたのはどうやら主人公だけではないようです。
みんな何かしら悩みや不安を持っていて今の生活をしています。
モヤモヤとしながら好き勝手に噂話に花を咲かせたり、困らないように友達になったり。
そんな周りの人をみて主人公もハッと気が付きます。
このモヤモヤはあって当たり前の感情なのだと。
この感情とどうやってうまく付き合っていくのかが大切なのではないかと考えたのです。
仕方のないこと
あー、君もコチラにおいでよ
あー、そうやって何人アヤめんのさ 四捨五入
出典: アブストラクト・ナンセンス/作詞:押入れP 作曲:押入れP
モヤモヤと重たい感情は誰にでもあるものだと分かった主人公は開き直ります。
みんな同じだからという安堵感は絶大です。
同じ気持ちを持っている人もしょうもない噂話をしている。
学生の時に淡々と主人公の未来を教えてくれていた周りの人達も、鬱屈とした感情を持ってたのではないか。
そんな考えにも思い至ります。
モヤモヤを持っている人がモヤモヤになる原因を作り出している状況。
そうなると自分ももっと周りに流されて生きても何も間違いではないのではないかと考えます。
そして周りに流されて、噂話を盛り上げたり上っ面の人付き合いをしたりして。
主人公自身もモヤモヤの種を製造する人間になってしまいました。
そして流されてしまったことを歌詞4行目で自虐気味に責めているように解釈できます。
苦しいものは苦しい
くだらないね やめたくて 胸にナイフ当ててさ
つまらないね あきてきて 苦しむ覚悟ないでしょ
くだらないね やめたくて 頭まで浸かってさ
つまらないね あきてきて 思うだけならタダなんだよ
出典: アブストラクト・ナンセンス/作詞:押入れP 作曲:押入れP
周りに流されて生きてもモヤモヤとした感情を取り払うことはできません。
周りと同じようなことをしたって苦しいものは苦しいのです。
流されている時は安堵感があっても、1人になったときに虚しさが襲ってきます。
自分は何に苦しんでいるのか。
流されて考えることを放棄するほど主人公は気持ちを割り切れていなかったようです。
だからといって真向から重たいモヤモヤと闘う覚悟もない。
そんなどっちつかずの自分自身に腹が立ってきているのでしょうか。
歌詞4行目の部分では中途半端な自分を責めているように考察できます。
同じことを繰り返す
あー、乞食みたいに這ってさ
あー、そんなんじゃ証明終わらんでしょ 四捨五入
くだらないね やめたくて 道路に飛び出してさ
つまらないね あきてきて 途中で逃げ出すでしょ
出典: アブストラクト・ナンセンス/作詞:押入れP 作曲:押入れP
モヤモヤとした感情は何年経っても心に居座り続けています。
どちらかというと昔より大きくなっているのかもしれません。
そして主人公はもう1度このモヤモヤへ挑もうとします。
しかし、長い間心の中に居続けたモヤモヤを解消するというのは難しいものです。
大人になればなるほど考え方や感じ方は固定されていきます。
モヤモヤがどれだけ自分の心と密着しているのか分かると、また放り出す。
このモヤモヤからどうにかして解放されたいけどできません。
かといって周りの人のように割り切ってモヤモヤと付き合おうとも思えない。
この中途半端な立場が主人公を一番苦しめているように考えられます。
この気持ちをどうにかしたい
くだらないね やめたくて コメカミ銃で撃ってさ
つまらないね あきてきて そんな妄想するだけ
だって なきたくて くるしくて だれにもすがれず
このこえは わらわれて むしされて つまりワタシはただのガラクタ
明日はきっと雨だ。
出典: アブストラクト・ナンセンス/作詞:押入れP 作曲:押入れP
モヤモヤと付き合いきれずに生を捨てようと考えたこともありました。
逆にキチンとモヤモヤと向き合おうとしたこともありましたが、どれも上手くいきません。
どちらかに振り切ることができない自分がいる。
そして、このモヤモヤは誰もが抱えているものだから相談することもできません。
中にはモヤモヤの存在を感知できない人もいるでしょう。
主人公が抱えている心の重さは人によっては些細だと感じる人もいます。
しかし主人公にとっては重大なことです。
そしてそんな周りの意見の聞いていくにつれて、主人公は惨めな気分にもなるでしょう。
周りからすれば大したことない問題でつまづいている。
この考えはモヤモヤをさらに大きくする材料の1つです。
モヤモヤに心を支配されているという沈んだ気持ちが最後の行の歌詞で表現されています。