東京と孤独な主人公
タイトルの「GATE」は何の入口?
歌詞を読んでいると、一見あまりタイトルと関連性がないように見えます。
先に解説した通り、タイトルの「GATE」とは「門」「入口」などという意味の単語です。
しかし、歌詞全体で直接的にその意味を匂わせる描写はありませんでした。
まず「門」や「入口」といわれると、未来を連想しませんか。
ところが主人公は、「彼女」との別れという過去をいつまでも引きずっていました。
引きずっているのは、主人公の心に「彼女」から言われた別れの言葉が「突き刺さっている」からです。
突き刺さっていれば、当然痛みを覚えます。
痛みがある限り、辛い出来事を忘れることなどできません。
忘れられないから引きずるのです。
歌詞では「明後日になったら忘れる」とありましたが、実際は忘れるまで何年もかかることもあります。
ただし、だからといって一生突き刺さったままとは限りません。
いつしか心に刺さった、言葉という刃物が抜け落ちる時が来る可能性もあります。
それが抜けた時、やっと未来へ意識が向けられます。
いや、もしかしたら完全には抜けなくても、未来を見ることで辛い過去を断ち切ることができるかもしれません。
「突き刺さる言葉」の痛みを乗り越え、もう一度立ち上がる。
「GATE」とは言葉の痛みを乗り越えた先にある、「未来への入り口」なのではないでしょうか。
「突き刺さる言葉」とはどんな言葉か
歌詞に何度も登場する「突き刺さる言葉」。
主人公の心に刺さっている言葉は、「彼女」が言ったものであることは明白です。
では具体的にどんな言葉だったのでしょうか。
曲によっては、「別れの言葉」「君が言ったあの言葉」のような形で伏せられていることが多いです。
この歌詞の場合、「さよなら」という台詞のような言葉がありました。
これがそのまま「突き刺さる言葉」なのかは分かりません。
「彼女」が実際に「さよなら」と言ったかどうかも不明です。
ともあれ似たような言葉は言われたでしょうし、それが主人公の心に刺さったとも考えられます。
メールなどの文面でいったかもしれません。
これらの一連の言葉が、主人公の心に刺さっているのでしょう。
他人の言葉に傷ついた時、その傷つけられた言葉が何度も頭の中で蘇ることはないでしょうか。
主人公は、まさにその状態にあると思われます。
頭の中で蘇る限り、心に言葉の刃物は突き刺さるでしょう。
少なくとも現時点の主人公は、未だに「GATE」には辿り着けていなさそうです。
言葉と共に生きていく
「GATE」の歌詞について解説しました。
失恋ソングのようにも聴こえますが、実際そうなのかは分かりません。
「彼女」が主人公にとってどんな存在だったのか、それはリスナーの想像次第といったところだと思われます。
東京はモノが沢山ありますが、意外と殺風景に見えることもある場所です。
そのためなのか、どこか寂しい雰囲気を漂わせます。
たとえ東京に住んでいなくても、テレビでその姿を見たことがある人も多い筈です。
今の主人公の心は冬の東京のような、寒くて寂しい状態なのでしょう。
現代社会に生きているからこそ、主人公の抱える孤独が想像できる曲です。
そして痛みを感じる過去から未来に繋がっていく様が、シングルのテーマである「線」といえます。
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