神様の気分によって恋は大きく左右されることが書かれています。
続く動作の主が彼女のものであることから、彼女こそが二人の恋の鍵を握る神様であるようです。
胸が高鳴るときめきも、締め付けられる切なさも全て彼女の気持ち次第なのでしょう。
二人の関係の主導権が彼女にある。
主人公は彼女の行動なら何でも享受できてしまうということです。
彼女にすっかり夢中になっているのでしょう。
甘く冷たいキス
アイスのくちづけ
なぜだか
甘くて冷たくて
胸の奥のどこかが
キュンとした
アイスのくちづけ
ちょっぴり
ぶどうの味がした
凍った果実を
食べていたんだね
無邪気に笑い転げる
そんな君が愛しい
出典: アイスのくちづけ/作詞:秋元康 作曲:矢吹香那
触れた唇から感じる、アイスの風味。
それによって主人公が感じたときめきがサビに綴られています。
親しい二人にとってキスはもうし慣れたものなのかもしれません。
ですが、このキスはいつもと違った新鮮な感覚がありました。
彼女が先ほど食べていたアイスの味が伝わってくる。
それだけで、主人公の彼女への思いが溢れ出します。
アイスは夏の暑さを和らげる、冷たく甘い幸福の一時を与えてくれるものです。
そんな幸せの風味をもったキスは、彼女と触れ合える幸福をより大きなものに変える力をもっているのでしょう。
アイスを口に含んですぐにキスをする、何にもとらわれない自由で奔放な彼女の姿。
遠慮や余計な気遣いなどなしに、ありのままの気持ちで彼女は側にいてくれます。
そんな様子に主人公はより心を惹かれているのです。
小さなすれ違い
彼女の言葉
ジリジリと陽に灼いた肌は
一緒に過ごした時間
カレンダーめくって
帰ると言った
わがままが君らしい突然
出典: アイスのくちづけ/作詞:秋元康 作曲:矢吹香那
二人は夏の間遠方に旅行に来ていたのでしょう。
いつもと違う場所で、思い出と絆を育みます。
歌詞は日に焼けた肌を積み重ねた二人の愛の象徴として描いています。
目に見える形の愛はまるで勲章のようで、主人公は喜びと誇らしさを感じているようですね。
ですが、彼女は突然そんな時間を終わりにしようと告げます。
気まぐれな言葉をらしく思う反面、主人公はすぐに承伏することはしませんでした。
二人一緒にいられる楽しく掛け替えない時間を終わらせることに納得できなかったのです。
自分にとっては幸福だったこの時間が彼女にとってはそれほどでもなかった。
そんな寂しさを覚えたのでしょう。
同時にこの時ばかりは、彼女の奔放な物言いにむっとする気持ちも生まれてきたのかもしれません。
そんな主人公の心が次の行動に表れています。
反発心
僕は「どうして?」と聞けずに
拗ねたフリをした
出典: アイスのくちづけ/作詞:秋元康 作曲:矢吹香那
素直に彼女に理由を聞くことはせず、むっとした気持ちをわざと態度に現します。
聞くことができなかった。
そんな思いが歌詞から見えることから、本当は落ち着いて理由を尋ねたかったのでしょう。
それができなかったのは、まだこの時間を終わらせたくない自分の思いとは真逆の彼女の発言への戸惑い。
そしてそんな彼女への反発からでしょう。
不満な「ふり」であることから、心の底から怒っているわけではありません。
彼女は彼にとっても神様です。
どれだけ自由勝手に振る舞ったとしても、その行動を主人公は許せてしまいます。
ですが、そうであっても今回ばかりは反発心が勝ったのでしょう。
せめてもの抵抗として、主人公はあからさまに不機嫌な態度をとってみせたのです。
もどかしい時間
訪れた沈黙
アイスのときめき
ハートが
リプレイしているよ
さっきよりも切ない
夢になる
出典: アイスのくちづけ/作詞:秋元康 作曲:矢吹香那
主人公のとった行動に対し、彼女は口を閉ざしたのでしょう。二人の間に沈黙が訪れます。
何とも言えない空白の時間が先ほど口に触れたアイスの名残を感じさせます。
そうしてキスで感じた彼女へ感じた胸の高鳴りが思い出されるのです。
幸せだけを感じていられた少し前と違って、今は沈黙が気まずい空気を生み出しています。
脳裏によぎる幸せだった時間が余計にその沈黙を引き立たせ、胸を締め付けるようです。
先ほど触れた帰りたがる彼女との心の温度差に対しての寂しさもその要因のひとつであるでしょう。
不器用な彼女
アイスのときめき
ごめんね
いたずらしたことを
なだめるみたいに
僕にハグをして
1人で部屋を出て行く
そんな君が愛しい
出典: アイスのくちづけ/作詞:秋元康 作曲:矢吹香那