「義」を構成するものとは
立ち向かえ 勇姿よ 義と義重ね
いざ我に美しく
出典: 義風乱舞/作詞:鈴華ゆう子 作曲:鈴華ゆう子
己の信念に従って戦へと踏み込んでいく兼続には「義」がありました。
義とは、自分の身に何が起ころうと誰かのために尽くすことを指します。
ですから、ここで重ねられている二つの「義」は兼続と慶次の「義」なのでしょう。
「義」の文字を分解すると、「美」と「我」になります。
己の美学に背かずに生きることが「義」であり、二人の「義」は寸分違わず一致したのだと考えられます。
だからこそ意気投合したのですね。
敗戦でも功績をあげた二人
天下を揺るがせ 友と共に
義風の乱舞で 貫け
出典: 義風乱舞/作詞:鈴華ゆう子 作曲:鈴華ゆう子
「天下分け目」といわれる関ヶ原の戦いで二人はともに戦っています。
上杉家に仕える兼続、上杉家に仕えることに決めた慶次は西軍につきました。
数々の城を攻め落としていった二人は、天下の分け目を揺さぶったに違いありません。
戦で敗退はしたものの、その撤退ぶりは見事だったと敵軍から称賛されたといわれています。
二つの義は、互いを守るようにして風を巻き起こすのでしょう。
その風の強さを信じて、時代に流されずに進め!といった意味を感じます。
戦を終えた二人の行く末
二人の視線は戦から離れ、別の方を向きました。
それでも同じ場所を見ていたということでしょう。
傾奇者が選んだ意外なもの
莫逆(ばくぎゃく)の友とし 今宵も酒交わす
朧に浮かぶ月 微笑むが如く
出典: 義風乱舞/作詞:鈴華ゆう子 作曲:鈴華ゆう子
「莫逆の友」とは、親友という言葉では物足りないぐらいに親密な関係を指します。
関ヶ原の戦いで敗戦した上杉家はそれまで与えられていた会津から米沢へ移封され、石高も減らされてしまいました。
戦の中で命を落とすと思っていた兼続にとって、予想外の展開ですね。
米沢の地に入っても、二人の交流は続きました。
「今宵も」ということは、頻繁に顔を合わせていたのでしょう。
朧月は靄がかかって輪郭があやふやになった月のことで、主に春に見られます。
春は新たな季節、桜と同様に朧月も時代の流れを感じさせるものだったのでしょう。
しかし桜と違い、月はその場を動きません。乱世を感じさせず、静かな後世を思わせます。
彼らにとっては時代が微笑んでくれているように見えたのでしょう。
覚悟を民のため この時代に傾(かぶ)け
さぁ時は来た!
出典: 義風乱舞/作詞:鈴華ゆう子 作曲:鈴華ゆう子
戦に破れた景勝は、家臣を一人としてリストラせず全て米沢に連れてきました。
もちろん石高は減りましたので、減給は避けられませんでしたが、兼続、慶次ともに上杉家から離れません。
米沢に入った兼続と慶次は、戦の準備をするわけではなく、民衆のために心血を注ぐことに決めました。
敵軍にまで褒められるような兼続なら、ここから形勢を立て直して戦に出向くこともできたはずです。
慶次と手を組めば、時代を揺るがす大仕事ができたかもしれません。
しかし彼らは、戦の世で放っておかれる民衆のために、武器を捨てました。
こんな時代だからあえて戦を捨てたのだとすれば、かなりの変わり者です。
慶次は「傾奇者(かぶきもの)」と呼ばれる目立ちたがり屋だったとされていますので、納得できますね。
守るべきは弱き者
誠の心 滾る力
記憶の奥で眠る悲しみ
今こそ漢(おとこ)の闘志燃やせ
手綱とり共にゆかん
出典: 義風乱舞/作詞:鈴華ゆう子 作曲:鈴華ゆう子