自分を形作る感情
日々の自分が自分を作る
今日の自分はそう昨日の自分が搾えているぞ
絶えず育んできた敵意もおまえのオマケの要素
出典: 青のID/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
「搾える」とは材料を用いて形作ることを意味している言葉です。
人は日々の積み重ねで自分自身を形作っています。
昨日の自分が抱いた感情や行動によって今日の自分が形作られているのです。
これまでに誰かに対する敵意を抱いているのであれば、それも自分自身が作ってきています。
それは他の誰かが作ってものではなく、正真正銘自分自身の中で育まれたものです。
その感情は自分にとっては望ましくない、片隅においておきたいものなのかもしれません。
しかしそれも本人を形作る要素の1つだと読み取れます。
誤魔化すのはもうやめて
肯定やらして暖味に誤魔化すのは不正解早う早う
つられる待ちよ侵したいアテはわずかしかない
ありのままでいよう
出典: 青のID/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
自分の中にある感情を肯定しながら、それを素直に受け入れることができない場合もあるでしょう。
曖昧な態度のままで自分自身を誤魔化してしまうこともあるかもしれません。
しかしそれは不正解だと歌っています。
1番のように本能的な直感のまま行動することを求めているようです。
それは大人としての正解ではないのかもしれません。
しかし人としての理性を優先させて自分を押し殺すこともまた正解ではないでしょう。
自分らしくありのままでいようと誘っているように読み取れます。
溢れ出す感情は自分らしさの証明
自分を形作るもの
何か滲み出して浸しそうだ抑えようにもこまる
一層際立たせたい暴き足りない嗅ぎ分けたい
生きている言質なるかたちがただの容器なら
己たらしめる材料はどれ
出典: 青のID/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
もし理性で自分の感情を抑えこんでしまっていたとしても、本能的な感情を完全に抑えることはできません。
それはいずれ溢れだしてしまい、自分でも対処に困ってしまうでしょう。
その本能的な感情が溢れ出してしまえば、理性ではどうでもできなくなるかもしれません。
溢れ出してしまったものを受け入れようとしても、その中には様々な感情が混ざっているはずです。
それらを全て暴き出し、自分を形作るものを知ろうとしているのでしょう。
自分が自分らしくあるために必要な要素を求めているのです。
整理できない感情
根拠もないくせ余しているよ破裂寸前不可避
ああもっとはみ出したいこの命を放り出したい
今ここに今ここで
出典: 青のID/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
溢れ出してしまった感情を一度整理し、また理性で押さえ直したのかもしれません。
しかしその整理の根拠は曖昧で、十分なものではなかったのでしょう。
余りとして残っている感情は本当に必要ないものなのでしょうか。
そうではなく、また本能的な感情はどれだけ抑えられたとしても溢れてしまうものです。
他の感情もまた溢れ始めて破裂しそうになっているように読み取れます。
溢れ出す全ての感情を解き放つことは理性的ではない行為かもしれません。
しかし抱いた感情は自分を形作る大切な要素であり、自分自身でもあります。
それは自分の命を形作っているともいえ、それを今すぐ全て放ちたいと思っているようです。
自分らしさの証明
ぜんぶぶちまけて晒したいよ堪えたくない何も
吃度これが他の誰でもない自分が自分たる裏付
生きている証明
出典: 青のID/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
全てをさらけ出すことは理性を持っていれば難しいことでしょう。
しかしその理性さえ放りだして、何もガマンせずに自分を表現したいと思っているようです。
理性で抑えつけるのは自分らしさを抑えつけることにもつながるからでしょう。
しかし自分らしさを抑えつけてしまえば、自分が自分たる所以もなくなってしまいます。
自分を証明するものを自ら無くしてしまうことになるのです。
それでは自分が生きていることの証明にはなりません。
自分が生きている証明をするためにも、理性で抑えていない自分らしさを解き放つ必要があるのです。