写真を撮る全ての人へ贈る曲
圧倒的な言葉のセンスで感情をぶつけてくるMOROHA。
歌詞が妙に共感を呼ぶとリスナーの間でも話題になっています。
そんなMOROHAの歌う「エリザベス」は、全てのカメラマンに向けた歌。
カメラマンといってもプロのカメラマンだけに向けた曲ではありません。
趣味で写真を撮っている人。
スマホのカメラでパチリと撮る人。
とにかく写真を撮る全ての人に向けた曲なんです。
MC&アコギのスタイルがかっこいい!
MOROHAのMCがアコギで歌うスタイルは、なんとも懐かしい気分にさせてくれます。
エレキギターとは違う弦の音が鳴り響くノスタルジックなサウンド。
そしてMCの心に寄り添う歌声。
このスタイルだからこそ伝わるものがあると思っています。
今回スポットを当てる曲は「エリザベス」です。
エリザベスとは、映画監督のエリザベス宮地のこと。
エリザベス宮地はこれまでもMOROHAのドキュメンタリーMVを作ったりとMOROHAと交流のある人物です。
「エリザベス」は、MVが出来上がる前にMOROHAが作り上げた曲。
MOROHAが作ってくれたカメラマンに向けた曲に、エリザベス宮地が写真でお返ししたそうです。
エリザベス宮地の写真で構成されたMVは、ハートウォーミングな仕上がりになっています。
それではさっそく、写真に注目しながらMVをご覧ください!
なぜか心が温まるMV
エリザベス宮地の撮った写真に注目
プライベート写真が次々と映し出されるMVは、かなり斬新ですね。
50秒辺りからは、ただ写真が次々と現れ続けるだけ。
もちろん写真の写る長さがそれぞれ変わっていて細かく工夫されています。
でもただ次々と写真が映し出されるだけなのに、これだけ心が揺さぶられるのはなぜなのでしょうか?
映っては消えてゆく写真を見ていると、なぜか心が温まるのです。
きっとそれは、家族の写真のスライドショーを見ているときと同じ感覚。
写真をとったときの気持ちがよみがえり、長くても飽きずにいつまでも見続けていられるのです。
でも、見ている私たちは写真に写っている時間を一緒に経験してはいないはず。
ではどうしてここまで心が動かされるのでしょうか?
それはやはり、映画監督エリザベス宮地の作った作品だからではないでしょうか。
映画監督だからこそ、その場にいもしなかった私たちの心を動かす作品が作れたのだと思います。
それではMVをもう少し詳しく解説していきましょう!
シャッターチャンスを逃すな!
カメラ越しに見る世界の豊かさに共感
冒頭の部分では、写真はまだ映し出されず、MOROHAがアコギで歌っている姿が映し出されます。
メロディーというよりも歌詞の方を意識してしまうのがMOROHA。
曲の中でMOROHAは、カメラ越しに見る景色について語っています。
カメラを撮っている人を見て、あなたはどう思いますか?
どうしてここにいるのに写真を撮っているんだ?と不思議になったことがある方もいるかもしれません。
有名人を前にスマホをかざし、そのレンズの中から有名人を見ている人々。
有名人がその場にいたら、この目でよく見ておけばいいのに…。
と、そんな風景に違和感を覚えている人も多いと思います。
確かに今この瞬間を大事にしたいときに、カメラばかり撮っているのは少しおかしな感じがするかもしれません。
しかしMOROHAは気付いたのです。
カメラを通してしか見えない風景があることに。
そしてそれを教えてくれたのが、他でもない「エリザベス宮地」でした。
ブレた写真にも味がある
そして次々と現れるプライベートな写真。
気付いたのはその全てが完璧な写真ではないことです。
映画監督ともあれば、写真を撮るのも得意なはず。
素敵な写真ばかりを並べようと思えば並べられるはずです。
しかしMVに映し出されているのはピントのずれた写真があったり、人がフレームから外れていたり。
なんとなく冴えない残念な写真もたくさん出てくるのです。
どうしてエリザベス宮地はこのような写真をMV映像に入れたのでしょうか?
ブレた写真をあえて入れたことで、MVに親近感が増しているのは確かです。
完璧な写真を並べられるより、プライベート感がアップしているような気がしませんか?
よく見ていると、ブレた写真でも「その瞬間を撮ったこと」に意味があるような気がしてきます。
多少ブレていても構わない、その蘇らない瞬間を映し出してくれる写真が素晴らしいのだ。
そんなメッセージが聞こえてくるようです。
全てのカメラマンへのメッセージを乗せてMOROHAは叫び続けます。
心のシャッターを切り続けるMOROHA
エリザベス宮地がカメラのシャッターを切り続けると同時に、MOROHAは心のシャッターを切り続けます。
普通なら、写真を見ると写真に写った人の顔しか見ることができません。
しかしMOROHAは、写真を見るだけでレンズを通してシャッターを切った人の顔までもが見えているようです。
写真は撮られた人だけでなく、撮った人がいることではじめて写真になります。
新しい視点で世界を見つめるMOROHAのセンスは、やはり並大抵のものではないようです。
曲の主人公はカメラでシャッターを切り続けるお父さん。
年齢的にはまだ共感できないという方も多いはずです。
しかし、それでもなんとなく共感できるというのがMOROHAのすごいところ。
それがMOROHAの作り出す音楽の素晴らしさなのかもしれません。