ジュディ・オング【魅せられて】歌詞を解説！"女は海"に込められた意味とは？女心を巧みに歌い上げた名曲

ここでもう一度女性は海だと歌うのですが、見えてくるのは女性の本能です。

生き物としての現実的で生々しい本能かもしれません。

女性が「やさしい」男性が好きなのは安心や安定を求める気持ちがあるからでしょう。

しかし男性は安心してはいけませんね。

心の底では強い男を求めているのです。

ぐいぐい力強く自分を引っ張ってほしいという気持ちもあるのでしょうね。

蜃気楼のように揺れる心をしっかりと抱きしめてもらいたいのかもしれません。

女性が安心して生きていくためには男性はやさしいだけではだめで、強さも必要なのでしょう。

そんな女性の心を女神のような姿で艶やかに歌うジュディ・オングは、とても美しかったのです。

2番の歌詞をさらに詳しくみていきましょう。

「やさしさ」よりも「強い男」に魅かれる主人公の心理。

そこには「生」や「子孫」への強いこだわりが感じられます。

多くの女性にとって異性に求める最も多くの要求は「優しさ」です。

自分に対してどれだけ優しくしてくれるか。それが異性を選ぶ際において最重要事項になっているのです。

しかし、歌詞に登場する主人公の思いは明らかにこの真理に対して「ノー」と言っています。

「強い男」。つまり戦いに勝って自分を虜にしてくれる男性を求めているのです。

多くの強い男性が主人公を勝ちとるために争う。

恐らく、武力行使を野蛮だと思う現代においてはタブーに近い発想でしょう。

しかし、主人公の心理には理性よりも「本能」の部分が近いように感じます。

１番強い男性が最も魅力ある女性を自分のものにする。

このいとも簡単で単純な考え方を主人公は信奉しているようです。

まるで戦いに明け暮れた神話の時代のような発想ですね。

しかし、この真理はある意味、現代においても十分通用する要素はもっているでしょう。

指をこまねいていたらいい女性はすぐにさらわれてしまう。

欲しいなら力ずくでも奪いにいきないさい、という声がどこかから聞こえてきそうです。

真っ青な空に石造りの建物と白いヨット。

海は見たこともない青さで眺めていると心が溶けていきそうになる。

地中海やエーゲ海から想像するのはそんな風景でしょうか。

愛する人とふたりで眺める海は美しく心はひとつになるのだったら幸せですが、そうではありませんでした。

いつまでも腕の中に抱きしめていたい彼女が自分ではないほかの男の夢を見ていたら…。

想像もしたくないでしょうね。

「魅せられて」をリリースした時のジュディ・オングは29歳で芸能界でのキャリアは既に10年を超えていました。

包容力や母性、したたかさや貪欲さなど様々な顔を見せる女性の心を表現できる大人の女性だったのです。

歌謡界の大物が集結して出来上がった作品を彼女が歌うことで名曲になったといえるでしょう。

歌番組の視聴者やコンサートに行った人達は、どこか女神を仰ぎ見るような感じだったのでしょうね。

あの衣装が似合っていたのは持ち前の美貌に大人の女性としての魅力が加わっていたからだと思います。

天使ではなくて女神。

ここが大事なポイントなのです。

歌う女神に魅せられた人たちは一度でいいから地中海やエーゲ海を旅してみたいと思ったのではないでしょうか。

「魅せられて」と同じ年に大ヒットした久保田早紀の「異邦人」について書かれた記事をご紹介します。

同じような異国情緒を感じる曲でしたが、プロデュースしたのはどちらも酒井政利だったのですね。

久保田早紀もジュディ・オングと同じく綺麗な人でした。

違っていたのはとてもおとなしくて素人っぽいところがあり、芸能界向きではなかったことです。

ヒットした背景やその歌詞について解説されていますので、是非読んでみてくださいね。

異国情緒にあふれた名曲はまだまだ他にもありますよ。