デビュー曲がミリオンセラー!
副題は「-シルクロードのテーマ-」
久保田早紀のデビューシングル「異邦人」。正式なタイトルは「異邦人 -シルクロードのテーマ-」です。
リリースは1979年10月1日。少しずつ売上を伸ばし、2ヶ月後の12月10日付オリコンチャートで首位に立つと、年をまたいで7週連続1位を獲得。
月間チャートでも1979年12月と1980年1月の2ヶ月連続1位となり、1980年の年間チャート2位、144万4000枚を売り上げるミリオンセラーとなりました。
同時期の大ヒット曲
「7週連続1位」の快記録。このころのチャートでは当たり前のことでした。
「異邦人」の前の1位は、「親父の一番長い日」(さだまさし)で6週連続。
「異邦人」の後の1位は、「大都会」(クリスタルキング)で6週連続。
その後も、「贈る言葉」(海援隊)が6週連続、「ランナウェイ」(シャネルズ)が7週連続、「ダンシング・オールナイト」(もんた&ブラザーズ)が10週連続!
一度トップに立ったらば、トップの座は簡単に明け渡さないのが、昭和の大ヒット曲です。誰でも口ずさめる歌ばかり。ぼくは全部歌えますよ。
周到な仕掛けがあった
もちろん黙って指をくわえていても、ヒット曲は生まれません。プロデュースとプロモーションが肝要です。
中央線のシルクロード?
「異邦人」は「-シルクロードのテーマ-」どころか、当初の曲名は「白い朝」。シルクロードの影も形もありませんでした。
詞と曲を書いた久保田早紀の頭にあったのも、まったく別の風景でした。
この曲は元は、美しい並木で知られる国立駅前の大学通りの景色をイメージして書かれたものだった。「子供たちが空に向かい 両手を広げ …」という歌い出しは、歌詞作りに難渋していた久保田が、国立駅近くの空き地で遊ぶ子供たちの姿を電車から見て咄嗟に写しとったものである。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/異邦人_-シルクロードのテーマ-
国立駅がある国立市は東京の郊外。JRの中央線沿線ですね。
久保田早紀(本名・小百合)は国立生まれの八王子育ち。お父上から中近東の音楽を聴かされて育ったとはいえ、少なくとも曲の構想段階では舞台は東京郊外でした。
久保田早紀、もとい久保田小百合は、ごくごく普通の日常を歌いたかったはずだった。それがなぜ「-シルクロードのテーマ-」になったのか?
三洋電機のタイアップ
「白い朝」は三洋電機のCMソングに決定。アフガニスタンで撮られたコマーシャル動画に合わせて、大幅な改変が加えられます。
またプロデューサーの酒井政利は、ちょうどこの年ジュディ・オングの「魅せられて」で、エーゲ海ブームを巻き起こしていました。「異国情緒は当たる!」とにらんだようです。
エーゲ海ブームの次はシルクロードに狙いを定めた酒井政利。「魅せられて」には「エーゲ海のテーマ」という副題があり、この成功法則が踏襲されます。
萩田光雄の編曲にも酒井の意向は反映され、「白い朝」改め「異邦人」が発売されます。サブタイトルも「-シルクロードのテーマ-」に決まりました。