夢ばかりを見てたいわけじゃない
如何しようも無い
今を愛していたい
なんて戯言を言っていたい
出典: Overflow/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
「幸福」かどうかは重視していないという始まり方だった1番。
2番の始まりは「夢と現実」です。
現実を悲観して、非現実的な空想に浸るより、救いがたい現実を愛したい。
そんな冗談を言うほうがいい。
意訳するとそうなります。
まず、手放しで「素晴らしい現実」とは感じておらず、むしろ「悲惨な現実」と捉えているわけです。
だからといって現実逃避はせず、むしろ「悲惨な現実」を愛で満たしたい。
ただ、そんな本音をストレートに熱く語ると、それこそ夢見がちな発言になってしまいます。
照れ隠しもあり、冗談というエクスキューズ(断り)を添えた感じです。
さりげないラップ
どうにもこうにもうまくいかない
脳味噌オフ ⇒ 事故
⇒ 向かう泥仕合
こんな時ほど素直になりたいよな
出典: Overflow/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
基本的にJ-POPの歌もの楽曲らしいメロディ担当の井口さんが、ゴリゴリのラップを披露しています。
これも冗談なのかもしれません。
ただ、無茶苦茶さりげない!
これ見よがしに熱くなりそうなところで、絶妙に脱力したフロウ(節回し)になっています。
ところが歌詞を見ると、まったくもって満足気ではありません。
声楽科出身の井口さんからすると、ヒップホップは難しいのでしょうか。
思考回路が止まり、失敗して、ゴタゴタ騒ぎが起きる。
そんな可能性が考えられるので、ゴリゴリのラップは短くさらっと披露するに留めたのかもしれません。
作詞をした常田さんの配慮でしょう。
このように、歌詞が曲のサウンド自体を表現しているという解釈がひとつ。
また、King Gnuの物語として、活躍の場が広がると問題も発生しがちだけれど、むしろ穏やかに対応したい。
ゴタゴタ騒ぎより、大切なものに愛を注ぎたいと解釈することもできます。
落ちサビをチェック!
ラブソングのふり?
困った事になったな
君に雁字搦めなんだ
未だ平静装い鼻歌交じりで
愛を探しに行くんだ
君に逢いに行かなくちゃ
もう一度だけでいい
初めからやり直せるはずさ
出典: Overflow/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
反骨精神をむき出しにして猪突猛進する、1番のセクションが繰り返された後に続くサビです。
最後に怒涛のサビの繰り返しが展開され、グルーヴが最高潮に達します。
冗談めかして音楽愛を熱く語っていることは明白なのに、それでもラブソングのふりをしているところが最高!
本当に大切なものとは?
オーバーフローしているんだ
大切なものなんて
数える程しかないの
愛を探しに行くんだ
気づかぬうちに
欲張りすぎてしまった
出典: Overflow/作詞:Daiki Tsuneta 作曲:Daiki Tsuneta
もうおわかりでしょう。
King Gnuの物語として解釈すると「本当に大切なもの」は「音楽」あるいは「音楽愛」もしくは「愛」です。
まさに音楽至上主義!
大変な世の中でトラブルが発生しても音楽を愛し続けるという話でした。
欲望には限りがないかもしれません。
ただよく考えると、何のために愛を失い、争っているのかわからなくなる本末転倒案件もありがちです。
こうしてKing Gnuが音楽愛を体現しているので、リスナーも自分の人生に置き換えて考えることができます。
「本当に大切なもの」を愛する生き方を心がけたいものですね。
最後に
いかがでしたか?
King Gnuの「Overflow」はファンクのリズムに様々な音楽要素が盛り込まれた名曲でしたね。
大変な状況で忙しい日々を過ごすあなたも、ノリノリでトラブルを解決!
自分にとって「本当に大切なもの」は何なのか、見つめ直すチャンスになったのではないでしょうか。
そんな名曲「Overflow」が収録されているアルバムは「CEREMONY」です。
こちらの記事でたっぷり全曲を解説していますのでぜひご覧くださいませ!
King Gnu【CEREMONY】アルバム収録曲解説!これは新たな幕開け?バンドの物語に触れよう - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
どうしようもない世の中を祝う「CEREMONY」(セレモニー)。完全無敵の邦楽ロックバラード「白日」を含む、至極の12曲からなる奇跡のアルバムです。新たなステージの開幕を告げる奇才集団King Gnu(キングヌー)の物語にも触れつつ、圧倒的な音楽性について解説します。
アルバム「Tokyo Rendez-Vous」に収録されている「ロウラヴ」は、大人のラブソング。
手法はラブソングでも、テーマは音楽愛と解釈することもできます。
とくにミドルナンバー好きの方におすすめです。こちらの記事をどうぞ!