夏風がノックする窓を開けてみると
何処からか迷い込んだ鳥の声
読みかけの本を置き 「何処から来たんだい」と笑う
目隠ししたままの午後三時です。

世界は案外シンプルで複雑に怪奇した
私なんて誰に理解もされないまま
街外れ、森の中、人目につかないこの家を
訪れる人などいない訳で。

※夏風が当たってノックの音のように響いている窓を開けてみる。
すると何処からか迷い込んだんだろう鳥が、窓際で鳴いていた。
マリーは読みかけていた本を置くと『どこから来たの?』をう笑いかける。
それはまだ外の世界を良く知らないままの、普段通りの午前三時の事でした。

※複雑な能力を持っていてまるで怪物みたいな自分だけど、皆に危害を加えたいなんて思ってない。
幾らそう訴えたところで、世界は案外私の事なんか誰も理解なんてしてくれない。
だからこんな街外れで森の中の、なるべく人目につかないこの家に来る人なんて…
今までも、これからだって居るはずがないと思う。

1番Bメロ

目を合わせないで! 固まった心、一人ぼっちで諦めて
目に映った無機物(もの)に安堵する日々は
物語の中でしか知らない世界に少し憧れる
ことくらい許してくれますか?

※『目を合わせないで!』誰かにそう恐れられたときショックで私の心は本当に石みたいに固まった。
やっぱり私は一人で生きていくしかないんだと諦める。
私が知っているのは絵本の中に広がる世界だけで、思わず憧れてしまう。
それくらいなら許してくれますか?

1番サビ

淡々と流れ出した 生まれてしまった理不尽でも
案外人生なんで。私の中じゃ。
ねぇねぇ、突飛な未来を想像して膨らむ世界は
今日か明日でもノックしてくれないですか?

※こんな身体に生まれてしまった事実に淡々と理不尽な気持ちがわき上がることもあるけれど
案外人生なんて、私の中じゃこんなものでいいと思ってしまう。
だけど心のどこかで期待してしまうんだ。
想像でしか知らない世界は本当はどんな風なのか…今日か明日でもいい、誰か教えてくれないだろうか。

2番Aメロ

なんて妄想なんかして外を眺めていると
突然に聴こえてきたのは喋り声
飲みかけのハーブティーを机中に撒き散らし
「どうしよう…」とドアの向こうを見つめました。

※そんな風に妄想しながら外を眺めていた時に突然喋り声が聞こえてきた。
動揺したマリーは飲みかけのハーブティーをひっくり返してしまいながら
"どうしよう…"と、ドアの向こうを見つめました。

2番Bメロ

「目を合わせると石になってしまう」 それは両親に聞いたこと
私の目もそうなっている様で
物語の中なんかじゃいつも怖がられる役ばかりで。
そんなこと知っている訳で。

※『目を合わせると石になってしまう』両親からそう何度も聞かされてきた。
どうやら私の目もその能力を持っているらしい。
"メデューサ"そんな怪物はどの物語でも恐れられている役ばっかりだ。
そんな事…言われなくたって分かっているから。

2番サビ

トントン、と響きだしたノックの音は初めてで
緊張なんてものじゃ足りないくらいで。
ねぇねぇ、突飛な世界は想像しているよりも
実に簡単にドアを開けてしまうものでした。

※トントン、自分の家の戸を叩くノックの音を聞いたのは初めてで
それはもう、緊張なんて言葉で表せないくらいで。
想像も出来ない私が考えていた外の世界は案外簡単に、そのドアを開けてしまう者でした。

Cメロ

目を塞ぎうずくまる姿にその人は驚いて
「目を見ると石になってしまう」と言うとただ笑った
「僕だって石になってしまうと怯えて暮らしてた
でも世界はさ、案外怯えなくて良いんだよ?」

※マリーは目を塞いで咄嗟に蹲る。するとセトは驚いた様子だった。
「目を見ると石になってしまうから!」
そう言うマリーに怯える事はなくセトはただ笑った
「僕だって石になってしまうと怯えて暮らしてたんだ」
セトはマリーと目を合わせて諭すように話しかける。
「だけど世界はね、案外怯えなくたっていいんだよ?」
そう続けてセトはマリーの手を引いた。

大サビ

タンタン、と鳴り響いた心の奥に溢れてた
想像は世界に少し鳴り出して
ねぇねぇ、突飛な未来を教えてくれたあなたが
また迷ったときはここで待っているから。

※外の世界を見てみたかった。心の奥で願っていた事は少しずつだけど叶っていきそうで
一人では想像も出来なかった未来を教えてくれたあの人。
もし彼が何かで迷ってしまったときは、今度は私がいつでも力になりたい。
マリーは晴れやかな心でそう思っていた。

夏風が今日もまたあなたがくれた服のフードを少しだけ揺らしてみせた。

※今日も夏風は、セトにもらった服のフードを少しだけ揺らしていた。