『BanG Dream!』プロジェクトの成長と共に、Poppin'Partyの活躍の場はリアルの世界に広がりました。
アニメの中の架空のバンド・Poppin'Partyは、リアルのPoppin'Partyになりました。
アニメの中でそれぞれの役を演じている声優さんたちが、歌を歌い、楽器を演奏しています。
Poppin'Partyは武道館公演をはじめ、多くのライブを成功させ、多くの楽曲をヒットさせました。
数々のロックフェスなどにも招待され、その実力は折り紙付きとなっています。
そのPoppin'Partyでメイン・ヴォーカルとギターを担当しているのが、戸山香澄役の愛美さんです。
コラボ第2弾は「対決 → 融合」
ゲームの世界からやってきたPoppin'Partyとのコラボ第1弾は「対バン」がコンセプトでした。
SILENT SIRENとPoppin'Party、双方のバージョンで同一楽曲『NO GIRL NO CRY』がリリースされました。
更に、メットライフドームで開催されたライブは両者の対バン形式となりました。
ですが、今回のコラボは違います。ダブルヴォーカルならではのハーモニーが、熱く未来を歌い上げます。
10周年を迎えたサイサイの新たな挑戦は、対決から融合へ、新たなコンセプトのコラボなのです。
華やかなMVはSILENT SIRENのトレードマーク
SILENT SIRENのMVといえば、どんな印象があるでしょう?
『チェリボム』は全体のパステルカラーが印象的な、キュートでポップなダンスナンバーでした。
『stella☆』は、可愛らしいハートマークや音符が飛び交うおしゃれなアトリエでの演奏です。
『ビーサン』のPVは夏満開のプールサイドの華やかさが印象的でしたね。
都会の風景と華やかな衣装が鮮烈な『フジヤマディスコ』も、SILENT SIRENらしいPVでした。
キュートでファッショナブルでハイセンス、それがサイサイのMVのイメージなのです。
モノクロームの情念
その中で、『Up To You』は異色と言っていいでしょう。
SILENT SIRENのメンバーたちと愛美さんが出逢うのは、無機質な廃墟のような建物の中です。
向かい合い、互いの情念をぶつけ合うように、ダブルヴォーカルが重なり合って音楽が生まれます。
最初は互いに反発し合うように感じられる音がやがて、融合してひとつのメロディになっていきます。
そして、熱く歌われる未来への想い。
すべてがモノクロームの世界で繰り広げられる、非常に硬質なイメージのPVです。
サイサイのPVでモノクローム映像を多用している作品は他に『KAKUMEI』しかありません。
歌詞~固定されたイメージとの決別
(No way)
誰かの正解に当てはまるような生き方
(Good bye)
GATEはもう開いた
駆け引きはしない
出典: Up To You feat. 愛美 from Poppin'Party/歌詞:すぅ 作曲:クボナオキ
才能と環境に恵まれて順風満帆の歴史を経てきたように見えるサイサイですが、必ずしもそうではありません。
「ガールズバンド」「読モの副業」「容姿だけ」――そんなレッテルに、常に悩まされてきました。
「実力で見返してやれ」――簡単に言う人もいますが、レッテル貼りをするような人は実力など見てくれません。
そんな逆境を、彼女たちはどうやって乗り越えたのでしょう?
あえてレッテルに逆らわないようなイメージづくりをしてきたのです。
ですが、もうそんな生き方をするときではありません。
11年目のサイサイは、そう宣言しているのです。
これはきっと、Poppin'Partyにも言えることなのでしょう。
歌詞~前向きな想いを込めて
未来へ もっと 突き進むだけ
蹴飛ばして もう 操り人形じゃない
負けないで もっと 輝(ひか)る自分を
傷も涙も夢も 嘘じゃない
私を ずっと 縛ってた糸
切れた今 どんな 風に踊るのかを
見ていて ずっと 目をそらさないで
自分次第で変わる この世界で
出典: Up To You feat. 愛美 from Poppin'Party/歌詞:すぅ 作曲:クボナオキ
ふたりのヴォーカルが互いに語り掛けるように歌うのは、未来へのヴィジョンです。
操り人形だった今までの自分から脱却して、前に進むことを勇気づけ、祝福するエールです。
ただそれは、今までの自分を完全に否定しなさいという意味ではないのでしょう。
この10年の活動で受けた傷、流した涙、そして、描いてきた夢――それも決して否定できない歴史です。
道は分かれても想いは通じる
MVのラスト、暗闇の中に歩みを進めて行く愛美さんを、サイサイのメンバーたちが見送っています。
進む者、立ち止まって見送る者、どちらにも未来があります。
心の中に、自分を変えたいという強い意志を持ち続ける限り。
SILENT SIRENとPoppin'Party、互いに向けられたエールを表現したラストシーンなのでしょう。
自分へ、友へ、そして未来へのエール
10年目の節目を迎えたSILENT SIRENが今後どんなスタイルを目指すのか?
Poppin'Partyやバンドリの他のバンドとどんなコラボを見せてくれるのか?
そして一方、Poppin'Partyはどんな活躍をするのか?
ふたつのガールズバンドの今後の活躍から、決して目が離せません。