デビューして2015年には10周年を迎えたAAA。数々の曲を踊り歌い伝えてきた実力派の6人組の個性豊かな歌いっぷりは、不動の立ち位置にいるのではないでしょうか。
その明白な位置づけをした「CALL」の秘密を解き明かしていきましょう。
歌もダンスも抜群のパフォーマーAAA
AAAは「Attack All Around(すべてのことに挑戦する)」のこと。
その名のごとくまさに歌やダンスにモデルや俳優、そして監督業などあらゆるシーンで個性を生かしながらもグループとしてAAA(トリプルA)の実力が公に認められたといってもいい2011年の日本レコード大賞優秀作品賞の「CALL」は、その年のNHK紅白歌合戦でも披露されています。
絶妙なタイミングでのRapの歌詞
教えてほしいとネット上でもCALL
つい何となくメロディのないRap部分はやり過ごしてしまうところですが、実はこの部分に案外伝えたいメッセージが表現されているものです。
ところが「CALL」のリズミカルな音楽にのせられたRapの部分に興味を持つ人も多く、その切ない心境を見事に凝縮し表現していますね。
90 trrr...毎晩のように
受話器の向こう、その素顔にCALL
言葉でキス、また言葉でハグ
不安を消す様に言葉選ぶ
“@” “ . ” “ / ” に “ハートのマーク”
ラブに比例する絵文字の数
メールでキス、またメールでハグ
でも言葉は迷路、不安が迫る
出典: CALL/作詞:Kenn Kato,Mitsuhiro Hidaka 作曲:Masanori Takumi
口からの言葉とメールの言葉の差がRap部分の歌詞からも感じとれます。
同じキスやハグでも伝える手段でそのニュアンスには大きな差が出るもの。
ましてや言葉で伝える限界、相手を目の前にして伝えて言うことの大切さ、でもそれがかなわないもどかしさが伝わってきますね。
”たわいのない文字の羅列がひとり歩きをはじめる”とデジタル文字の危うさを表現
たわいもない文字の羅列が、
ひとり歩きを始める
時に小さな誤解さえも、
こじれてしまうんだ
出典: CALL/作詞:Kenn Kato,Mitsuhiro Hidaka 作曲:Masanori Takumi
Rapの詞をさらにメロディにのせて印象付けしています。
画面上の文字だけでは、伝えたい思いはなかなか伝わらず、ましてやほんの些細なことでさえもそんなつもりじゃと大きな誤解へ変化していく様を文字を擬人化してメッセージしています。
わかっていてもついまあいいかの軽い心が溝を深めていくもの。
心裏腹な状況が特に生まれやすいのも画面上の文字なのです。
素直な気持ちはけっしてわがままではない
触れあいたがった
あの日のふたりはわがままじゃない
あるがままの想いを、
ぶつけあいながら、でも受け止めてた
出典: CALL/作詞:Kenn Kato,Mitsuhiro Hidaka 作曲:Masanori Takumi
出会った頃、ただ一緒にいたかった、触れ合っていたかったという思いを伝えていたのではなく、ぶつけ合っていたというフレーズは思いの強さがうかがえ、またそれはわが思いのわがままではなくて、本音の素直な気持ちが吐露されていることが伝わってきますね。
そしてそんな強い思いでさえも受け止められてたほど、心に余裕もあったことがうかがえます。
またその頃の気持ちを取り戻したいというサビにつながっていくこの歌詞は、純粋な若者の心をそれこそ素直に表現していて、見事なサビへの導線になっています。
呪文にかかってしまう歌詞
信じてる、って
諸刃の呪文
使い過ぎると不安になる
モラルだけじゃ判別不能な
ボーダーラインで右往左往するんだ
出典: CALL/作詞:Kenn Kato,Mitsuhiro Hidaka 作曲:Masanori Takumi
「信じてるって諸刃の呪文」というくだりには、状況も心境もストレートに表現している中にあって、この部分はとても耳に残って魅了される部分でもあり、心に刺さるフレーズです。
言葉って何度も重ねると、また重ねれば重ねるほどに言葉の意味さえなくしてしまうほど不安定なもの。
一般的なモラルのなかでは判断できない、まさに言葉の大きな壁を前にして戸惑う心の葛藤が伝わってきます。
信じること、信じ切ることの難しさをこんな表現にしてしまう感嘆すべき詩的な表現です。
でもその難しさがこのワンフレーズにたたみこんである、歌詞作りの冥利につきるところではないでしょうか。
まさに味わえる歌詞ですね。