「ひともどき」の示すものとは
恨みながらも、愛してしまう日々
人の形で人になれずに
呪って恨んだ世界を
愛してしまった
優しい人の人になれずに
この命を愛してしまった
出典: ひともどき/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
確かに人間の形はしているのに、他の人と同じように走り回ることができない主人公。
どうしてこんな体なんだろう……。
どうして健康になれないんだろう……。
自分を責めて責めて、ついには世界すら恨んで。
それでも心臓は変わることなく動き続け、自分が本当は「生きたい」と願っていることに気がつかされます。
産んでくれた優しい母に恩返しがしたくても、そんな力は残っていません。
母にとって、誇るべき子供になりたかった……。
そんな悲痛な思いが伝わってきます。
虚無感の中で憧れたのは
心臓よ 心臓よ
いっそ止まってほしかった
ボクをひともどきと呼ぶ
出典: ひともどき/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
前にも後ろにも進めない虚無感の中で、主人公は死を願う言葉を口にしています。
しかしそれは苦しみから逃れたいがゆえの悲痛な叫び。
本当に憧れているのは、「愛」や「未来」を臆することなく語り合える「普通」の日々なのです。
それすらも願うことを許されない「ひともどき」。
人間としての自由を病気に奪われ、切ない中でただ自由を願うのが「ボク」でした。
まとめ
健康な人にとっては「他人事」、でも確かにそこにある世界を描いた「ひともどき」。
そんな日常に潜む出来事を悲しく、そして美しく描くのがまふまふさんの魅力でもあります。
月が見せる幻想的な世界がモチーフの「朧月」は、その歌詞の美しさに魅了される1曲。
日本ならではの言葉の数々が、聞き手それぞれに異なる解釈をもたらしてくれます。
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また、ボーカロイド楽曲を手掛けてきたまふまふさんは、独特のメロディーラインも特徴的です。
体が乗り出してしまうような「夢のまた夢」は、さまざまな演奏技術が詰め込まれた渾身の1曲!
こちらも言葉遊びに着目し、隠された意味を読み解きながら聞くのがおすすめです。
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全て自身がプロデュースした今回の楽曲「ひともどき」。
まふまふさんを始め、人間が抱える心の闇を、新たな形で世に発した1曲となりました。
これまで顔を見せず、その姿は謎に包まれてきたまふまふさん。
そんな彼が素顔をあらわにしてまで伝えたかったことが、ギュッと詰め込まれているのです。
まふまふさんを語る上で、重要な1曲となることは間違いありません。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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