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2018年06月13日更新

【朧月/まふまふ】自分の意思に反した境遇にいる人へ…!歌詞の意味を解釈!茶々ごまが手がけた美麗MVも

まるで大正ロマンを思わせるような『朧月』。 今回は、マルチクリエイターである「まふまふ」さんが手がけたこの曲の歌詞と、「茶々ごま」さんが手がけたMVを紹介していきたいと思います。

大正時代にタイムスリップしたかのような『朧月』

大正ロマンあるいはゴシックロマンの世界観

朧月(おぼろづき)』は、クリエイターでありボーカリストでもある「まふまふ」さんが、2018年に「YouTube」へアップした楽曲です。


歌詞は独創的な世界観です。


不本意な相手と結ばれる」というシナリオは、大正ロマンあるいはゴシックロマンの世界観に通じるものがあります。


今回は『朧月』の歌詞解釈楽曲MVを紹介します。

『朧月』の特徴点

荘厳な言霊(ことだま)の響きを味わう

『朧月』の特徴的な点を以下に挙げます。


まず、現代の日本人が使用しない古語が、ふんだんに使用されています。


つぎに、文(センテンス)・語句、特に固有名詞の使い分けが明確です。


そして、体言止め(語句の最後を体言で止めること)の多用です。


さらに、作品中で二人の恋愛をあえて書かないことによって、リスナーに想像させる余地がある物語構成になっています


以上、これらの特徴的な点は、後ほど解説していきたいと思います。


では、Aメロの歌詞MVを紐解いて行きましょう!!


※漢字の読み方がむずかしい語句には、ルビ(ふりがな)を振っておきました。

唐突に始まるAメロ!!

馴(な)れ初(そ)めを知らぬまま 薄紅点(さ)した宵時雨(よいしぐれ)
朔日(ついたち)に洗われて 真白になれたら

出典: 朧月/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

イントロが無く、いきなりAメロに入ります。


フェンダー・テレキャスター」を思わせる、硬質なエレキギターの音が鳴りはじめます


馴れ初め」とは、「恋人同士が知り合ったきっかけ」という意味です。


次の「知らぬ」という歌詞ですが、一般的な現代文法の言い回しだと「知らない」という語句になります。


つまり「」で終わるこの文は、古語です。


次の「点した」という言葉もあまり一般的ではないですが、「垂らした」と同じ意味です。


例えば「液体をスポイトで点した」というふうに使用します。


宵時雨」は、2つの語句から構成される言葉です。「宵」と「時雨」です。


」とは「日が暮れてから間もない時」という意味です。


時雨」とは、「秋から冬にかけて急に降ったりやんだりする雨」という意味です。


また、「宵時雨」は、1つの文の終わりです。


このように、文を固有名詞などで完結させる技法のことを「体言止め」といいます。

Bメロ

幼き日々は貴方の傍(そば)
悠々(ゆうゆう) 夢の果て

出典: 朧月/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

Bメロは、特に際立った古語はありません。


悠々」は、3種類の意味があります。


1.遠く遥かな


2.時間が久しく長い


3.ゆったりとしていて落ち着いている様子


この場合の意味は、上に挙げたどの意味でも通じると思います。


しかし、「夢の果て」という語句が後に続くことから、2の意味だと思います。


Bメロは、ボーカルにエフェクトがかかっています。


エフェクトの種類は、フランジャー(同じ2つの音をずらす)と軽いディストーション(音を歪ませる)だと思います。


このような処理が、楽曲の持つ幻想性を高めるのに一役買っています。

制限された字数で表現される悠久の情景

サビ

今宵は誰(た)がために踊るのでしょう
霞(かす)む 私は朧月
手繰(たぐ)り寄せる 朱殷(しゅあん)の糸口よ
貴方に続けと願う

出典: 朧月/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

サビの歌詞です。


日本古来からの文字芸術である「短歌」や「俳句」に似たニュアンスを感じさせる歌詞です。


少ない文字数から、リスナーのイメージ喚起力に直接訴える、良く選び抜いた言葉を使った歌詞でもあります。


誰がため」という表現は、文語体です。


現代の口語体に訳すと「誰のために」という意味になります。


この言葉の表現は、ノーベル賞作家、ヘミングウェイの邦訳作品名『誰がために鐘は鳴る』という表現に代表されます。


朱殷」とは、色の表現です。


時間が経って血の色のようになった朱い色のことです。


そのあとに「糸口」という言葉がくることから、否定的な意味での「赤い糸」、例えば結ばれない「赤い糸」が連想されます。


また、「私」が「朧月」だ、と表現しているので、この比喩表現は「擬人法」になります。


こういった修辞(レトリック)をいい塩梅に使用することによって、「主人公」と「私」が登場する「おとぎ話」あるいは「神話」のような、壮大なストーリーが展開されます。


歌唱の方に耳を傾けると、男性とは思えないような、澄み切った高音を出しています。


また、「誰がために」と「朱殷」のところで「コブシ」を入れています。


「コブシ」を入れることによって、メロディーに色彩感覚情感を持たせることに成功しています。

間奏~2番Aメロ

華やかな景観に 当てられ世人(よひと)は列(つら)なる
愛しみは幾匁(もんめ)
花は一匁

出典: 朧月/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

間奏でメロディーを奏でるのはです。


竹を割ったような澄んだ音色は、日本的なこの曲にピッタリの楽器ですね!!


2番Aメロの歌詞です。


世人」とは「一般大衆世間の人」という意味です。


ここでも古語が使われています。


当てられ」という表現は、文脈から察すると文字とおりの意味ではなく、「惑わされて」といった意味になります


」という、昔の数量単位が出てきます。


「匁」という言葉には、重さを表す場合と、金額を表す場合があります。


この曲の場合だと、後者の方を表す意味でしょう。 


また、昔からこどもが遊ぶ「はないちもんめ」と掛けている、とも推察されます。

2番サビ

知らぬ吐息を浴び 軋む帷(とばり)
今は不香(ふきょう)の花でありたい
顔の無い人影に絆(ほだ)されて
手折(たお)られてしまうのなら

出典: 朧月/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

」とは、「室内にたれさげる布」のことです。また、「光を遮るものの例え」、という意味もあります。


不香の花」とは植物の花のことではなく、「」を表します。


絆されて」とは、「情にひかれる」または「情に流される」という意味です。


手折る」とは、「花を手で折る」という意味と「女性をわがものにする」という意味があります。


このように、サビを構成する語句に、2重の意味を含むものが多く解釈はいちようではありません


雪のような月」なのか「想ってもいない男性と結婚してしまう女性」なのか解釈は分かれますが、ここでは「女性」を歌っているように思います。 

現代的なメロディーが流れる

Cメロ

袖口の手毬(けまり)は転ぶ 暗がりの方へ
ねえ お願い ひとりにしないで
雲間に消える

出典: 朧月/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

毛毬」とは、昔の遊戯のひとつです。


毬が地面に落ちないように、数人で蹴りあいます。


昔の日本人は和装(着物)でした。着物は袖口が広いです。その袖口に毬を入れていたのでしょう。


もしこの曲の主人公が「薄幸な女性」だとしたら、「雲間に消える」のはその女性の想いだと思います。


女性」=「朧月」と解釈すれば、客体である「朧月」が「雲間に消える」と読み取っても良いかもしれません。


Cメロは、今までの日本的なメロディーとは少し違うメロディーラインになっています。


曲のすべてに渡って同じパターンのメロディーラインを入れるのではなく、このようなメロディーラインを入れることによって、現代的な楽曲に仕上がっています

3番サビ

愛しい 愛しいよ と木霊(こだま)した
日々は想うほどに遥か
冷めぬ心に霏霏(ひひ)と 六(む・むっ)つの花
芽吹(めぶ)きと共に
あの人のもとへ 帰ろう

出典: 朧月/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

Cメロの歌詞です。


木霊」とは、「やまびこ」のことです。


 また、「音が反響するさま」を言い表します。


霏霏」とは、「雪や雨などのふりしきるさま」、「続いて絶えないさま」という意味です。


芽吹き」は、「植物の芽が生えてくる」ことをいいます。


この曲の歌詞は、「擬人法」を上手く使っています。


「木霊」も「霏霏」も「芽吹き」も、恐らくは主人公の心情を描いていると思うのですが、それを「月」や「雪」に例えて、美しく、情感のこもった歌になっています


Cメロの前半は、ボーカルにエフェクト処理がかかっています。

大サビ

遊里(ゆうり)に咲く雪月花(せつげつか)
霞(かす)む 私は朧月
手繰り寄せる 朱殷の糸口よ
貴方に続けと願う

千切れぬ明日に 契りなどない
薄月の色

出典: 朧月/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

大サビです。


遊里」とは「色街(風俗街)」のことです。


ちなみに、「色街」を舞台とした映画作品で名高いのが、名取裕子さん主演の『吉原炎上』です。


千切れぬ」と「契り」という同じ響きを持つ2つの語句を並べて、一種の言葉遊びをしています。


千切る」は「指先で細かく切る」という意味、そして「契り」は「約束する」・「夫婦の交わり」という意味です。


非常に文学性の高い歌詞です。


「薄月の色」のところで、いったんメジャーコードになっています。


そして歌が終わり、間奏に入るのですが、再びマイナーコード(元のルートコード)に戻っています。


こういったところも良いアクセントになっています。


また、曲と歌詞の余韻を残すように、終わりはフェードアウト(じょじょに音が小さくなって終わる)になっています。 

MV解説!!

『朧月』のMVは、イラストになっています。


そのイラストの中に歌詞が表示されています。


イラストの作者は、「まふまふ」さんとのコラボレーションが多い「茶々ごま」さんが手がけています。


「赤」をモチーフとしたMVは、京都の寺吉野の里を思い起こさせる、日本的なつくりになっています。


主人公の女性が身に付けている着物の色も赤です。また、紅葉したイチョウの木々を彩るのも赤です。


男性が少しだけ登場しますが、男性の着物は青です。


情熱的な赤冷静な青という対比なのかもしれません。


キャラクター造詣は現代的ですが、背景の舞台装置は古風です。


現代性と時代性が見事にマッチしています。


そういう意味では、このMVは新しいジャンルに類します。

おわりに

いかがでしたでしょうか?


今回は『朧月』の歌詞とMVを紹介しました。


リスナーのイメージ喚起力を最大までに高める文学的な歌詞は、曲無しで音読しても、その音楽性が伝わる素晴らしい歌詞です。


イラストを主体としたMVも、現代的なキャラクターがあることによって、ただ日本的なだけではない、新しいジャンルの映像を作ることに成功しています。


ぜひ皆さんも、筆者が解説したこの記事を読みながら、『朧月』を聴いてみてください!! 

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