② 「恐怖」
きっとあなたと私はいつまでも一緒にいられない
何か食べようか ここで話をしようか
出典: https://www.uta-net.com/song/162130/
時の流れは、だれも止めることは出来ません。
主人公のかなしみなど全く相手にせず時はただ流れていきます。
彼女の前で、心が沈んではいけない。
でも、まだ彼女に病状を伝える勇気がありません。
彼女の心の動揺が怖いのです。いいえ、別れが怖いんです。
彼女に悟られないためにどうしたらいいのか、悩んでいます。
大切な人に心配をかけたくない。
大事だからこそ、こんな重い荷物を背負わせるわけにはいかない。
あるいはもしかしたら、こんな自分を彼女が捨ててしまうかもしれない。
どうしたって主人公には、この病気を彼女に打ち明けた後。
これまでのように2人で一緒にいる日々の想像がつかないのです。
2人でいる今この瞬間が幸せだから。自分と彼女の関係を変えたくない。壊したくなんかない。
そう思い、自分の気持ちや真実を伝えるのが臆病になってしまう。
そんな経験は、どんな形であれきっと誰にでもあることでしょう。
③ 「いのち」
「そんじゃまたね 明日ね」
そんな風に今日を終えども
明日なんて見たこともないのにさ
随分あっけらかんとしてるわ
望むのは簡単だ あなたのいる未来が
ただこの目に映るくらいでいい
私はそれで眼福さ
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押し寄せる切迫感の中で、何も話せず、明るい声で「そんじゃまたね 明日ね」と今日を終えた。
明日のいのちが分からないのに、今日もまた、「明日ね」と言って手を振った。
むしろ明日のいのちがわからないからこそ、きっと彼は当たり前のように別れたのでしょう。
まるで当たり前に、2人に明日が来るかのように。
主人公の願いは何でしょうか。出来れば、元気で彼女と人生を歩いていきたい。
そんな些細な幸せも、明日のいのちがあるかわからない彼にとっては当たり前の願いではありません。
人にとっては些細な願いかもしれませんが、彼はどんなものを犠牲にしてでも、それを手に入れたいと。
きっとそう望んでいるのです。
血を吐くような思いで、何度も考え、何度も主人公は、自分の心に問いかけて来たのです。
闘病生活に絶対負けないと心に誓ったのです。
けれどそれが叶わないとしたら、どうしても叶わないとしたら。
酷な願いかもしれないけれど、それでもあなたには笑っていて欲しいのです。
例え自分がいつか、彼女のそばからいなくなったとしても。
彼女が幸せに生きている姿を遠くで、 時々見ることが出来たらいいな。
彼女の、幸せこそが、主人公の本当の願いです。
それが、眼福だと言い聞かせてでも、出来たら一緒が良いと思ってしまうのです。
愛する人を残していく哀しみ
④ 「願い」
何にも役に立たないことばかり教えて欲しいや
こうしてひっそりと時が進むまま死ねたら僥倖さ
雨が降り落ちはねる音を聞く彼女に寄り添って今
何にも役に立たないことばかり教えて欲しいや
出典: https://www.uta-net.com/song/162130/
誰にも言えず、隠していたこと、失恋体験・生きて来た中で、年それぞれの時代の 悲しい出来事。
いろいろな時代の忘れられない批判の言葉などを、主人公は彼女にいつも聞きたがりました。
主人公の問いかけに、彼女は、いつも「私の体験など、何の役にも立たないわ」と言って回答を拒みます。
「私のわがままが見えて、あなたにいい気分を与えないかもしれないし、ねぇ。」
当然ですが、人間生きていれば嬉しいことや楽しいことより、辛いことや悲しいことの方が多いもの。
自分はきっと、彼女より先にいなくなってしまうでしょう。
辛かった過去の彼女に寄り添えなかった日々や、これからの彼女の苦難の日々。
それらから彼女を助けることのできない悔しさが、主人公の胸を突くのです。
でも、彼女の心の歴史を知りたい。彼女という人の心の道程を知りたいのです。
このまま、彼女のぬくもりの中で死ねたらどんなに幸せでしょう。
降り注ぐ雨の音を、目を閉じて聞く彼女のそばにいて、主人公は彼女の全てを知りたいと願うのです。
⑤ 「気づき」
水の無いバスタブにふたり浸かり目を閉じている
雨が窓を突く ここで話をしようか
出典: https://www.uta-net.com/song/162130/
主人公は気づきます。主人公の体調ももっと管理できたはずなのに。
なぜ自分はこんなに取り返しのつかないことになるまで、自分の存在をおろそかにしてしまったのか。
そう思ってもすでに時遅し。昔の主人公には、きっと想像もつかなかったのです。
いつか自分以上に、自分のことを大事に思ってくれる人の存在が現れることを。
自分の存在が失われることを、こんなにも嘆き悲しんでくれる人が現れるということを。
悔やみきれない悲しみが心の底から、湧いてくるのです。
無邪気にバスタブに入って雨の音を聴きながら、目をつぶって主人公の次の話を、 彼女は待っているのです。
主人公の心は、深い「苦しみ」に包まれて行ったことが歌われていると感じました。
ここで、病気のことを告白すべきか迷うのです。
⑥ 「誓いの移ろい」
「きっと二人は 大丈夫さ」
子供みたいに笑う
その鼻先が頬を突いて笑う
言葉を捨ててまた笑う
望むのは簡単だ あなたのいる未来が
ただこの目に映るくらいでいい
私はそれで眼福さ
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