ウォルピスカーター【雨子】
高音を武器に活躍する男性歌い手
2012年に歌い手としての活動を開始したウォルピスカーターさん。
男性とは思えないほど美しいハイトーンボイスを武器に、様々な楽曲でファンを魅了してきました。
さらにワンマン公演を「株主総会」と呼ぶなど、ユニークな世界観も魅力の1つでしょう。
切ない物語
そんな彼が2019年10月27日にリリースした配信限定シングル。
それが今回ご紹介する【雨子】です。
主人公はおそらく小学生くらいの男の子。その彼が出会ったのは、雨の日にしか現れない女の子でした。
彼女との交流を通して僕が気が付いた真実とは?
そして雨の日にしか現れなかった雨子とはいったい誰なのか?
僕と蛙
いつもと同じでいつもと違う
蛙は傘の先を逃げるように
いつもどーりの帰り道だよ
昨日と違うのは君の傘が無い
ひとりきりの帰り道だよ
出典: 雨子/作詞:はるまきごはん 作曲:はるまきごはん
主人公の男の子が1人で歩くシーンから物語ははじまります。
「蛙」「傘」という単語から、雨が降っているのだとわかりますね。
自分の前をぴょんぴょんと飛び跳ねる蛙を見ながら、僕は現在の状況に違和感を覚えていました。
その理由は3-4行目にある通り。
僕にはいつも一緒に帰っていた誰かがいました。しかしどういうわけか、今日はいないのです。
ただ、僕は違和感を抱きつつも君がいない理由には心当たりがありません。
こうして僕が抱く違和感は、リスナーにも同じように違和感を残しました。
この楽曲に心惹かれる人が多いのは音楽性だけでなく、こうして心の動きが主人公とリンクすることも1つの理由でしょう。
僕の記憶に隠された秘密
「どうしてもどうしても
忘れられないだろう
サンダルの少年と日に焼けた記憶が
隠してるのは?
出典: 雨子/作詞:はるまきごはん 作曲:はるまきごはん
蛙は僕と会話することができません。しかし何かしらの想いを持って僕に近づいているのだと考えられます。
サビに当たるこのフレーズは全体がカギカッコで括られていることから、誰かのセリフだとわかりますね。
このセリフを発したのが、蛙だったのではないでしょうか。
蛙が最初に触れたのは、僕の記憶に関することでした。ただしその内容は非常に曖昧。
2行目で忘れるはずがないことを示しつつも、4行目ではその記憶が確かではないことが示されているのです。
つまりそれが僕にとって、忘れてはいけないけれど思い出したくないほどの衝撃を与えた出来事の記憶ということでしょう。
人は大きなショックを受けると、一時的に記憶喪失のような状態になることがあります。
「解離性健忘」と呼ばれるその現象が、この楽曲の主人公の身にも起こっているのでしょう。
伝えたいけれど伝わらないから
それじゃ帰ろうか
放課後にまた会おう
なぞなぞの答えはまた明日
考えてみてね」
出典: 雨子/作詞:はるまきごはん 作曲:はるまきごはん
しかし家に辿り着くまでの時間では、その記憶が何か明かされませんでした。
僕が思い出せなかった、むしろ思い出そうともしていなかったのでしょう。
引き続きその記憶と向き合って欲しい。そんな想いを抱きながら、蛙は僕と別れます。
ただ、言葉を持たない蛙は僕にその願いを伝えることができません。
でもなんとかしてこの記憶と向き合って欲しい。そう願った蛙はこの後、とてつもない変化を遂げます。