Mrs. GREEN APPLE【私】歌詞解説！私が「私」を生きていける理由とは？届かなかった想い…

追憶の中の貴方の瞳は、日々変わらない夕陽と同じく変化しません。

確固として固着した想い出の懐かしくも優しい瞳。

私は恋心を伝えきれなかったは後悔しているかもしれません。

しかしあの日々の中で貴方と出会えてささやかながらも想い出を作れたことは誇りでしょう。

そうした貴女の瞳を想い返しながら新しい未来を築いてゆくことを決意します。

私の出発点となるような幼い恋の記憶を胸に懐きながら新しい人生を生きてゆくのです。

私はあの頃と同じ場所で空気を吸っている。

私は「私」の人生を生きてゆくことを再確認したときに、私の周りを囲んでいた鉤括弧が消えます。

私は鉤括弧が要らない私自身になれたのです。

「私」はラブソング的な装いをしますが、本当に最後まで歌われたのは私の成長でしょう。

Mrs. GREEN APPLEが、大森元貴が、普通のラブソングを歌う訳がないのです。

必ずリスナーへと問いかけるような仕掛けと問いかけを用意しているのが大森元貴の歌詞でしょう。

私と貴方が同じような速度で歩いていた時間はいつ頃だったでしょう。

中学生か高校生なのでしょうが、時期によって恋愛の質が変わるかなとも想います。

いずれにしても成就しなかった恋愛。

お互いが優しさを持ち寄った関係でありながら、最後にお互いの恋心を確認できなかったこと。

こうしたうまくいかなかったからこそ記憶に残る淡い想い出が私たちにもあるはずです。

Mrs. GREEN APPLEの「私」は優しい貴方の瞳の記憶に感謝しながらストーリーも進みます。

その先で待っていた結論、それはつまり私は「私」を生きたいのだという決意でした。

このまま夕陽を綺麗だと眺められるうちはこの場所で生きてゆくだろう。

そうして最後には私は私以外の何者でもなくなります。

歌い出しの追憶の中に生きた私は、明日を臨む生身の私になっているのです。

冬はいずれ雪解けとともに消えゆきます。

誰にも平等に花が咲く季節が到来するでしょう。

新しい恋を育む季節は目の前です。

リスナーは歌詞の中の私とともに6分7秒の作品の中で成長します。

私が私の人生しか生きていけないこと。

リスナーのひとりひとりもまったく同じ条件であることを知らされるのです。

大森元貴はリスナーに刺さる歌詞を書くことを考えています。

彼が伝えたかったのは愛の情景だけではなく、新しい恋への期待も含めた未来への希望でしょう。

Mrs. GREEN APPLEの「私」の最奥の秘密は明日も私なりに生きて欲しいという願い。

長くダイナミックに揺れ動くサウンドでしたが、歌詞によって伝えたいことは強固です。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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