かけがえのない風景
言葉以上に その美しさは 細やかな太陽の光のように
色めく日々を優しく湛えてくれる
きっと宝石は こうして生まれてる
出典: 宝石の生まれるとき/作詞:やなぎなぎ 作曲:北川勝利(ROUND TABLE)
言葉だけでは伝わりきらない日々の中に溢れている美しさ。
その輝きを蓄積しておけるのが、心なのでしょう。
かけがえのない日々を暮らす中で生まれた、二度と忘れることのできないたくさんの感情。
記憶はいつか薄れていってしまいますが、その想いは形を変えながら自分の一部として心に残り続けます。
主人公は、そんな様々な想いが集まった結晶が宝石だと考えているのです。
心の内部でキラキラと輝く反射光が、ふとした瞬間に暗い気持ちも晴らしてくれる。
それを簡潔に言い表すなら、生きる原動力といえるかもしれません。
好きな人のことで頭がいっぱい
色めく時間を知る前には
どうしてすごしたかな
自然に交わした遣り取りさえ あきれるくらいにぎこちなくて
出典: 宝石の生まれるとき/作詞:やなぎなぎ 作曲:北川勝利(ROUND TABLE)
好きな人に対する自分の特別な感情に気づく前には、どんな風に日々を過ごしていたのか。
それすら思い出せないほどに、主人公は想いを寄せる彼のことで頭がいっぱいなのでしょう。
自分の気持ちに気づく前は普通に話せていたはずなのに、今では目を見て話すことさえできない。
素直になりたいにも関わらず、何故か今まで通りに接することができず、変な空気が流れる空間。
彼もそれに気づきながらも、どうしたらいいのか分からず、ぎこちなさが生まれているのでしょう。
2人が向かい合う光景が目に浮かびます。
恋をしていることが2人の関係をぎくしゃくさせている。
不自然さはありながらも、そこに不穏さは漂っていません。
主人公にとってはそんなぎこちなさも、愛おしい時間の一部分なのでしょう。
冷静を装う
なんでもない風に ジョークにして
その笑顔反射するルース 眺めていたい
出典: 宝石の生まれるとき/作詞:やなぎなぎ 作曲:北川勝利(ROUND TABLE)
主人公は、自身の彼に対するぎこちなさを恥ずかしく思っているのでしょうか。
以前と同じようにできず、彼の前ではそわそわしてしまう彼女。
彼に対しての想いの大きさを物語っています。
2人の間に時折流れる沈黙。
そんな自分のぎこちない態度さえ笑い飛ばしてしまおうと主人公がジョークを言っているのでしょう。
それを聞いて、笑う彼の屈託のない笑顔。
彼女はそんな彼の笑顔に見とれています。
そんな愛する人の笑顔が反射するある物を、主人公は「ルース」に例えています。
「ルース」も、宝石に関するワードのようです。
その意味を調べてみました。
ルース・ストーン(loose stone、ルースと略される) - 研磨されカットを施されたがまだ枠や台についていない宝石。裸石。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ルース
「ルース」というのはまだ台座に取り付けられていない宝石の石のことを表しています。
主人公にとって、彼に対する想いは磨かれた宝石のようなものなのだとここで分かります。
宝石のような日々の中で、その瞬間が彼女の今までの彼への想いの蓄積と反応し合っている。
積み重なった想いの中だからこそ、彼の笑顔は彼女にとって更に素敵に感じられるのでしょう。
心で反射する彼の笑顔が、更に彼への想いを募らせていきます。
日々を照らす宝石の輝き
宝石のような夜
生まれた石を空にこぼしたら 寒空に瞬いた一等星
夜を照らして 途端に世界を宝石箱に変えてしまった
出典: 宝石の生まれるとき/作詞:やなぎなぎ 作曲:北川勝利(ROUND TABLE)
彼への好意が結晶となって生まれた宝石のような気持ち。
その想いを胸に寒い夜に外を歩きながら、ふと空を見ていた主人公。
そんな中で目に留まったのは、夜空に輝く一等星。
まるで自分の心にある宝石が空で輝いているように感じたのでしょう。
その輝きに目を奪われている彼女。
普段なら見落としてしまうような小さなことも、今では全てが輝いて見えているのかもしれません。
それはまるで魔法のように、何気ない日常さえかけがえの無いものに変わってしまいました。
ただ恋をしただけなのに、世界の全てが鮮やかな色で彩られているように感じる。
宝石で例えながら、恋によって世界が変わっていく様子を描いた歌詞パートです。