シンプルなジャケットからは想像つかないほど濃厚なアルバムになっています。
凄まじい剣幕で怒鳴り散らしている『男は行く』に始まり、火鉢を抱いて引きこもる『晩秋の一夜』で終わる超・問題作。
他にもみんな働いてるけど俺は家で寝るわという『月の夜』や、火鉢に向かってなぜ俺は引きこもりなのかと自問自答する『遁生』など、ネガティブソングが延々と続きます。
(のちに『遁生』はSyrup16gの五十嵐隆によりネガティブ大増量でカバーされました)
ひたすら眠るか火鉢を焚くか……究極の引きこもりアルバムです。
今でこそ引きこもりなど珍しくない(むしろありふれている)コンセプトですが、当時はバブル景気真っ最中。
こんな重いアルバムを出したのはエレファントカシマシの他にいたのでしょうか?
バブルに浮かれた世間が見向きもしなかったのは当然の成り行きかもしれませんが、ファンからは名盤の呼び声が高い傑作です。
きっと原作者の新井英樹もこの名盤をヘビロテしながら執筆に励んでいたことでしょう!
『宮本から君へ』も重かった
当時、いわゆるヒットチャートとは縁遠かったエレファントカシマシ。
そんなバンドに影響されていた『宮本から君へ』もまた、世間からの風当たりは強かったようです。
宮本が未熟なまま社会でがむしゃらに生きていこうとして失敗と挫折を繰り返すさまは、読者の間に「ああいう暑苦しい男は嫌いだ」という猛烈な宮本バッシングを巻き起こした。
新井英樹の証言によれば『POPEYE』か『ホットドッグ・プレス』のいずれかの男性誌で嫌いな男性アンケートの第1位に宮本が選ばれたこともあったという。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/宮本から君へ
いくら何でも嫌われすぎです!
泥臭い生き方がどうしてここまで毛嫌いされるのか理解に苦しみますね。
でもそれがバブルという特殊な時代なのかもしれません。
泥臭さ、生き辛さをテーマに置いた漫画やドラマも、やはり現在では珍しくないものです。
そんな泥臭さは男らしさの象徴として受け入れられるでしょうし、もう一度アンケートをやり直したなら真逆の結果になりそうです。
平成も間もなく終わってしまいますが、ようやく世間が「宮本」に追いついたみたいです。
28年越しの共演
うたかたの悦楽に日本中が興じていた頃、どちらの「宮本」も人生のままならなさや苦悩を孤独に表現していました。
その両者が28年の時を経て『Easy Go=気楽に行こう』で繋がるとは、運命的なものを感じます。
どちらのキャリアも順風満帆な時ばかりではなかったからこそ、「気楽に行こう」に込められた説得力が桁違いですね。
それも無責任で投げっ放しな「頑張れ」ではなく、隣で肩でも組みながら熱く励ましてくれるようです。
酸いも甘いも嚙み分けた人間にしか出せない強いメッセージ性ですね。
バブルのように浮かれ気分なだけではいられない現代だからこそ、彼らの作品が求められているのでしょう。
実は二度目のコラボ
実はエレファントカシマシと新井英樹は今回が二度目のコラボです。
2013年に発売されたトリビュートアルバムのジャケットには『宮本から君へ』のイラストがそのまま採用されています。
現在3種類のトリビュートアルバムが発表されていますが、当然このジャケットが一番熱いです。
もし『Easy Go』をシングルカットするならばジャケットはこれで決まりでしょう!
まとめ
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