ここで「君」という人物が登場します。
そしてそれと共に登場する「愛」という言葉。
ここで「君」が主人公の恋人ということがわかります。
と、同時に前述した「あの日」というのが「君との別れの日」ということがわかりますね。
最初は、永遠の愛を誓い合ったと信じていた主人公。
しかし、蓋を開けてみれば主人と奴隷のような関係性に陥る…。
それに気がついてはいる。そして、別れを考える瞬間もある。
でも、そんな主人公の気持ちを知ってか知らずか優しい仕草を見せる「君」。
そんな「君」の思惑を完全に知りながらも浮かれてしまう主人公。
この関係がずっと続いていくのかな、と主人公は未来予想図を描いていきます。
しかし、それは所詮青写真に過ぎません。
別れの日には、その青写真はビリビリに破かれてしまうのです。
強気になっていく「僕」
こんな闇早く抜け先へ 君の体思い出すのも飽きたし
開けた向こうに待つのが例えなんであれ僕はかまわない
あれ いつからこんな強気だ?
出典: view/作詞:大橋卓弥・常田真太郎 作曲:大橋卓弥・常田真太郎
別れの悲しみというトンネル=闇からは早く抜け出したい「僕」。
そう思っているとだんだんと強気になっていきます。
夜に重ねた体を思い出すのも「飽きた」。
悲しみのトンネルを抜けた先に何が待っていようと全てを受け入れる。
そんな風に「僕」は考えます。
しかしその「強気」は要は「強がり」ということはすぐに見抜けますね。
「飽きた」と言いながら何回も思い出しているのは未練たらたらな証拠。
悲しみから抜け出すためには、虚勢を張るしかないんです。
男の悲しい性(さが)だ…!
やっぱり忘れられない…
残酷な「光」
晴れ間があの出口に見える 光に吸い込まれるよう
2000mでも君をまるで忘れなかった
トンネルは終わるのに
出典: view/作詞:大橋卓弥・常田真太郎 作曲:大橋卓弥・常田真太郎
車を走らせればトンネルは必ず抜けます。
「僕」の視線の先には晴れ間が見える。
そこに広がるのは「闇」ではなく「光」です。
光は希望や明るい未来を表すのが一般的です。
しかし「僕」にとってはそんなプラスのニュアンスは持っていません。
結局トンネルは抜けるけど、悲しみのトンネルから抜け出せていない。
飽きたと思った「君」の体を思い出してしまう。
どれだけトンネルを走っても、「君」を忘れることはできないのです。
そうなればトンネルの外が明るければ明るいほど「僕」の暗さが際立ってしまう。
「僕」にとっては明るい晴れ間は、ただただ残酷なだけなのです。
海へ逃げ込むんだ
太陽が僕の目の前に落ちてくる
速度をあげて あの海へ逃げ込もう
未来のビジョン 気付かぬうちに壊してたのはそっちの方
出典: view/作詞:大橋卓弥・常田真太郎 作曲:大橋卓弥・常田真太郎
トンネルを抜けると、空に輝いていた太陽がだんだんと傾いていきます。
青い海は橙色に変わっていく。
悲しみのトンネルから抜け出せていない「僕」は海を目指します。
全てを受け入れてくれる海へ「僕」は車を飛ばします。
そんなときにも、「僕」の頭に浮かぶのは「君」の姿。
「僕」が描いていた輝かしい未来をぶち壊しにした「君」の姿でした。
もう一度、君の元へ
全てをぶちまけてやろう
暗闇ひとつ抜けて 君を忘れてしまうよりは そう、
いっそ君が死ぬまで二度と僕を忘れさせない方がいいね
それがこの旅の答えだ
もう一度だけ君のもとへ
出典: view/作詞:大橋卓弥・常田真太郎 作曲:大橋卓弥・常田真太郎
そして「僕」はこのドライブを経て、ある一つの答えを出します。
「この恋をこのまま終わらせるわけにはいかない」
これが「僕」の答えです。
これはいろんな解釈ができる一言だと思います。
もしかしたら、またやり直そうと直談判をするのかもしれない。
もしかしたら、今まで言えなかった恨みつらみを全てぶちまけるのかもしれない。
どちらにしても「僕」はもう一度「君」に向き合おうとするのです。
ただただ悲しみを抑圧するだけではない。
新しい世界に進むためにも「君」ともう一度対話をして、全てを清算する。
海に逃げ込むのではなく、勝負をする。
これが「僕」が選んだ末路でした。