穴が空いたきっかけ

エルマが悔やんでいるのは…

だから心に穴が空いた
埋めるように鼓動が鳴った
君への言葉も
口を開けば大体言い訳だった

出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna

鼓動はどんな時に高まるでしょうか?

強いショックを感じた時、驚いた時、恋愛感情が高まった時…。

ここでは「ショック」の意味合いなのだと思います。

心に穴が空き、追い打ちをかけるように鼓動も高鳴っています。

そしてエイミーへ放った自分の言葉を悔やんでいるよう。

本心が伝えられていなかったのでしょう。

自分本位な言葉ばかり飛び出して、エイミーの心のケアが十分にできなかったのでしょう。

でも、本当はエイミーに寄り添いたかったのだと思います。

冷え切った心

だから心に穴が空いた
降る雨だけ温いと思った
繕って 繕って 繕って
顔のない自分だけ

出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna

雨が温かい…つまり自分は冷え切っています

また「雨だけ」と限定しているのも注目点。

エルマの心を温めてくれる存在はいません

冷え切っているのは体温というより、心のことでしょう。

また、後半では本心のままに生きていない自分を表現しています。

MVでの人形の姿は、エルマの心の状態を示していたのですね。

冷え切って壊れてしまった自分。

まるで操り人形のように、空っぽのまま人間味無く生きています。

自ら穴を開けてしまった

小さな穴は広がり続ける

少しずつ穴の開いた
木漏れ日の、森で眠るように
深海みたいに深く
もっと微睡むように
深く、深く、深く
深く夜を纏った
目の奥に月明かりを見るまで

出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna

最初は心に「小さな穴」が空いたと歌っていました。

そして、その穴は治ることなく広がり続けているようです。

ここでは「空いた」ではなく「開いた」と表現していますね。

木漏れ日に比喩しているからかもしれません。

「空く」という言葉の重みが伝わる使い分けです。

そして夕方から夜、深夜へと変わり、長時間深く思考を巡らせています。

エルマが後悔する出来事

君の心に穴を開けた
音楽が何だって言うんだ
ただ口を開け
黙ったままなんて一生報われないよ

出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna

ここで「穴」に関する新しい情報が出てきます。

エルマはエイミーの心に穴を開けました

音楽職に就くほどに音楽中心の生き方をしてきたエイミー。

それに対して口出ししてしまったようです。

「だから僕は音楽を辞めた」で「あんた(エルマ)のせいだ」と歌われていると前述しました。

この部分とリンクするのだと思います。

エイミーが音楽に向き合うのは「エルマについて歌い続けたい」と思うから。

でも、エルマはそれに対して否定的な言葉をぶつけてしまいました

こうしてエイミーの心にはポッカリと穴が空いてしまったのです。

同時にエルマの心にも穴が空いてしまったと考えられます。

「大切なエイミーを自ら傷つけてしまった」から空いたのでしょう。

そしてこれが、先ほど後悔していたエイミーに放った言葉なのかもしれません。

忘れたいことほど忘れられなくて

忘れたいことが多くなって
諦めばかり口に出して
躓いて、躓いて、転がって、
土の冷たさだけ

出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna

忘れたいのはエイミーを傷つけたという事実かもしれません。

でも、忘れたいことほどむしろ、忘れられなくなるものです。

「忘れる」という思考はいわば「逃避行動」の一種

問題解決を先送りしているだけで、進展は望めないでしょう。

後悔してもしきれない…。

ついには立ち上がることすら叶わなくなってしまいました。

エルマの視点が次々と明らかに