苦しみは何のせい?
君の人生になりたい僕の、
人生を書きたい
君の残した詩のせいだ
全部音楽のせいだ
出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna
エイミーはエルマを描き続けました。
エルマを中心に生きているといっても過言ではありません。
そしてエルマ自身もそれを望んでいたようです。
ここでも「だから僕は音楽を辞めた」と似た言い回しが登場しました。
「あんたのせい」というエイミーの言葉。
それに対してエルマは「エイミーの詩と音楽のせい」と言っています。
どんな意味なのでしょうか?
エルマの心が痛むのは、エイミーが苦しみながらも音楽を続けているからだと思われます。
しかもその音楽には一貫してエルマのことが歌われている。
エイミーの人生の中心にいたいという望みは確か。
でも、そこに音楽の要素が絡むことは望んでいないのです。
エイミー自身が書きたい音楽と商売としての音楽のギャップが、エイミーを傷つけるなんて持ってもほか。
なんで私のことなんか詩にするの?
なんでそこまでして音楽に囚われるの?
そんな心情が表現されているのだと思います。
そしてこの言葉をエイミーに伝えてしまったのでしょう。
傷ついたエイミーは「あんた(エルマ)のせい(で苦しい)」と言ったのかもしれません。
エルマの生き様とは?
君の口調を真似した
君の生き方を模した
何も残らないほどに
僕を消し飛ばすほどに
残ってる
出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna
エイミーの人生になりたいと言っていたエルマ。
でもここからは…。
音楽の道へ進むことで失ってしまったエイミーの人生を代わりに生きているように見えます。
エルマの心が「空っぽ」とか「顔が無い」「操り人形」と前述しました。
これは、エイミーに成り代わったかのように生きているからかもしれません。
それだけエイミーがエルマに与えた影響が強かったのですね。
「別れ」が与えたショック
心の穴の奥に棲んだ
君の言葉に縋り付いた
でも違うんだよ、もう
さよならだなんて一生聞きたくないよ
忘れたいことが多くなって
これから僕だけ年老いて
冷め切って、冷め切って
出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna
エイミーをきっかけに空いた心の穴には、エイミーが棲んでいます。
いつまでたってもエイミーに関する記憶が消えることはありません。
そして、エルマとエイミーは「別れ」を経験したようです。
これが心の穴を更に大きく広げたのでしょう。
強いショックを「老いる」と表現することがあります。
ここでも同様の意味で使われているのでしょう。
エルマとエイミーの発言がリンク
僕の心に穴が開いた
君の言葉で穴が開いた
今ならわかるよ
「君だけが僕の音楽」なんだよ、エイミー
出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna
最後の「」内の言葉は楽曲「藍二乗」にも登場します。
この楽曲ではエイミーが主人公となり、エルマを失った喪失感を歌っているのです。
お互いを想い合っていることが分かります。
そして、お互いに心の穴を広げ合っているのでしょう。
ここでは「開いた」と描写していますね。
心を貫いて穴を開けているという意味なのだと思います。
穴が消えることはない
だから心に穴が空いた
その向こう側に君が棲んだ
広がって 広がって 広がって
戻らない穴だけ
穴の空いた僕だけ
出典: 心に穴が空いた/作詞:n-buna 作曲:n-buna
忘れたいと願いながらもエルマは忘れられません。
なぜなら、心の穴には大切なエイミーがいるから。
穴を塞いでしまえばエイミーに関する記憶も忘れてしまうことになる。
この「忘れたいのに忘れたくない」という矛盾した心理状態が、楽曲のテーマなのかもしれません。
最後に
ヨルシカの「心に穴が空いた」はいかがでしたか?
すごく複雑な心境が歌われていましたね。
「だから僕は音楽を辞めた」で語られなかった事実も少しずつ明らかになりました。
今までの流れからして、エルマの物語をもとにした楽曲がこれからもリリースされるでしょう。
どんな展開が待ち受けているのか楽しみですね。