現代社会の生きづらさに切り込む
曲名の「Witch」は、魔女を意味する英単語です。
中世ヨーロッパの暗黒時代には、「魔女狩り」と呼ばれる風習がありました。
薬草や霊視によって人助けをしていた人々を糾弾し、次々に処刑していったのです。
しかし、処刑された女性たちの多くは無罪でした。
単に「あいつは魔女だ」という周囲のイメージなどによって火あぶりにされたのです。
当時はそれが正しいやり方だとされていました。
現在、それから数百年は経過しています。
そのままの形の魔女狩りが大々的に行われることはなくなりました。
反面、いわれのない人が責められる構図は、未だに見ることがあります。
形を変えて続く、魔女狩りに似たもの。
この楽曲によって、現代の影があぶりだされています。
変われない人類
歩んできた歴史
人が生まれて何万年?
それは信じる光によって違う
出典: Witch/作詞:Fukase 作曲:Fukase,Nakajin
現在、世界で広く使われているのは「西暦」です。
キリストが生まれる前を紀元前、生まれた後を紀元後と分けて数えます。
しかし、世界には他にも年を理解する方法があります。
「ユリウス暦」や「マヤ暦」、日本では「元号」などです。
どの暦で世界を見るかによって、人類が誕生してからの年数が異なります。
あるいは、ここで取り上げられる「光」は、宗教のことも示しているかもしれません。
価値判断が生む闇
光が生み出す強烈な影
正しい道を指す光はやがて
魔女を探すサーチライトへ
出典: Witch/作詞:Fukase 作曲:Fukase,Nakajin
日向があれば、日陰があります。
光と闇は表裏一体で、切り離すことはできないのです。
本来は、ただ明るいところと暗いところがあるという状態に過ぎません。
良いも悪いもないのです。
しかし、ここに価値判断を下す人が現れます。
明るさを「正しい」と判断する人は、暗いことを「間違っている」と評します。
次に、「間違いは悪だ」と言い出すでしょう。
これに一定数の人が賛成すると、1つの固定観念が生まれます。
固定観念に沿わない人、逸れたことをいう人は間違っていることにされてしまうのです。
そこから、「間違っている悪人を排除する」という動きが生まれます。
人の不幸は……
それはまるで現代のアレみたい
人の不幸から垂れ流される
蜜に群がる働き蟻
出典: Witch/作詞:Fukase 作曲:Fukase,Nakajin
曲名の通り、ここでは「魔女狩り」にたとえて話が進んでいきます。
魔女狩り自体は、中世になくなったはずではないでしょうか?
しかし曲中では、現代社会の中にも似た状況があると指摘されています。
一体、どの状況を指しているのでしょう。
あえてぼかされているような印象も受けます。
聞く人によって、様々な現象を連想するからかもしれません。
それくらい、魔女狩り的な精神は世にはびこっているのでしょうか。
現代の魔女狩り
歴史は繰り返す?
魔女を探せ 魔女を捕まえろ
正義の名の下に焼き払え
僕等は何度も繰り返す
本能に宿る狂暴な正義
出典: Witch/作詞:Fukase 作曲:Fukase,Nakajin