歌詞を読み進めていきましょう。

少しいくとネガティブな表現がダイレクトに登場してきます。

夢見るだけでTOMORROW
辛いことも忘れる
皆んな

寂しくて 憂鬱な日には
胸を張って歌うの OH!

出典: TOMORROW~しあわせの法則/作詞:CHARNIN MARTIB 訳詞:片桐和子 作曲:STROUSE CHARLES

やはり主人公は「寂しくて憂鬱(ゆううつ)な日」を生きているんですね。

では、そんな毎日を吹き飛ばすためのアクションは何なのでしょう?

それは歌うことです。

落ち込んでいるときに歌なんて歌っていられないよ

と周囲から声が飛んできそうですね。

だけど、意外と歌の力は馬鹿にできません。

明るい言葉を大きな声で口にしてみる。

ただそれだけで実際に気分が明るくなったような気がしてきます

心が暗く沈んでいるのに無理やり明るく振舞うのは空元気。

そう揶揄されるかもしれません。

でも、空元気だって元気には違いないのです。

TOMORROW~しあわせの法則」

この曲は落ち込んだときほど前向きに生きる大切さを教えてくれます。

ここでは「胸を張って」というフレーズも重要です。

気分が暗くなっているときは下を向いてしまいがちです。

すると、視野が狭くなって、またまた幸せのきっかけを見逃してしまう。

そんな悪循環に陥ります。

さりげなく希望の見つけ方を教えてくれています

”明日は幸せ”というおまじない

【TOMORROW~しあわせの法則~/Flower】希望に満ちた歌詞を徹底解釈!幸せはすぐそこにの画像

希望の呪文を唱えよう

そして曲はコーラスへと向かいます。

原曲を知らなかった人も、この箇所を聴けば

あ、なんか知っている

と感じることでしょう。

TOMORROW TOMORROW
I LOVE YA TOMORROW
明日は幸せ

出典: TOMORROW~しあわせの法則/作詞:CHARNIN MARTIB 訳詞:片桐和子 作曲:STROUSE CHARLES

これまでずっと歌われ続けてきた「TOMORROW」というフレーズ。

ここで連呼されます。

こうした作詞の手法はミュージカル的です。

ミュージカルの楽曲は歌われるシチュエーション。

そして歌い手の性格や感情が細かく決まっています。

TOMORROW~しあわせの法則」も同様です。

映画のヒロインが不幸な境遇にいるとき歌われる楽曲

だからこそ、彼女が「TOMORROW」を夢見る希望。

それを捨てずに生きようとする心理が強く表現されています。

そして「I LOVE YA TOMORROW」と続きます。

直訳すると「私は明日を愛している」です。

普通に生きていて”明日を愛するとか嫌いだ”とかなんて思いません。

ここで少し考えてみましょう。

「昨日」はどうにもなりません。

夜になれば「今日」がどんな日だったか自分が一番よくわかっています。

だけど、「明日」だけはずっと可能性の塊です。

昨日や今日がつらくても明日だけは希望であり続けます。

それを思えば、決しておおげさな歌詞ではありません。

まるでおまじないのように続く

明日は幸せ

というフレーズがとても印象的です。

原曲「TOMORROW」との違いは?

【TOMORROW~しあわせの法則~/Flower】希望に満ちた歌詞を徹底解釈!幸せはすぐそこにの画像

翻訳の妙

TOMORROW~しあわせの法則」の歌詞

基本的には原曲の内容に準じて書かれています。

しかし、まったくの直訳ではありません。

原曲とは違う箇所もあります。

例えば、筆者が思う重要な違いは「SORROW(悲しみ)」です。

このフレーズが「TOMORROW~しあわせの法則」からは消失。

「寂しさ」や「辛い」というフレーズこそあります。

しかし「悲しい」とは1度も出てきません。

これは「TOMORROW~しあわせの法則」の大きな特徴です。

試しに実生活にあてはめて考えましょう。

恋人や友だちがいないと寂しくなるのは当然です。

仕事や勉強も辛いと感じてしまいがちです。

それでも、そんな状況下にある自分を悲しいと思うかどうか。

それは気持ち次第なのです。

TOMORROW~しあわせの法則」は原曲よりもポジティブ

全体からあふれ出ている前向きなオーラは日本語歌詞の長所。

訳一つで歌詞の印象も変わってくるのです。

映画と歌詞の世界観がリンク!

【TOMORROW~しあわせの法則~/Flower】希望に満ちた歌詞を徹底解釈!幸せはすぐそこにの画像

対比してみる

そして、意外な点があります。

原曲に「歌う」に相当するフレーズが出てきません。

歌を歌って自分を元気づける

それは「TOMORROW~しあわせの法則」ならではの提案なのです。

これは、『ANNIE/アニー』の内容ともリンクしているのでしょう。

アニーは両親に捨てられます。

その後、過去の栄光にすがりついている歌手ハニガンのところに身を寄せます。

ハニガンは特に努力もしていません。

しかし、再び世間から脚光を浴びたいという顕示欲だけは衰えていません。

一方のアニーは名誉やお金のためではな希望を捨てないために前向きな歌を歌う。

アニーとハニガンの人生は「歌」との向き合い方で対比されています。

TOMORROW~しあわせの法則」にある「歌う」という歌詞。

それは映画のテーマを理解したうえでの名訳だといえます。

しっかりと内容を理解しているからこそ登場する言葉なのです。

最後に

【TOMORROW~しあわせの法則~/Flower】希望に満ちた歌詞を徹底解釈!幸せはすぐそこにの画像

誰しも絶望的な気持ちになる瞬間。

また、明日が不安でしかたなくなる夜を迎えることはあります。

そんなときは「TOMORROW~しあわせの法則」を聴いてみてください。

明日は何が起こるかわからない

だからこそ希望に満ちている日なのだと実感できます

そして、明日を信じる気持ちこそ幸せへの近道なのだと気づくはずです。

歌を歌うことで明日への希望をつなげるアニー。

どんなに辛くても忘れてはいけないモノがあるのです。

現代の日本社会ではそれを失っているヒトが多いのではないでしょうか?

地球の歴史は46億年。

無数の明日の上に今があるのです。