アニメ「ロード オブ ヴァーミリオン 紅蓮の王」の世界を体現
ファンタジー世界への入口
主題歌というものは、アニメの世界観を想起させるものでなければ視聴者には伝わりません。
アニメ「ロード オブ ヴァーミリオン 紅蓮の王」では平穏な日常生活を”紅い霧”が大都市・東京を奇襲します。
まるで関東地方から切り離されたような異世界へと生まれ変わるシーンからアニメは始まるのです。
誰もが小さい頃に見たファンタジー世界への変化を”紅い霧”によって出現させています。
こうした異世界への転移は他の様々なアニメや映画で使われています。
例えば、ホラー映画の「リング」ではテレビから幽霊が現実世界にじわじわと這い出してきます。
過去のホラー映画にはないリアルさがあります。
そして、映画「ハリーポッター」シリーズでは”9と3/4番線”から魔術学校へと移動します。
イングランドではハリーポッター人気が高じて、英国のキングクロス駅に撮影スポットまで登場するほどです。
また、映画「バックトゥザフューチャー」シリーズでは車(デロリアン)で未来や過去を行き来します。
きっかけは多種多様ですが、異世界への扉はすぐ近くにあるのかもしれません。
モノトーンのMVが深淵なる東京を再現
JUNNAのヘアスタイルに注目!
漆黒の髪、墨色のワンピース、黒紫(こきむらさき)のネイル。
JUNNAはモノトーンの装いで「紅く、絶望の花。」のMVに登場します。
背景には”絶望”を象徴した白い花弁の花が描かれ、シンプルな映像作品に仕上がっています。
髪はロングの前髪ありという幼いスタイル。
同じロングでも前髪ありにすることで、大人可愛い印象に仕上げています。
もし、前髪なしでセンターパートにしていたら、もっと大人びた雰囲気になることでしょう。
”前髪あり”は、アニメの視聴者がティーンエージャーであることを意識したカットなのです。
ブラックヘアーは最近の流行を取り入れた節もありますが、アニメの世界観を擬人化したものでしょう。
やがて純白の花びらは鮮血の紅へと変わります。
これは首都が”紅い霧”に覆われた様子を如実に表しています。
東京を音楽で表す
みなさん東京にはどんなイメージがあるでしょうか。
蜃気楼が揺らめくアスファルト、太陽光を反射する摩天楼、スクランブル交差点、数分単位で来る列車。
人それぞれ抱く思いは違うと思います。
「紅く、絶望の花。」ではエレキギター、ベース、ドラムに加えてピポピポという音が入っています。
コンピュータを操作するようなハイテクな音です。
しかし、ハイソサエティーで都会的なインスピレーションから別の音を添えています。
アニメ「ロード オブ ヴァーミリオン 紅蓮の王」の舞台は日本の首都・東京です。
やはり主題歌にもどこか洗練された高度な技術が蔓延する世界観を挿入したかったのでしょう。
日本だけでなく世界でも名の通った場所です。
科学技術大国の国であるという印象を与えることで主題歌をよりアニメのワールドに引き込んでいます。
日常は罪である
「許す」と「赦す」の違いは?
もう 赦されないこと わかってる
出典: 紅く、絶望の花。/作詞:la la larks 作曲:la la larks
「許す」は自分が他人の過ちを寛大に処置することです。
「赦す」は裁判官が罪人の罪を軽くしたり、免除することです。特赦や恩赦ともいいます。
今までの日常が間違っていたかのようにアニメでは”紅い霧”が東京を変貌させます。
”紅い霧”を放った側(敵)にしてみれば、霧の世界が普通であるというテーゼです。
敵は裁判官(権力者)として首都・東京を紅い霧という罪で包み隠したのです。
だから、主人公はそれに抗うことを”赦されない”としたのです。
”赦されない”という単語には逆らえない”弱者”と世界を変えられる”権力者”という構図が反映されているのです。