「タンブリンマン」に向けて
カバーも有名な名曲
描かれているのは…
フォークのような軽やかなメロディーにのせて歌われるこの曲。
タイトルでもある「Mr. Tambourine Man」に向かって呼びかけるように綴られています。
しかし内容はかなり抽象的で、様々な解釈がなされています。
今回は主人公の心情にもフォーカスしながら、描かれているテーマを考えてみましょう。
「タンブリンマン」の正体
モデルとなった人物
「Mr. Tambourine Man」=「タンブリンマン」。
聴きなれない単語ですが、英語にはこんな呼び名があるのでしょうか。
実はこの「タンブリンマン」のモデルは、ブルース・ラングホーンというミュージシャンといわれています。
「ミスター・タンブリン・マン」とは、フォーク・シンガーでありセッション・ギタリストだったブルース・ラングホーン(Bruce Langhorne)がモデルだという。ディランは、キャロリン・ヘスターとのレコーディングの際に彼と知り合った。彼が持っていたトルコのフレームドラムの形がタンブリンに似ていたことから、彼のことを「ミスター・タンブリン・マン」と呼び、曲が生まれた。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ミスター・タンブリン・マン
彼が持っていたフレームドラムは、周りにベルが付いていたもの。
見た目も「タンブリン」に近かったようです。
なお、日本語では「タンバリン」の方が聞き慣れた表現ですね。
ただしここでは英語の発音により近い形で「タンブリン」と表記します。
誰に訴えかけているのか
ではこの歌詞は、ブルース・ラングホーンに向けて書かれたものなのでしょうか。
それとも、曲の中の「タンブリンマン」とは、また別の存在なのでしょうか。
ここではない、どこかへ
連れ出してほしい、という切望
Hey Mr. Tambourine Man, play a song for me
I’m not sleepy and there is no place I’m going to
Hey Mr. Tambourine Man, play a song for me
In the jingle jangle mornin’ I’ll come followin’ you
出典: Mr. Tambourine Man/作詞:Bob Dylan 作曲:Bob Dylan
この冒頭のフレーズは、曲の中で何度も繰り返されます。
和訳するとこのようになります。
なあ、ミスター・タンブリンマン、俺に一曲歌ってくれよ
俺は眠たくないし、行くあてもないんだ
なあ、ミスター・タンブリンマン、一曲歌ってくれ
ジャラジャラ騒がしい朝に、お前について行くよ
出典: Mr. Tambourine Man/作詞:Bob Dylan 作曲:Bob Dylan
「jingle jangle」とは、鐘などが鳴る様を表す言葉です。
日本語でいえば「ジャラジャラ」「ジャンジャン」といった感じでしょうか。
ここでは「タンブリンマン」に呼びかけていますね。
なので、ジャラジャラと鳴るのはタンブリンの音と考えて良いでしょう。