超個性派集団「SUSHIBOYS」
日本のヒップホップが熱いですね。
2000年代初頭、SEEDAやMSC、韻踏合組合が台頭した時期。
シーンがひっくり返るのでは?と思う程日本語ラップが熱い時代がありました。
しかし様々なトラブル、日本の音楽産業構造の限界などからシーンは停滞...。
正直USはもちろんのこと、お隣の韓国に完全に押されていると思っていた日本語ラップシーン。
平成も終わりを告げる現在、当時を軽く凌駕するシーンが出来上がりつつあります。
BAD HOPは武道館をジャック。
アルバム「350」をリリースした「SUSHIBOYS」
そして今一番熱いのがSUSHIBOYS(スシボーイズ)!
彼らは2018年11月に地元の郵便番号を冠したミニアルバム「350」をリリースしました。
ハスラーでもなく、ましてやニューヨークを拠点にしているわけでもない。
およそステレオタイプなラッパーとはイメージが異なります。
ではなぜSUSHIBOYSが熱いのか?
今回はその謎に迫ってみようと思います。
リアル「サイタマノラッパー」
レペゼン埼玉越生町!
SUSHIBOYSは3MCのヒップホップグループです。
彼らが活動の拠点に据えるのは地元でもある埼玉県越生町(おごせまち)。
2018年現在の人口は1万2000人弱、内60代以上の人口が41%を占めます。
埼玉県一の梅と柚子の出荷量を誇る町、緑に囲まれたハイキングの町...。
おじいちゃんおばあちゃんの町じゃないですか!
ハスリングやらナイトクラビングとかないんですか?
かつて入江悠監督は「SR サイタマノラッパー」という映画を作りました。
埼玉を舞台に何もない町でハスリングラップに憧れる若者を描いた青春映画の金字塔です。
SUSHIBOYSは現実世界の「SR サイタマノラッパー」なのでしょうか?
”何もない”から”楽しい”を生みだす美学
すね毛生えたJKで溢れてる
半端ない俺の町はcool
吉幾三も逃げ出すような田舎町さ
出典: 254 ft. FARMHOUSE, KING104, GAYA-K, AYA a.k.a.PANDA/作詞:SEEDA,FARMHOUSE,KING104,GAYA-K,AYA a.k.a.PANDA 作曲:不明
SUSHIBOYSの過去の発言を探ると興味深い記述がありました。
「生越には何もない。だから自分で生み出さなければいけなかった」
「都会には何でもあるから思考停止してしまうんじゃない?」
かつてSEEDAと共演した曲で生越についてFARMHOUSE(ファームハウス)は吉幾三も驚く田舎と歌いました。
生まれ育った町には若者の欲求を満たしてくれる娯楽がないのです。
そこでゼロから娯楽を生み出す手法を磨いたのでしょう。
動画投稿がルーツ?
YESか農家 無農薬でSOUL OUT
桑持つギャングスタ Mr.ベジタリアン
再始動 あれから立つ月日5年
未だ握る桑プロ仕様は当然
サンプラー土叩くザクザク
Fuck ソーラーパネル 農協の策略
収穫待つ数十トンのメリジェン
King of F 歴然の出来レース
出典: F is back feat 松岡修造/作詞:FARMHOUSE,サンテナ 作曲:不明
そこで彼らが編み出したのが動画投稿を娯楽にすることでした。
YouTuberという言葉が生まれる以前に「うめTube」名義で面白動画を次々にUPしていったのです。
SUSHIBOYSのルーツここにあり。
越生町にとって農業は死活問題!ということで徐々に農業関係のラップ投稿が増えていきます。
当時から画期的なパンチライン(脳裏に焼き付くフレーズ)を次々編み出していったのです。