君を泣かせたあいつの正体を 僕は知ってた
ひきとめた僕を 君は振りはらった 遠い夜
出典: 空と君のあいだに/作曲:中島みゆき 作詞:中島みゆき
そんな僕とは正反対のタイプのあいつが登場しました。
あいつの正体は、平気で女性を騙すような人なのでしょう。
振り払ったというところから、僕は相当懸命に君を引き留めたことがわかります。
それなのに君はあいつについていってしまいました。
随分前の話のようではありますが、僕はどれだけ空しかったことでしょう。
想い人が全く耳を貸してくれなかったのですから。
それに必ず傷ついて帰ってくることはわかっていました。
それなのに引き留めることができなかったのです。
自分の無力さも思い知った夜だったかもしれません。
相手を想うからこそ
ここにいるよ 愛はまだ
ここにいるよ いつまでも
出典: 空と君のあいだに/作曲:中島みゆき 作詞:中島みゆき
なんという優しさでしょうか。
君は僕の忠告を無視してまで、あいつのもとに走った人物です。
その時、僕はかなりのダメージを受けたはず。
本来なら、"ほれみたことか"と罵るぐらいのことをしてもいいと思うのですが...。
傷ついて戻ってきた君を温かく迎え入れようとしています。
いつ戻ってきてもいいように、ずっと待っていたのですね。
それも決して急がせてはいません。
君が気が付くまで、君のよく知る場所で静かに待ち続けているのです。
ここでもまた、相手を想うからこその優しさが滲みでています。
本曲 最重要フレーズ
空と君とのあいだには 今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら 僕は悪にでもなる
出典: 空と君のあいだに/作曲:中島みゆき 作詞:中島みゆき
本曲内で何度も繰り返される重要フレーズです。
誠実な僕が驚くほど豹変します。
何が僕をそこまで変えてしまうのでしょうか。
それは君への愛に他なりません。
あいつに裏切られ傷ついた君は、ずっと泣き続けているようです。
それを毎日遠くから見守っている僕。
晴れた日でも、君の上空だけ涙雨が広がっているように見えるのでしょう。
君から笑顔は消え去りました。
僕にはそれが耐えられません、許せません。
君をそんな状態にしてしまったあいつのことが憎くてにくくて、僕は感情を爆発させます。
あいつへの復讐を君が望むのだったら、それで君の笑顔が戻るのだったら僕はどんな悪事でも働く覚悟です。
このフレーズの繰り返しは、僕の本気さを鮮明にさせ、強い情念さえ感じます。
2番を考察
全女性に向けて
君の心がわかる、とたやすく誓える男に
なぜ女はついてゆくのだろう そして泣くのだろう
出典: 空と君のあいだに/作曲:中島みゆき 作詞:中島みゆき
女性は往々にしてこの手の口説き文句に弱いのは何故でしょうか。
特に心を惹かれている人からこのセリフを言われたらイチコロです。
誓いは相当の決心があった上でたてるもの。
たやすくという形容は全く不釣り合いの言葉です。
そんな薄っぺらな誓いを乱発する男の本性を見抜くことができない。
そしてホイホイついていってしまい、挙句騙されるという女の悲しい性を哀れんでいます。
このフレーズは、歌の世界を飛び出し、全女性への警告メッセージでもあるのではないでしょうか。
憎むことは縛られること
君がすさんだ瞳で強がるのが とても痛い
憎むことで いつまでもあいつに縛られないで
出典: 空と君のあいだに/作曲:中島みゆき 作詞:中島みゆき
すさんだ瞳とは、捨て鉢になって、もうどうでもいいよという感情が目に現れた状態でしょう。
そんな精神状態にあるのに、誰に頼ることもせず、平気だといいはる姿は想像するだけで痛々しい...。
そんな姿を毎日目にしなければならない僕は、たまったものではありません。
今、君に一番伝えたいメッセージを、心の中で叫んでいます。
それはあいつに対する憎しみを、心から消し去って欲しいということです。
誰かを憎むということは、その誰かのことを考えていることにもなります。
つまり結局は、その憎い相手にいつまでも心が占拠され、縛られている状態です。
そんなことを続けていては、いつまでたっても君は新しい一歩を踏み出すことができません。
君のため、そして僕のためにも、もうそんな日々を過ごすのはやめて欲しいと願っています。